レクイエム*誓いの剣と返礼祭
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朱桜「レオさん、今までの私の話に、何か問題がありましたか?文句があるなら言ってください、さぁ!どうぞご自由に!」
月永「……文句なんてないよ
あるわけないだろ。我が子が立派に育ってくれて、パパも『ママ』も鼻が高いです」
朱桜「あなたもお姉様も、両親でも兄弟でもありません
けれど。あなたは、そのようになりたかったのでしょう?家族と同じかそれ以上に、愛し愛される存在に?」
月永「……勝手に決めつけるなぁ、相変わらず?」
朱桜「はい。決めつけます。そういう性格です、ご存知でしょう
鳴上先輩、凛月先輩……。あなたがたも、気づいているようにお見受けします。瀬名先輩だけは、なぜか未だに当惑されているようですけど
そんな瀬名先輩が最も、このひとを傷つけているのです。反省し行いを改めてください、さもなければ武力に訴えます
剣をもって仲間を守るのが、騎士の使命ですから
君主の、『王さま』の責務でもありますね」
司くんは、泉に向き直りパフォーマンスで使用する剣を向ける。
泉は驚いた顔で司くんを見る。
瀬名「え……っと、どういうこと?な、何で俺が責められる流れになってるわけ?わけわかんない!」
鳴上「泉ちゃん、まだわからないの?じゃあ今後はもう二度と、アタシに上から目線で偉そうにお説教をしないでよねェ?」
凛月「ん。何もわかってないやつに訳知り顔で文句を言われるのが、いちばん不愉快だしねぇ
セッちゃんは反省するように……俺も、さっきから反省しまくり
ほんと、『あの子』みたいに傍観者気取ってないでもっと早く踏み込むべきだった
距離が遠くて見えてなかったんだねぇ、ちゃんと声は届いてたのに理解できてなかった
ねぇ『王さま』、って呼ぶよ。今はもう立場的にはそれはス〜ちゃんだけど、渾名を考える時間も惜しいから」
月永「いや、普通に名前で呼べば?レオくんでもレオさんでもいいぞ〜、ただ『先輩』だけは勘弁して!同い年だから変な具合だし!」
凛月「うん。じゃあ月永レオくん……ごめんね
疑って、信じてあげられなくてごめん」
ナルちゃんも凛月も、レオの考え方に気づいたのだろう。二人してレオと向かい合う。レオは驚いた顔で二人を見つめる。
鳴上「アタシも謝るわ、ごめんなさい。器用に振る舞ってるつもりで、アタシは大事なことが何もわかってなかったのね…ほんと、八方美人って言われても仕方ないわ」
朱桜「ふふ。流石です先輩がた、やはり私と同じ結論に達していたようですね」
瀬名「……?……?」
泉は何で二人がレオに謝ったのか、何で司くんがそれを見て自信満々に微笑むのか。理解できていない様子でキョロキョロとメンバーを見る。司くんがそれを見てからレオに向き直る
朱桜「月永、レオさん。これは念のための確認ですので、お気を悪くされないでくださいね……。あなたは、”idol”を辞める気は毛頭ないんでしょう?もしも”idol”を辞めるのがあなたの望みならば、『”Requiem”』はこんな内容にはなっていません
振り返ってみれば、さんざん挑発されその気になった私たちは死力を振り絞って……激戦を経て成長し、さらに強大な存在へと生まれ変わりました
もしも生まれ変われず、『”Requiem”』が失敗したら……私たち全員が失格になったら
その場合は潔く『”Knights”』を解散し、あなたも”idol”を辞める気だったのでしょうけど。その場合は、信じるものが馬鹿を見た……といことで
”idol”が大好きだし辞めたくないけど仕方ない、そんな弱いやつは遅かれ早かれ潰れてしまうからと
いつかの未来に誰か知らないやつに殺されるぐらいなら、今ここで愛をこめて自分が片を付けようと……そう思ったのでしょう?」
月永「………」
『レクイエム』のゴールは『Knights』の生死だ。愛すべき存在の『Knights』を殺すのは自分でありたかった彼と『アイドル』を続けたい、続けるなら『Knights』でありたい彼の生死をかけていた戦いだったんだ。
これで少しは、『王さま』も報われたかな。
朱桜「あなたは、作曲を愛しています。天賦の才もあります
けれど、だからといって”idol”活動が嫌いだという証拠にはなりません。そんな理屈はありません
愛に貴賤はないのです。我々は、たったひとつのものしか愛せないわけではありません
一族も”idol”活動も愛している私のように、何かを愛しているからといって、他のものに向けている愛が偽物になるわけではありません
すべてが本物の、愛です。価値があり、尊く、どんな愛も決して紛い物にはなりません
何かひとつしか愛せない、あるいは『いちばんの愛』があり他はすべて愛ではないと断ずるものがいれば……
そのようなものは、無知蒙昧という誹りを免れないでしょう。愛というものを、そして人間というものをまるで理解していない慮外者です
好きの反対は無関心。もしもあなたが本当に”idol”に興味がなくて、どうでもいいものだと思っているなら……なぜ、夢ノ咲学院の”idol”科に入ったのでしょう?」
月永「……当時は可愛い『あの子』に振り向いて欲しくてとか…、けどいろいろ哀しいことがあって嫌いになった。あるいは無関心になったとは考えられないか?」
朱桜「いいえ。私が知るかぎり、”idol”として舞台に立ってるときのあなたもそれを見る『あの方』も常に幸せそうでした
楽しそうで、キラキラ輝いていて……。その際にあなたが浮かべていた笑顔が偽りだった、あるいは私の見当違いの錯覚だったとは思えません
あなたは”idol”というものを、深く強く愛している
そして、『あの方』はそんなあなたを心から愛していらっしゃいます。悔しいですけど
そんなあなたに、”idol”を辞める理由がありますか?ないでしょう?
卒業してしまうから、環境が変わるから”idol”を続けられない?進路の関係で、どうしても”idol”を辞めなくてはならない?
現時点ではあなたに何もかも劣っている私でも、その気になれば環境や進路の問題を振り切って”idol”を続けられるのに?まさか我らの偉大なる王が、そんな簡単なこともできないと?そう思っているのなら、あなたを軽蔑します。何が天才ですか、凡人以下ですよ
『あの方』に相応しくもない」
月永「……なかなか言うなぁ、小童が
『アイツ』のことに関しては、触れないでいてやる。わはは。何か楽しくなってきたぞ〜、名探偵に追い詰められる犯人の気分だ」
自分の考えていたことを言い当てられたのか、レオは大笑いした。司くんは呆れた顔で、レオを見る。
朱桜「いいえ。そこは騎士に追い詰められる悪党、などと表現してください。ううん。あなたは何も悪くないのですよね、悪かったのは私たちです
あなたを……。同時に、私たち自身のことも信じきれていませんでした」
そんなレオに、みんなは何度も…、特に泉が言うのはアイドルを続ける気が本当にあるのか、辞めたりしないか……と。まるで辞めることを前提としたみたいに…。
それもそうだ。レオはいつも作曲してたり逃げ出したりして。誰かが見つけてあげなければ舞台に上がろうとはしなかった。
あがれば舞台の文句にダメ出し。口を開けば後継に引退するだの…。辞めたいと思っている、と思われて仕方ないのだ。それを人一倍気にしていたのは紛れもなく泉だった。
でも、それを重ねれば重ねるほどレオは憧れていた『アイドル』への思い、感覚を取り戻していった。
『アイドル』になりたい。その感覚を彼はすでに取り戻していたんだーー
感覚を取り戻して
『本物のアイドルに』
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