レクイエム*誓いの剣と返礼祭
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私は何も言えず、言葉を連ねる彼を見つめる。彼が何を言いたいのか、彼が何を伝えたいのか。わからないけど、ただ私が知っているのは、彼が『Knights』を大切に思っていること、みんなを本当に愛していること。それは間違いない事実のはずなのに。
彼はまた自分を苦痛に追いやって、なおかつ大切なものを壊そうとしている。それはだめだ。あってはならない。
そう思って繋いだままの手をギュッっと握り締めれば彼もそれに合わせて握り返す。離すことは許されないこの手でどうか、どうかこの想いが彼に届けば良いのに。
鳴上「このっ……。本当にどうしちゃったのよォ、『王さま』⁉︎」
月永「気安く呼ぶなよ下民!小器用に生きてるだけの若造が!おれを『王さま』って呼ぶなら、おれもそんなふうに振る舞うぞ!偉そうに君臨し、庶民の気持ちを一切……理解せずに高笑いしてやる!
わははは!わはははは!おまえのことはよく知らないけど、何となくの想像で言ってやる!適当に!
嘘つきは何も手に入れられない、八方美人は誰からも愛されない!ほんとうに欲しいものがあるなら踏みこんでこいよっ、他人のものを奪う度胸もないなら引っこんでろ!おまえは優しいんじゃなくて臆病なだけだっ、小指の先を切っただけで泣いて引っこむ女子供だ!
戦士じゃない、騎士じゃない!だから何も手に入れられない!ほらほら、おれにどこにも行って欲しくないんだろ?じゃあ力尽くでも抱き留めてみろっ、おまえのほうがデカいし強いんだから可能だろ?簡単簡単!
だいたい、おまえはうちのお姫様と女友達気取ってて何かあると側にいて相談にものってて、しょ〜じきムカついた!羨ましかった!けどおまえはおれらには何も話さないな!
おまえ!名前も知らないおまえ!おまえは誰だ?お姫様以外にはちっとも踏みこませてくれないから、けっきょく最後までわかんなかったな!いい話し相手がいてよかったな!お姫様は口がオオジャコガイのように固い!踏みこまれたくないことには絶対聞いても教えてくれない!べつに良いけど!おまえはふみこんでほしくなかったんだもんな?肉と肉でぶつかりあったら傷ついちゃうもんな、それが怖かったんだろ?
喜べ!おまえの願いを叶えてやったぞ!どうだ幸せだろっ、だったら税金を支払え!
おれの邪魔をするなっ、ちいさな平和な一戸建てで鉢植えや猫を育てて生きてろ!満足して生きてろ!おれに関わるなっ、どうせ最初から関わりたくなかったんだろ⁉︎」
鳴上「………!」
瀬名「ちょっと……。いいかげんにしなよ、この馬鹿!自分が何を行ってるか理解してる?何でそんなことするの?紡がどんな顔してるのかわかってんの?あんたは誰も傷つけない、優しいやつじゃなかったの?
ううん。あんたを『そんなふう』に変えちゃったのは俺と紡…ううん。俺だ。俺に謝ってほしいの?
だから俺以外のやつを傷つけて、人質に取って俺を脅迫してるの?だったら、もうわかったから……。これ以上は止めてよ、俺の負けだから。無条件降伏するから、自分や周り……紡を傷つけるのは止めてよ
ごめんね、れおくん………。謝るから、もう止めてよ」
レオは泉の言葉を聞いて私の顔を見る。私は、泣かないようにと目を強く瞑って下に顔を向ける。レオは繋いだ手をぎゅっと握る、私の想いを受け取るつもりはないんだと察する。彼は自分もみんなも傷つけて、成長痛を与えようとしているんだ。だったら信じるしかないのか…。私は彼にされるがままになるしかないのかな…。
月永「………」
朱桜「皆さん
あのう。空気の読めない発言な気がしますが、いったん落ち着きましょう
やや出遅れてしまって、お陰で全体が見えるのでよくわかるのですがーーー
何もかもが、おかしいです。あらかじめ脚本をつくって、滑稽な芝居をしてるみたい。まんまと踊らされていますよ、先輩方。らしくないです、しゃんとしてください」
月永「ん〜……。横から急に口を挟むなよ、何だおまえ?誰ですか〜?」
朱桜「私の名前は、朱桜司です
忘れられても、何度でも名乗りましょう。あなたには、なかなか覚えてもらえなかったので……。また忘れられても、べつに”Shock”ではありません
ちっとも傷つきません、あなたの刃は私には届かない」
月永「………」
司くんにみんなの視線が注がれる。台本…作られたシナリオ…なのか。だとしても、私の心は傷ついている。『Knights』という私の宝物を傷つけることがレオの台本なら、私はそれを許すことはできないかもしれない…。
朱桜「王よ、我ら『Knights』の王よ。あなたが本当に、歴史上には星の数ほどいた暴君たちのように発狂したのではないなら……その頭のなかには理性が、思考があるはず。その言動には、何らかの深い意図があるのでしょう
それを考えてみました。いまだ、未熟者の身の上ですが……。だからこそ、乏しい経験をすべて短時間で振り返ることも可能です
あなたの、今の言動には覚えがあります。あなたはいつでも意味不明で、”Funky”で”Crazy”で……けれど、決して仲間を……そして何より紡お姉様を傷つけようとはしませんでした
過去には、何度も血まみれの内輪揉めをしていたようでしたが……私の前ではいつだって、理解不能ではありましたけど、優しく頼もしく名君でした
そんなあなたが我らを害しようとしたのは、私が経験したかぎりではたった一度だけのこと忌々しい傭兵団を引き連れて、本気で刃を向けてきたあの『”Judgment”』の一幕のみです
今回も、同じなのではありませんか?」
レオと司くんは見つめあって少しの沈黙が続く。レオは黙ったまま司くんのことを見るが、先程までの手の震えは消えていた。
君の静止
『司くんの言葉がレオを包む』
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