再構築*涙と誓いの戴冠式
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*朱桜 said
紡お姉様からいただいたメッセージカードを再度確認する『可愛い君を、花園へと誘う』可愛いというのは少し聞き捨てなりませんが、それでもお姉様が可愛がってくださっているのもまた事実ですね…。
しかし、花園というのは枠が広いので困ってしまいます。候補は中庭かガーデンテラス…、それと屋上ですかね。どれも作曲や作詞などの創作活動でお姉様がよくいらっしゃる場所…
そういえば、中庭で去年の春頃にお姉様と2人で談笑したことがありましたね…
『ここお気に入りなの』
朱桜「…中庭がですか…?」
『やっぱりイメージない?花とか似合わないもんねっ』
朱桜「いえ!お姉様は花のように可憐でいらっしゃいます!」
『あっ、ありがとう…そこまで言われるほどではないんだけどね…』
朱桜「えっと…ちなみに差し支えなければどのような思い出があるのですか…?」
『ん〜っと、そこの木陰でよく凛月と昼寝してる』
朱桜「なっ…!お姉様は危機感がないのですか!?凛月先輩とはいえ男性は男性なのですよ!!襲われでもしたら…」
『襲うって…じゃあ…司くんもこのまま一緒だと私のこと襲う?』
朱桜「なっ!お…襲うなど!破廉恥です…」
『冗談冗談っ、凛月もそんな事しないよ。ましてや日中だしねぇ〜。
あ!あとよくあそこのテラスで作曲してた!』
あの時お姉様は嬉しい顔をしながら悲しい目をしてらっしゃいました…。まだ未熟で『Knights』のことを知らなかった私には不思議で仕方なかったですが、今ならわかります。寂しかったのでしょうね、なのに私は不躾な真似をしてしまいました…。
朱桜「作曲してた…ですか…?お姉様は決まった場所でしか作曲しないと…」
『あ〜…あははは、私は作曲じゃなくて作詞っ!3人で集まってよく秘密の花園だ!とか言って曲作ったり、作戦会議をしてたの…♪』
朱桜「3人…?秘密の花園…?」
『そっ…ここはこんなに綺麗な花が咲いてるのに、中まで見に来る人が少ないの。だから静かですごく創作意欲を擽る場所なの♪
それに誰も来ないから私がいてもばれなかった…だからここで時間をいっぱい浪費できた…だからここは大切な場所!司くんも好きになってくれればいいんだけど…』
朱桜「…はい!お姉様とお気に入りを共有できるのは嬉しいです!」
お姉様は「そう?」と笑ってくださいましたね。その時の心境は私には理解できませんが、お姉様の笑った顔はあの時も今も美しく思います。『秘密の花園』…花園…きっとそうですね。中庭のことでしょう、そして場所は凛月先輩との寝床ではなく『三人の愛した場所』なのでしょうね。
そうと決まれば迷いなく私の足は進み、屋根のついたベンチには探し人がいつものようにメモ帳にペンを走らせていました。
『♪〜♪〜…ん〜』
朱桜「お姉様、やはりこちらでしたか」
『おっ♪来たね!』
朱桜「私が1番だったのですか?他の先輩方は」
『司くんは2番♪ナルちゃんには凛月の寝床のとこに行ってもらったけど、その様子だとまっすぐこっちに来たみたいだね!すごい!』
どうやら、お姉様はその二択まではいけると思っていたようでもし間違えても鳴上先輩が連れてきてくださるところまで予想されていたようですね。さすがです…。お姉様は自分の体を少し横にずらし、隣に座るよう声をかけてくださったので、それに従いベンチに腰を下ろす。
『朱桜司くん!『Knights』に来てくれてありがとう…!そして、私と出会ってくれてありがとう!』
朱桜「唐突ですね…」
『今日はそういう日だから、お姉様の独り言に付き合って?』
朱桜「ふふ、やっぱりお二人は似ていますね。大丈夫です。独り言には致しません、ちゃんと聞きます♪」
『…ありがとう…。
初めて会った時に見た君の顔がいつかの彼にそっくりで、ずっと重ねてたの、ごめんね?実はずっと謝りたかったの。
でも、それが愛しくて、なんていうか…弟のような、我が子のような…君の成長が頼もしくて嬉しくて…、ついつい黙ったままにしてた。
だから、ごめんなさい!勝手に重ねてしまって、司くんは司くんなのに!』
朱桜「い、いえ!そんな!謝ることではありません。私が成長できたのは、紡お姉様が弟のように可愛がってくださり、”advice”や鼓舞してくださったおかげでもあるのです!間違いなくお姉様のおかげでもあるのです…。でも、もう…私をレオさんと重ねたりしないでくださいね?」
『しない!しないよ!私の可愛い弟よぉ〜!』
朱桜「うっ…うわぁっ!お姉様!」
お姉様は横にいた私に抱きつき少し勢い余って後ろに倒れかけそうになったのをなんとか耐える。お姉様は「ごめんごめん」と謝って、元の位置に戻る。この方はいつも素直で、綺麗な笑顔で微笑まれます…お姉様はいつもそうやって…、聖母のように…いえ女王様のように騎士である『Knights』を見守ってくださっていましたよね。
私は本当に姉のように思っていたのです…だからこそ、お兄様方には黙っていたことも素直に話してしまいました、本当に不思議な方ですね…だからこそ、愛しております。お姉様…
『…?どうしたの?』
朱桜「お姉様、ご卒業おめでとうございます。寂しくはなりますが、お姉様や他のお兄様方の守った『Knights』を壊さぬよう、また今まで以上に強豪と謳われる”unit”になるよう、この不肖、朱桜司が粉骨砕身頑張っていきます」
『うん、頑張ってね『王さま』
貴方ならもっともっと素晴らしい『Knights』を作っていける。でも困った時はいつでもお姉ちゃんと…自由なお兄さんを頼りなさい。みんな貴方の味方で身内なんだもの。一人で頑張らなくても、いいの。
どんな困難もみんなで乗り越えられる。民を愛し、愛される…そんな『王さま』になってね?司…』
朱桜「司…!はい、お姉様!」
私の返事にお姉様は笑って「いい返事だね相変わらず」とおっしゃってからゆっくりと私の頭を撫でた。その手のぬくもりは両親とはまた違った暖かさがありました…。
鳴上「ちょっとォ!乙女をあんな草っ原に取り残して談笑なんていいご身分ねェ!」
朱桜「鳴上先輩!」
『ナルちゃん!ごめんごめん!そろそろ次行こっか!』
朱桜「あっ!お姉様…この宝探しにはどのような意味が…」
『…ん〜、宝探しっていうか、宝物が私に寄ってくる。リッチな宝探しってとこかなぁ〜』
朱桜「…??」
鳴上「うふふ♪司ちゃん、深く考えちゃダメよォ」
『司、考えてるようじゃまだまだだよ♪司は立派な騎士になれる!どんな時も胸を張って!自分を偽らずに、今持てるすべてで立ち向かって…!もしお姫様が途中で何かに躓いてもいつでも寄り添える
そんなKnightになりなさい!』
朱桜「はいっ!そんな”Knight”になれるようにより一層努力いたします!」
だから、お姉様。これからも司のことを…いえ、違いましたね『Knights』のことを見守っていてください。そして、これからも私たち『Knights』のことをその笑顔で見守っていてくださいね。
朱桜「あぁっ、お姉様!お待ちください!」
『早く行くよぉ〜司ぁ〜』
そんなKnightになれるように
朱桜「お姉様のおかげなのです。本当に」
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