レクイエム*誓いの剣と返礼祭
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月永「本当に怒ってるのかぁ?ごめんってばぁ〜」
『別に怒ってないってば!あぁ〜もうレッスンしなよ。新曲の練習すれば?』
月永「ほら怒ってる!」
『怒ってないってば!もう泉呼んで欲しいの⁉︎それともナルちゃん?司くん?』
月永「……やだ、今は他の男の名前出さないで。」
『…やだって…子供か』
レオは私が歩く道を塞ぎ、両頬を膨らませ上目遣いでこちらを睨む。本来彼女である私がやるような真似をなんで彼氏である君が平気でやってのけるのか。到底理解できない姿だが…。
『わかった。それで?私にどうしてほしいの…?』
月永「…なんでもしてくれる?」
『えっ…いや、無理だけど』
月永「そこは良いよっていうところじゃん!」
『何されるかわかったもんじゃない…言うわけ無いでしょ。ん〜…まぁできる範囲でやる』
月永「チューして」
『交渉決裂だ。残念だけど、他の仕事があるので失礼します。月永さん』
月永「うわああ…、嘘だ嘘!ごめん冗談だってば!」
レオを避けて遠おり過ぎようとすれば、レオが後ろから腰に抱きつき私の歩を止める。彼が本気で反省してるのはわかるけど、側から見てれば巫山戯てると思われてもおかしくは無い。
『じゃあなに…?仲直りになにしてほしいの?』
月永「一緒に曲を作ろう!作詞から作曲まで一緒に…!」
ーーその日の放課後
瀬名「…で?なんで俺がここにいるわけ」
月永「そうだぞ!なんでいるんだセナ!」
瀬名「だからぁ〜俺が聞きたいんだってばぁ」
中庭のいつもの場所。今日は後輩たちが新曲のパフォーマンスの打ち合わせと言うことで、先輩組は暇な日と言うこともあり時間を持て余した泉を誘って三人揃って中庭のテラスにそれぞれ座っていた。
『別に一緒に作曲すればいいんでしょ?じゃあ泉がいたっていいじゃん。』
月永「おれは紡とふたりがっ!」
『いいじゃんっっっ、昔みたいに三人で作曲したって!』
瀬名「紡…?」
『もう、私は『Knights』の曲を作れないかもしれない。騎士にはなれないかもしれない…だから、最後に作る曲は三人で作りたいって思ったって…いいじゃん…』
そう呟けば、泉は無言で立ち上がって私の元へと歩み寄る。
その顔は少し怒った顔をしていたけど、どこかで見たときみたいに暖かさを秘めていた。
瀬名「あんたが、やめるって決めたんでしょぉ?だったら、情けない声出さないの。本当わがままばっかりで振り回して、チョ〜うざぁい」
月永「そう言うことなら、三人で作ろう!まぁっ、これからも作る機会はあるだろうけど三人で作るのは学生最後の曲だ!あはは☆名曲を生み出して、後輩どもをまた驚かせてやろう!」
瀬名「じゃあさっさとやろう、曲はすぐとしても作詞は時間かけよう。せっかくなら、あいつらもお姫様も涙するようないい曲にするよぉ〜」
月永「セナもやる気だなぁ〜、このこのぉ〜」
瀬名「あぁあもう!うざぁい!」
『…ふふ。あははっ!面白い!』
レオと泉のやりとりが昔見たときと同じで、なんだか懐かしくなって笑ってしまった。ふたりは私の顔見て驚いたあと一緒に笑っていた。
久しぶりのこの感じに「あぁ、あの頃に戻ってきたんだ」と不思議な錯覚を起こしてしまった。
『ごめんね、レオ。意地悪しちゃって…でも、少しは私の気持ちもわかってくれた?』
月永「…うん、今度からは話すようにする。ううん、これからは紡に相談するよ。おれこそごめん。でも、浮気はやだから…ごめん…」
瀬名「ちょっと〜…俺がいるんだけど」
レオは謎に二度の謝罪をしてから座った私を抱きしめる。レオの肩越しに泉が呆れた声を漏らす。
私は引き剥がすわけにもいかず、大人しく抱きしめられる。お互いの空回りがやっとわかり合えた瞬間だったと思う。しかし、少しすればレオが離れる。やっと解放されたと思えば私の肩を掴んで、顔を近づける…
…近づける?
『うわぁあああやめてえぇぇ』
瀬名「ちょっっ!人前だっつぅの!チョ〜うざぁい!」
月永「なんだ!まだいたのかセナ!」
瀬名「いつ別れの挨拶したのぉ!?なにこいつ!」
『どんな流れで顔近づける気になったのか、理解不能すぎるっ!』
月永「そこに彼女の顔があったからっ!」
『山みたいに言うなっ!』
泉は近づくレオの腰を掴み引っ張り、私はレオの肩と顔を押しやる。少し粘っていたが、「キスしたら逃げる」といえば大人しく離れていった。何が面白くて友人の前でキスなんてしないといけないのか、恥ずかしい。
月永「冗談だってばぁ〜もう、冗談の通じないふたりだなぁ〜あはは☆」
瀬名「絶対冗談じゃなかったでしょぉ〜…やめてよね。あんた一応アイドルなんだからさぁ…」
月永「別にセナの前だしいいだろ!あはは」
絶対本気だった…。流石に、しないよね…。流石に…レオは私の右隣に座って、泉がそれにならって左隣に座る。間に挟まれてから一区切り、とギターを少し鳴らす。
瀬名「どんな曲とか決まってんの?」
月永「いや!今から作る!」
瀬名「はぁ⁉︎本当に1からな訳ぇ⁉︎ありえない!時間かかりそう〜」
『ん〜すぐ出来そうだよ?ふたりがいると、霊感(インスピレーション)が湧いてくる♪』
月永「あぁ!すぐ出来そう♪」
レオと私は同じ紙に音符を書いていく。ふたり同時に書くなんて普通は邪魔だが、レオとなら気にならない。たまに私が書いたところにレオが線を引いて「こうがいい」と修正し、私はそれを音に変えてレオが書いたところの続きを書いていく。それを続ければ曲は終わりへと向かっていく。仕上げはいつもレオの仕事なので、手を離せばレオが私の手首をがしりと掴む。
月永「この曲の最後は紡が決めて」
『…え?で…でも…』
月永「この曲は…ううん、このオペラはお前が完結させるべきだろ?」
『…わかった。』
私は思うままに、曲を最後まで書いていく。『Knights』にとって、これが終わりであり始まりの曲となるようにと、スラスラと書いていけば楽譜は終わりを迎える。
『出来た…!』
月永「おぉ!さすがだ!弾いてみてくれ!それで詞もつけよう!」
瀬名「いや、なれたけどさぁ…あんたら早すぎ…」
月永「当然だ!ほら!セナも頭を捻って!作詞しよう!」
瀬名「はいはい…」
完成した楽譜を一度確認してから机の上に楽譜を置いて三人で見えるようにする。私はギターを弾きやすいようにあぐらをかく、するとレオがブレザーを脱いで膝にかけてくれる。ありがたいけど、別に気にしないのに…まぁ自分が嫌なんだろう。そんな顔をしていた。
一度弾き終われば三人で作詞をしていく、その作業は外が暗くなるまで続いたのだった
懐かしい時間
『あの頃と同じ、時間も忘れて三人で騒いでいた』
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