再構築*涙と誓いの戴冠式
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宝探しを終えて、『Knights』のみんなでお茶をする。あんずちゃんは、泣いちゃったのが恥ずかしいのか「このあとレッスンがあるので」とスタジオから出ていってしまった。その後、メッセージが送られてきて「私も先輩を驚かせるくらい成長してみせます」ときたので「負けないよ」と返信して携帯を閉じた。
瀬名「それでぇ?宝探しは終わったわけだけどぉ?その宝物ってなんだったわけぇ?」
『えぇ…それをわざわざ聞くなんて泉ってほんとうに、空気読めないっていうか…察しが悪いっていうか…』
凛月「セッちゃんって紡のこと、何にもわかってないよねぇ〜」
瀬名「なに…また俺だけが悪いみたいな言い方…」
月永「おれも聞きたい〜!おれもわからない!」
泉は反応したレオを見て、満足げにふふん、っと笑う。どうやら知りたいのは俺だけじゃないという安心感が、彼に謎のドヤ顔をさせているらしい。でも、そんな顔をされても痛くも痒くも無い。
『泉は恥ずかしいこと言うのは苦手だけど聞くのは嫌いじゃないから聞きたいだけだよ。あははっ☆本当はわかってるくせにね!』
月永「えっ!そうなのかセナ!わかってるのか⁉︎」
『レオは本当にわかってないのね…』
朱桜「レオさん、正直でいいことなのですが…いつもの妄想はどうされたのでしょう…」
司の言う通りだ…、いつもは妄想で補っていくはずのレオがどうして答えをすぐに求めるのだろう。珍しい、と思いレオの方を見れば「なんだよ〜」と笑う。その一言でなんとなく察してしまう。結局、ふたりとも似た者同士ってことだったのか。それがわかりやすいタイプとわかりにくいタイプってだけの違いなんだな、と苦笑いする。
『いいよいいよ、たまには早く答えを知りたい時だってあるよね?答え合わせはしておこっか。誰かが知ってて誰かが知らないっていうのは不公平だしね?
それに、付き合ってもらっておいて、理由は話さないっていうのはそれこそ横暴な女王様になっちゃうしね?…えっと、留学が決まってから荷物の整理してて、そしたら『Knights』との思い出が多くて、もちろん全ての思い出がいい思い出でした!な〜んて言えないけど、でも今となってはどれも大切な時間だったなぁって思って…
なんだかそれをみんなと共有したくなってさぁ…泉やレオみたいにステージの上で伝えたりできないし、そういう機会も欲しかったから。みんなが私との思い出を大事にしてくれているのか、挑戦状を出したってこと…そして、私の宝物は『Knights』と過ごした時間…ううん、『Knights』そのものだよ。それはメンバーひとりひとりもだけど…その全てだから、ありがとうとこれからもよろしく…っていうのを伝えたかったの。だから、みんな付き合ってくれて本当にありがとう。』
朱桜「私もお姉様と時間を共有した思い出を辿れて楽しかったです。こちらこそありがとうございました!」
鳴上「アタシも、楽しかったわァ…どれも大事な思い出で紡ちゃんがそれを与えたくれたのには変わりないし、感謝の気持ちはお互い様って感じよねェ」
凛月「そうだね。でも、それを言葉にしてくれるっていうのは悪くないよねェ」
瀬名「まぁ…最後くらい言葉にするのもいいんじゃない。最後の別れってわけじゃないけどさ、学生の中でっていうのは最後な訳だし」
月永「うん!有意義な時間だったのはそれぞれ紡との時間を大切に思っていた証拠だ!おれたちも感謝の言葉はあれど、それ以外の形でも返そう!『戴冠式』でな!」
レオの言葉にみんなが頷く。その言葉にどれだけ心が安らぎ、踊ることだろうか…。誰かが自分のために一生懸命になってくれること、自分との時間を大切に思ってくれていること。この事実だけで、自分も頑張らないととか、自分も負けられないととか思っちゃう性分になったんだろう…。昔ならありがたいなぁとか、自分はそんな風に思われるほどの人間じゃないって一年前の自分なら思っていたのに…。素直に受け入れて前を向けるようになったのは、成長…なのかな?少し考えていると、レオが私の手を掴んで前を向かせる。その後ろにいるみんなも笑ってこちらを見ていた。
『うん、私もちゃんと伝えるよ。みんなへの感謝を『戴冠式』で…。でも、もっと言わせて?みんな、私と出会ってくれてありがとう…』
月永「おいおい、もう泣くなよぉ〜。仕方ない子だなぁ…」
鳴上「あら、レオくんがちゃんとした彼氏してるの見るの初めてだわァ…」
凛月「彼氏っていうか、お兄ちゃんって感じだよねぇ」
瀬名「確かにねぇ、泣いてる妹を慰めるお兄ちゃんって感じ」
朱桜「みなさん、あまりレオさんを苛めるのは感心しませんよ。お姉様、ハンカチをどうぞ」
月永「おまえらなぁ…」
見慣れたこのやり取りも昔は三人だったものが、気づけば六人にまで増えていって…。こんな大家族みたいになってしまって…なんて考えていると泣いているのが馬鹿らしくなってつい笑ってしまった。それを見て笑いが伝染するかのようにみんなも笑い出す。
『あははっ、ありがとう。みんな…!本当にありがとう!
私にこんな素晴らしい希望と夢を与えてくれて!私、みんなを『Knights』を世界一の『アイドル』にするためにまた一年頑張れそう!』
朱桜「はい、私もお姉様の期待を裏切らないようにまた一年頑張ります!」
瀬名「まぁ、世界一の『アイドル』になるなんて、アイドルになったからには目指すのはと〜ぜんでしょぉ〜?」
凛月「俺もちゃんと『アイドル』を目指して頑張るよ〜」
鳴上「ウフフ、また新たにって感じねェ!アタシも負けないわァ!」
こんな光輝く中に自分が入れるのも全部全部レオのおかげ…。だって、この繋いだままの手だって、恋人として握れているのも……レオが私にいろんなことを教えてくれたから…
『レオ』
月永「ん?なんだ?」
『光をくれてありがとう』
月永「…?なんだかよくわからんが!苦しゅうない!」
『あははっ!なにそれ!』
それが『返礼祭』が終わってすぐの出来事だった。こうして、私たちはまた新たな舞台『戴冠式』に向けてまた一歩、足を前に出したのでした。
光差し伸べてくれた
『言葉にはできないほど伝えたい思いがあったの』
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