再構築*涙と誓いの戴冠式
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*月永 said
『意気地なしな王子様に愛を、何度も城を築いたステージへ』と書かれたメッセージカードを手に、大事に大事に握りしめて
おれは講堂に向かって走った。意気地なし、なんて面と向かって言われたことないけれどそういう風に思われているとは思わなかった。いつも素直に「好き」を伝えて言葉も含めて様々な方法で表現してきたつもりだった。それでも「王子様に愛を」ってことは嫌いってわけじゃないんだよな…?
この言葉をどう受け止めていいかわからず、ただただ何度もおれたちが城を築きお姫様達をもてなして来た講堂へと向かう。講堂の扉を開けば、紡がステージの縁に座ってギターを弾いていた。そして、紡の目の前の客席にはセナが座っていた。
扉が開いたのに気づいて、二人がこちらを見て紡が「こっちこっち」と手招きする。
月永「なんでセナが…?」
『えぇ?泉が先だったからそのまま話し相手になってもらってたの』
瀬名「っていうか、れおくん。今までスタジオにいたのぉ?結構時間あったでしょ、何してたの?」
月永「えっと……、あっと…」
『ふふっ、泉。きっとレオにも事情があるんだよ。気にしたらダメだよ。』
事情を知ってる紡がセナをとめてくれる。そして、セナにスタジオに戻るように伝えてセナはため息をつきながらも出ていく。すれ違いざまに「泣かないように気をつけてね」と声をかけられたけど、その意味は理解できなかった。
『月永レオくん』
月永「おぉ…いきなりフルネームで呼ばれると驚くぞ…」
『卒業おめでとう…。本当に一緒に卒業できて嬉しい。
私をこの学校に誘ってくれてありがとう、『Knights』に誘ってくれてありがとう、私に『アイドル』を教えてくれてありがとう。語りきれないほどの感謝があって、伝えきれないほどの想いがある。だから、これからもいろんな方法で返すよ。だから、これからも一緒にいてくれる?』
月永「…きゅ、急になんだよぉ…」
『答えは?』
月永「…紡にばっかり、言わせて恥ずかしい…かっこ悪い…」
『…あっはははっ!そんなことないよ…レオは、いい男だもん』
そう言って笑う紡はいつかの姿と同じで、本当に君は変わらない姿でいつも笑ってくれる、どんなことがあってもおれの傍でその笑顔を崩さないでいてくれる。それにおれがどれだけ支えられて勇気をもらったことだろうか。だからこそ、おれはちゃんと答えとおれの考えを紡に伝えてあげないといけないよな…。
月永「おれも!おまえとずっと一緒にいたい。伝えてるようで本当に大切なことを伝えていなくてごめんな。
おれは本当におまえのことが大好きだ!短かったけど一緒に学院生活を過ごせて嬉しかった。それから一緒に卒業できて良かった
夜永紡ちゃん、一緒に卒業してくれてありがとう」
『ありがとうってなに?あははっ』
月永「わ…笑うなよ…真剣なんだぞ…」
『わかってるよ。そういうところも好きなんだもん、こちらこそ一緒に卒業してくれて…ううん、戻ってきてくれてありがとう』
紡は少し悲しそうに微笑む。おれが不登校になっても紡はいつも無理に登校を強要せずただただ見守ってくれた、イベントごとの時はルカたんを通じてメッセージカードを送ってくれて、それを思い出して悲しげな表情をしていると思うと、おれの体が勝手に動いてギターを抱いていた紡を正面から抱きしめ座っていたステージから落としてしまう。その衝撃でギターが落ちて紡が「あっ…」と声をこぼすが、それを無視して紡を抱き上げる
月永「ずっと心配かけてごめん、もうおれは『アイドル』をやめない!おまえと『Knights』のみんなとより最高のステージを作っていく!だからこれからももっと見てて!こんなにおれが幸せをもらってるんだ、他のみんなに、おれらを応援してくれるファンのみんなにこの幸せをお裾分けしないと勿体無いだろ⁉︎」
『…レオは最高の『アイドル』になるの?』
月永「違う!『Knights』が最高の『アイドル』になるんだ!」
『そっか!じゃあ私は『Knights』を世界最高の『アイドル』にしてみせるね!』
そう言って笑った紡はおれの首を抱きしめる。あまりの勢いに体がよろけるがなんとか持ちこたえる。この愛しい重さがずっとずっとおれの手の中におさまっていれば良いのに…
月永「これからも、おれと一緒にいてくれ。おれたちはそれぞれの道を歩むけど…。それでも、紡の帰ってくる場所がおれのところであってほしい。」
『…嬉しい。私も一緒にいたいと思ってたし、レオの帰ってくれる場所が私のところだったら…嬉しい…』
月永「えっ…なんで泣くんだよ!泣かないで!」
『嬉しくて…目から溢れてくる…から…ごめんなさい…嬉しいの…』
月永「だめだ…もらい泣きしちゃう…からぁ…」
『えぇ…やだ、レオ泣かないで…』
なぜか二人して泣いて、抱き合ってるなんて変な光景だけど。少し視点を変えれば映画のワンシーンのようなんじゃないかって思って、少ししてから泣いてる紡の顔をジッと見つめると、少し落ち着いたのか向こうもおれの目を見つめる。
月永「ん〜!」
『…キスはしません』
月永「…なんで!ここで見つめあってお互い顔を近づけてキスして笑い合う!おまえの好きな舞台のワンシーンだろ⁉︎」
『舞台と現実は違うの!バカじゃないの⁉︎』
月永「なんだとぉ、バカって言った方がバカなんだからな!」
怒った顔をしてお互い見つめ合うとどっちともなく笑い出す。こんな幸せを逃さないように、紡を抱きしめる。そうすれば、紡も答えるように抱きしめ返してくれる。
『レオ、ありがとう。生まれてきてくれて、出会ってくれて、一緒の時間を過ごしてくれて…。君に出会えたことが私の人生最大の幸せだよ。ありがとう…』
月永「こっちこそ、ありがとう。どん底にいたおれが今こうやって未来を見れるのは他でもないおまえのおかげだ。これからも一緒に歩いて行こう。おれたちの世界を一緒に創り上げて行こう!」
『一緒に創る…?』
月永「うん!紡と創る!理想の『アンサンブル』を!」
それを聞いた紡は静かに頷いておれの首元に顔を埋める。どんな顔をしているかはわからないけど、でも悲しさや負の感情は感じなかった。ふと、彼女が書いたメッセージカードの裏面を思い出す。首元にある紡の耳に口を寄せる。
月永「I love you more than words can say」
『…⁉︎な…なんで…急に』
月永「メッセージカードの裏面。『Fammi sentire le parole d'amore』って書いてあったから今かなって、思って…」
『タイミング…最悪…』
月永「おれ的に最高のタイミングだったぞ⁉︎」
『最悪だよ…だって』
月永「だって?」
『もっと好きになっちゃうじゃん…』
じゃあ最高のタイミングじゃん…と思っていると紡があげていた顔をまたおれの首元に沈める。あぁ…おれはこの子をずっとずっと好きでいる運命なんだって勝手に確信してしまった。こんなに愛しく思える子をおれは永遠に手放せないんだ。
君と創る
月永「大好きだ。多分ずっと君だけ」
I love you more than words can say.(訳:言葉にならないくらい好き)
Fammi sentire le parole d'amore(訳:愛の言葉を聞かせて)
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