再構築*涙と誓いの戴冠式
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*瀬名said
みんなが意気揚々と出ていってから、俺はれおくんとあんずをスタジオに…残して廊下を歩く。再びメッセージカードを見る『引き連れた騎士を振り払って、時間を共有した場所へ走る』…どういう意味だろ…?
振り払ってってことは、複数人いるのを振り払って1人でくるってことだろうけど…時間を共有した場所って…いろいろありすぎだよねぇ…。
思い当たる節が多すぎ…。れおくんと3人でっていうと中庭だし、『Knights』でいえばやっぱりさっきいたスタジオ…?俺だけっていうと教室かなぁ、あ〜わからなすぎてムカついてきた。
瀬名「もっとわかりやすく書きなよねぇ〜…」
独り言をこぼしながら、候補を1つずつ潰していく。それでも紡はどこにも居なくて最後に残った候補に向かっていく。そのドアを開ければ、紡は特等席に座って外を眺めていた。ドアの音に気づいたのかこっちを向いて少し怒った顔をする。
『あっ…泉やっと来た〜遅い!』
瀬名「あんたがわかりずらいメッセージ残すからでしょぉ?早く見つけてもらいたいならもっとわかりやすい文章にしなよ。」
『え〜、比較的わかりやすい文章だと思うんだけど?』
瀬名「はぁ?あんたと時間を共有した場所がありすぎてどこか…わかるわけない…でしょ…」
思ったままのことを口にすればだんだんと自分の顔が熱くなるのを感じる。これじゃまるで、紡と時間を共有した全ての事象を事細かく覚えていますって言ってるようなもんじゃん…はぁ…チョ〜さいあくぅ…俺のバカ
『そっか、さすが泉だよね。大事な思い出はちゃんと覚えてるんだ…じゃあ行ったのは、中庭のテラスに屋上のベンチと踊り場に…』
瀬名「あんただって覚えてるじゃん…」
『当然でしょ?全部大事な思い出』
アイツもだけど、そんな恥ずかしいことをそんなあけすけと…よく言えるよねぇ。
紡は席から立って、俺の前に立ち、手を取って俺の席に座らせる。俺はされるがままに席につく。
『瀬名泉くん、卒業おめでとう。
私と出会ってくれてありがとう、『Knights』を作ってくれて、一緒に守ってくれてありがとう。
みんなのこともだけど、最後まで君は不思議な存在だった。ずっとずっと最愛の不確定要素だった…。だからレオも私も君のことが大好きで愛おしくてたまらなかった。その一生懸命なところが、真っ直ぐで綺麗なところが、尊くて大好きだよ。
君と過ごせた全ての時間が私にとっての宝物だよ。』
瀬名「なに急に…別れの挨拶みたいじゃん…」
『うん、これは別れの挨拶。そして、はじまりの挨拶…。
これからも一緒に『Knights』を守って支えていこうね。今までは私も君も勝手に理解してたつもりでいたけど、これからは本当の意味で『理解』していけるようにしよう。私たちのこともみんなのことも…まだまだ先は長いからもっと高いところを目指そう。
夢咲く世界の高みへ、みんなと一緒に歩もう。泉!』
なにそれ盛大な告白にも聞こえるけど、こいつにはそんなつもりのない本音なんだろうねぇ…。ほんと、いつも歯の浮くようなセリフを平気で吐くけど、でもこいつの『これから』に俺がいるっていうのは悪い気はしないよねぇ…
瀬名「当然でしょぉ?俺も『Knights』もこんなとこで止まらない。もっと先へ、あんたを高みに連れてってやるからしっかり着いてきなよねぇ
もう勝手にわかったフリはしないよ…ちゃんとわかりあっていける。そんな関係になっていきたい…あんたとも『Knights』のみんなともね」
『レオのことよろしくね、泉』
瀬名「あんたこそ、れおくんのこと頼むよ」
『やだよ〜アイツ手に負えない〜!』
紡が笑うと、俺もつられて笑ってしまう。一年の時からの付き合いだけど、あんたもレオくんも本当に目が離せない。大事な大事な俺の『友達』
瀬名「夜永 紡さん、卒業おめでとう
俺こそ出会ってくれてありがとう。俺に気づいてくれて、俺の大切な『居場所』を守ってくれてありがとう。これからも…よろしく…」
『…よろしく。』
瀬名「なんであんたが涙目なの?『返礼祭』のとき泣きすぎて涙も枯れたとか言ってなかったっけぇ?」
『水分とったから、枯れても潤えばまた流れてくるのぉ…うう…っ…泉が素直になると…もう…お母さんの気持ちで…っっ…うううう』
瀬名「俺あんたのこと泣き顔で覚えるよぉ?」
『嫌すぎるぅ…ぅうう…』
紡は両手で顔を隠し、グズグズと鼻をすする。俺はその手を掴んで紡の顔を見る。俺より大きくて丸い目が水でいっぱいになって、鼻は真っ赤になっていた。頬も少し赤らんでいて少し悪いことをした気持ちになる。
瀬名「あんたは俺のお母さんじゃないでしょ?勝手に母親ぶらないでくれる?」
『…そうだよね…泉が『Knights』のママだもんね…ごめんね、役割奪って…』
瀬名「あんたって本当にムード壊すプロだよね。」
『…よく言われる』
瀬名「あんたは俺の友達でしょぉ?泣き顔じゃなくて笑ってよ。俺が泣かせたみたいで不愉快」
『不愉快……』
瀬名「ほら笑って」
『笑ってって言われて笑うのむずかじっっ…』
瀬名「あははっ…変な顔ぉ!」
『やだ!やめて〜ブサイクになる!』
俺の両手に挟まれた紡の顔は魚のようにパクパクと動き、俺に抗議する。でもアホっぽいなって思っちゃって、自然と笑いがこぼれる。すると、紡が大人しくなって俺の手を掴む。さすがに怒ったか?と手を離すと彼女は優しい表情で俺に笑いかけた。
『泉、本当にいつもありがとう。
君と過ごした時間は本当に宝物だよ。君と守って来れたから今の『Knights』の思い出も宝物だ…君が『Knights』でよかった。レオをずっとずっと信じてくれてありがとう。』
瀬名「こちらこそ今までありがとう、女王様。これからもよろしくね、紡。」
『…うん、これからは同じ『騎士』としてよろしくね。』
瀬名「足手纏いにはならないでよねぇ…?」
『誰が…あっ…あと泉にお願いしたいことがあるんだけど…』
瀬名「…?」
紡は「帰りながら話そう」と教室を後にする。俺はそれに大人しくついていく。話した内容には驚いたけれど、俺としても願っても内容だしそれを承諾する。コネなんて柄じゃないけど、使える物は使っていかないとねぇ…。
夢咲く世界の高みへ
泉「最後まで見守っててあげるよ。これから先も」
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