再構築*涙と誓いの戴冠式
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時は遡ること『返礼祭』の一週間前ーー
レオと天祥院くんと話をした後の学院の屋上。レオはベンチに腰を下ろして、私もその隣に腰を下ろす。
月永「さぁ!仕事の話だ『マネージャー』!」
『え…?あぁうん、了解しました』
月永「おれは今すごく霊感(インスピレーション)が沸いてる!きっと、この試練でまた『Knights』は強くなる!
だから、おれを信じてくれるよな…?」
『え…うん。信じてるけど、何で急に』
月永「だから、お前には将来の為に動いてほしい」
『将来…?』
月永「おれらとしては初めての代替わりを経験するわけだ…。そのお祝いも盛大にやったほうがいいだろ?だから『戴冠式』をやりたい!」
『…やっぱり、『王さま』は変わるんだね』
月永「うん…変わっても仕方ない!いつかは王政は交代してどんどん進化していくことが好ましい。それはお前もわかってるはずだ!それと同時に女王様にも玉座から退いてもらう。」
『え…、私も…』
月永「当然だろ!お前はおれの『女王様』だ!新しい『王さま』には自分で自分の『女王様』を見つけてもらわないとな!お前は誰にも譲らない!」
レオは自信満々にこちらを見るけど、そんな歯の浮くようなセリフを聞きなれない私は目を伏せる。仕事の話と言っていたのに、どこが仕事の話なんだ…。
すると、顔を下げた私を持ち上げるようにレオは私の頬に手をあて持ち上げる。
月永「それで、最後の『女王様』の仕事だ!『戴冠式』のプロデュースをしてほしい!最後の『Knights』の舞台を紡が完全プロデュースするんだ!」
『最後の…舞台…』
月永「あぁ!おれの『Knights』の本当の最終楽章だ!それを彩れるのは紡…お前だけだ!」
あぁ…何だ…心配して損した。彼には『アイドル』を辞める気なんてさらさらないんだ。と確信した。ずっと心配ではあったけど、彼はいつの間にか『アイドル』への憧れを取り戻していたんだ。
あくまで『月永レオのKnights』が終わるだけで『Knights』が存続することを確信して、その次を見据えているんだ。
『うん……うん、やるよ。任せてほしい。絶対二人の墓場に相応しい最高のステージにしてみせるよ』
月永「うん…一緒に眠れるように素晴らしいベルスーズにしよう。」
『ベルスーズって……あぁ、子守唄ね…
そうだね、どうせなら軍歌よりも子守唄のほうが眠れそうだ。『戴冠式』について『王さま』のご意見を聞いても…?』
月永「あぁ…もちろんだ!」
レオは『戴冠式』について自分の構想を聞かせてくれた。卒業後に卒業旅行と称して泉のいるフィレンツェで『Knights』のライブを行う。そこで改めて新しい『王さま』に王冠を授与し、レオの『Knights』と新王の『Knights』どちらもを見れるような構成にしたい。
一つの節目となるように。
『そう…じゃあ、二部構成がいいな…会場もいいところにしよう。出資は最悪…私から…』
月永「おれも出資するから、大きな…盛大なライブにしよう!『王さま』と『女王様』の最後の贈り物だ!」
『……そうだね。妥協するのはかっこ悪いね』
レオもそのライブに必死になっているようで、出し惜しみはしないというのが聞いてるだけでも伝わる。
その後も、レオは思いつく限りの案をくれた。具体的なものから、抽象的なものまで霊感(インスピレーション)が浮かぶ限り話してくれた。私はそれを必死にメモしながら、自分の中で舞台を作り上げていく。足りないものは?何から取り掛かる?この天才のイメージをどうすれば最高の形に…
『待って…レオ…少し待ってほしい』
月永「…どうした?」
『あとちょっと…で…できるから…衣装と…セトリと……舞台もできるだけお客様に近づける機会を増やして…』
月永「……」
『…あっ…待って新曲できそう…』
月永「あはははは☆」
『うわぁっ!』
レオは笑いながら横にいる私を抱きしめ肩に顔を埋める。私は驚いてメモしていたペンを落とす。
『な、なに……?』
月永「おまえは本当に不思議な子だ」
『仕事の話中だよ…?』
月永「一回休憩。…おれ、おまえのこと理解できない」
『えっ、傷つく……けど、私もレオのこと理解できないかなぁ…
でも、それでいいんじゃない?お互いわからないからこそ、その違いを愛せる。違うからこそ面白くて感動する。違うからこそ知りたいって思う』
月永「あっ!でも一つだけわかることある!」
『わかること…?』
月永「紡はおれのこと大好きってこと!」
『…なっ!…ちが…!くはないけど…そんな正面から…』
月永「そんでおれも紡が大好き!」
『……どうも…』
レオは笑っていた顔を少し真剣な顔にして、顔を近づける。この行為も最初は焦ったけど…、公私混同しないと決めた私のやり方に付き合ってくれてる彼にこんなとこまで叱るのはおかしいと思って受け入れれば少しは慣れたものだ、と目を瞑る。
それが重なれば、柔い感覚に愛しさと満足感が私を襲う。彼に身を預ければ彼もそれを理解していぎゅっと抱きしめてくれたあと、ゆっくりと体を離す。
月永「…へへへ…、奪っちゃった〜」
『……えっ…奪われちゃった…?』
月永「じゃあ…仕事の話の続き…」
呆然とする私を他所に、彼はまた話の続きを話す。私はまだ、唇に残った感覚が熱を燻らせて…、落としたペンを拾うこともできなかった。
『…公私混同しない…って言ったのに…』
月永「それは守ってるだろ〜」
『私に言ってるの…!あぁああ!無理だぁああ!』
月永「…?」
どうやら、公私混同してしまっているのは私の方で…。彼のほうがちゃんと住み分けできているそんな気がしてしまった。
日が経つにつれ、自らの欲の方が強くなっている気がする。最初の方が住み分けられていたはずなのに…。
最後の仕事
『…私は意志の弱い女です…』
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