レクイエム*誓いの剣と返礼祭
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『返礼祭』まであと五日ーー。
『Knights』はレッスン室を借りて、今日はそれぞれの演目で行う楽曲の歌合とダンスのチェックをしていた。
あんずちゃんもパフォーマンスに合わせてステージのチェックやみんなのダンスのチェックを行っている。そんななか私はパソコンを開いて床に座って作業をしていた。
ーー数分後、休憩に入ったのか凛月が近寄ってきて私の膝に頭を乗せる。
『ちょっと、邪魔だよ。』
凛月「ん〜…冷たいよねぇ〜どうしたの。」
『ふふふ…初めての冒険にウキウキする少年の心を忘れない…、あとちょっとでみんなの『冒険の書』が完成するのだ〜…』
凛月「…?なんの話…?」
『泉〜!これってケースある?』
瀬名「紙のやつならあるけど紙でいい?」
『いいよ〜、あとカバンからペンケース頂戴〜』
瀬名「はいはい…。」
泉は私のカバンからペンケースを出して投げる。それを受け取って真っ白CDに「1、2、3」と番号をふっていく。泉が持ってきてくれたケースにそれを入れて、みんなに声をかける。
『ほらほら、後輩たち〜みんなそこになおれ〜!』
朱桜「…?どうしたのですか?」
鳴上「急に、どうしたのォ?」
『年功序列だ!凛月から選べ〜!』
凛月「なんなの急に〜」
そう言いながらも、凛月は差し出したCDを1枚選ぶ。そして、ナルちゃんに差し出せばまた1枚減らしていく。そして、最後に残った1枚を司くんに差し出す。
『よし!選んだな!それを今回の『返礼祭』の演目に加えてもらう!完全新曲!』
「…‥え⁉︎」
『私は君たちを甘やかしすぎたと反省している!試練も与えず、ひかれたレールの上を歩かせて、たまに王さまがその道に大岩を乗っけても一緒にそれをどかせてきた!仲間意識に甘えて、依存して…私はダメな女王様だ!
だから、最後に私なりの試練とAirをあげよう!女王様じゃなくなる私の最後の仕事だと思って!』
朱桜「ま…待ってくださいお姉様!おっしゃってる意味がわかりません。」
『じゃあ順を追って説明しよう!まず、『返礼祭』におけるレクイエムの仕組みについては、先日あんずちゃんが説明した通りだけど一人三回の演目でそれぞれが『王さま』となってパフォーマンスを決める。もう、二年生は決まってきてるし、司くんも案が固まってきたところだろけど、君らがいま手にしている私の天才的な名曲を演目に加えてパフォーマンスをしてください!
そして、もし前半戦の成績が一番の好成績を残せなかった場合!私は『Knights』を卒業します!これはどっかの『王さま』と違って本気です!
私から君らへの『
朱桜「”Air”…応援ですか…?」
凛月「違う。紡が言いたいのは『Aria-アリア-』。オペラとかで、聞かせどころとなる曲のこと…だよね?」
『そう!アリア!君らに渡したのはレクイエムというオペラの中で、大切な大切な聞かせどころとなる『アリア』!モーツァルトは必ず聞きどころを作って、その曲で必ず観客の心を惹きこんだ!
私は、一番になれる優秀な騎士しか興味ない…!君ら『Knights』ときたらなんだ!結局『王さま』が岩を置かないと動かない自堕落な騎士たち!それと3番までになんて甘えた条件をつけた女神様!
残念!私は強欲な女王様だ!1番がいい!
2番や3番で満足するなんて無理だ!いつも思ってた!負けても慢心できる君らの余裕はなんだ!なんで世紀の天才を2人も抱えてなんで勝てない!なんで満足する!
君らを聞かせがいのないド三流オペラに育てた覚えはない!
私はこの2年、ずっとずっとモヤモヤしてた!だけど、もう無理!私が聞きたいのはモーツァルトが偉い人にペコペコしてでも紡ぎたかった至高のオペラだ!
君らはその足元にも及ばない!だから私は1番になれなかったら1人で旅立って本物のオペラを紡ぐ!
『王さま』も女王様の名前も捨てて、崇高なそれでいて自由な本物のオペラを紡ぐために!』
語り尽くせば、みんながポカンとこっちを見る。すると事情を知った泉がやれやれと首を振る。
瀬名「とにかく、残り5日でその曲を完璧にして客前で披露して1番を取って来いって話」
朱桜「なぜ、瀬名先輩は驚かないのですか?こんな…無茶ぶりです…」
『当然!無茶ぶりなんて慣れっ子でしょ!ちなみに泉が知ってるのはその歌の仮歌を泉が歌ってるからだよ!ほんとは歌なしでやろうと思ったんだけどね!泉はいい先輩だからっ!感謝して聞け!
それと当日まで私はレッスンにこない!結末のわかった舞台ほどつまらないものはないから!』
あんず「そ…そんな…」
『あんずちゃんも本気で頑張れ!私は甘えた条件は許さない!優位な条約じゃないと結ぶ価値無し!
私はワガママな女王様だから♪いくら法を司る女神様でも!この国では私がルールで法律だ!
『王さま』が女神に浮気するから、私も騎士と浮気する!久しぶりに泉と話し合って曲を作るのは楽しかった…!』
あんず「浮気なんて!」
月永「黙ってたのはごめんって謝っただろ!」
瀬名「謝ったら何してもいいわけぇ?」
『いいんじゃない?謝ったらなにしても』
瀬名「はぁ!?俺今あんたのことフォローしてやったんだけど!」
『謝ったらなにしてもいいんでしょ?だったら私も謝る!ごめん!泉と浮気して作曲楽しんだ!
あはは☆黙って人のこと振り回す『王さま』なんて首チョンパされてさっさと代替わりしちゃえ☆
…早くただの…『月永レオ』になっちゃえ…』
月永「紡…」
凛月「自分が傷つくなら言わなきゃいいのに…」
『うるさい!私は決めたことは曲げない!
これはお前らド三流『アイドル』に捧げる『Air』だ!受けるか受けないかは自分で決めなさい。
そして受けたなら完璧なパフォーマンスで観客の心を惹き付け一番になりなさい!
それが私の最後に君たちへ捧げる試練であり、エールであり、希望だ...!私のこれからも今までも捧げよう!1番でなければ女王様という騎士を失う。3番以下であればあんずちゃんを失う。そして誰かが手を抜けば『Knights』は解散する。そして、『レクイエム』で革命がなされればレオは『王さま』を退任し、騎士となる!
でもこの難局を乗り越えれば、私たちは『Knights』はずっと一緒だ。本当の幸せをつかみたいなら、最高の『アイドル』になってみせろ!!
私がとどまって、支えたいと一緒に居続けたいとおもえる最高の『アイドル』に!!
私からは以上だ!それでは、愚かなド三流オペラ歌手ども!また会おう!』
そう言って、私はレッスン室を後にして廊下を歩く。
あぁ〜スッキリした。毎回毎回、レオはこんな爽快感を味わったうえで、仲間とレッスンをするなんてイかれたメンタルを持っている。
しかし、その一端を感じられてそれもまた私に清々しさを与える。今回の『Air』が『レクイエム』の得票数にどう作用するか、わからない。それでもどのような結果になっても、私はもう後悔はない。言ったとおり私が愛すのは至高のオペラ、そして最高の『アイドル』だ。
みんなを最高の『アイドル』にできる。最後のチャンスだ、そう思ったんだ。
最後の『Air』
『響かせて、私のアリアを』
アリア→イタリア語で『
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