レクイエム*誓いの剣と返礼祭
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次の日。
『Knights』の拠点と化したスタジオにメンバーが揃っている。それに加えて、あんずちゃんがいる。
『…あんずちゃんがいる…?』
あんず「お邪魔してます。」
『…なにしてるの』
月永「耳かき〜」
『…ほ〜…』
そう、あんずちゃんはなぜかレオに膝枕をして耳かきをしていた。あんずちゃんはすぐに立ち上がろうとするがレオが「まぁまぁ」と元に戻す。私はそれをみてパイプ椅子に座る。仕事用のイアホンをつけて机に向き合う。
『仕事しましょうね〜…』
朱桜「失礼いたします!『Knights』の皆さん!しばし留守にしていて申し訳ありません!朱桜司、不肖の身ながら本日より活動に復帰いたします!どうか今後も、ご指導ご鞭撻のほどお願ーーーいいっ⁉︎」
月永「?どしたスオ〜、妙な声を出すなよ〜……。何か久しぶりな気がするけど、元気ですか〜?」
朱桜「げ、元気は元気です!健康には気を遣っていますので!あと、体調を崩したのは父であって私ではありませんから!」
月永「ふぅん。それなら良かった。でもお願いだから静かにしといて、あんずがようやく大人しくなったところだから」
朱桜「そ、その点が問題です!なぜ、あんずさ……あんずお姉さまがいるのでしょう⁉︎」
月永「『なぜ』って。こいつ忙しそうにしてたから悪いかなとは思ったんだけど、今日の打ち合わせに必要だったから呼んだ
ついでに。『返礼祭』当日はお互い忙しくなりそうだし、暇な今のうちにホワイトデーの贈り物をしてる
おまえも、そういうのはちゃんとしとけよ〜……あんずにはお世話になってるんだろ?」
朱桜「そ、それは当然です!決して忘れてなどいませんでした、ええ!しかし”Whiteday”の贈り物といえば花束やお菓子などでしょう、そんな……そんな淫らな行為が贈り物になるとは思えません!ましてや、”leader”には紡お姉様という恋仲の方が居られるのに、は、破廉恥です!今度という今度は見損ないましたっ、”leader”!」
月永「何でそんなに興奮してるんだ……。静かにしろってば、スオ〜
おれもアイドルなのでえっちな真似はしません、単にちょっとあんずに耳かきしてやってるだけだろ?
こいつ、放っておけば命を削って働こうとするしさ。ちょっと休ませてやろうと思った。それが返礼になる
うちのルカたんも神経質なところあるから寝付きが悪い日があるんだけど、こうしてやるとすぐ眠ってくれるんだ……♪」
大人しく仕事をすれば、うるさくなった声が聞こえてきてイアホンを外す。振り向けば、そこには司くんとレオが言い合っていた。
朱桜「ず、ずるいです!”leader”はいつもいつも、私の欲しいものを奪う!」
月永「え〜?おまえにはむしろ与えてばっかりだと思うけど?仕方ないにゃあ、あんずの後におまえも耳かきしてやるから許して♪」
朱桜「わ、私がされたいとかではなく!お姉さまに騎士としての心尽くしをするのは、我ら『Knights』全員の役目であってですね⁉︎…というか…ああああ!紡お姉様がどう思われていることか…!」
『別に』
朱桜「紡お姉様がっ!お労しい…!」
司くんは、なぜか絶叫しているがあまり気にせず作業に戻るためにイアホンをつけようとするが、司くんが肩を揺する。私は作業を止めて、ふたりのやり取りを見る。
朱桜「う、うう〜っ?でもあの、うまく説明できませんが何もかも耐えがたいです!私は狭量なのでしょうか⁉︎」
凛月「う〜る〜さ〜い〜な〜……?」
朱桜「んひゃぁ⁉︎い、いらっしゃったのですね凛月先輩⁉︎何度も申し上げているとおり、炬燵に潜って寝るのは健康に良くないですよ⁉︎」
凛月「大丈夫大丈夫。俺は不死身の吸血鬼だからねぇ、……ふあぁふ♪ねむねむ……。何か久しぶりに賑やかだねぇ、ス〜ちゃんのお陰かなぁ♪」
『……賑やかが取り柄なの司くん…』
月永「はは。誰にでも取り柄はあるな〜。でもまぁ、戦う集団である『Knights』に賑やかしのラッパ隊は必要不可欠ってわけじゃないんだけど」
朱桜「……?」
机の上のメモ帳に頭に浮かぶ言葉をメモしていく。しかし、紙いっぱいになった言葉を見ると、あまりに重く苦しい言葉の羅列に頭痛がして紙をグシャリと丸める。
それと同時に、ドアが開く。そこにはナルちゃんが少し肩を上下させて入ってくる。
鳴上「ごめん!ちょっと遅れちゃったわァ!
泉ちゃんったら今後は海外で活動するのは良いとしても、国内の仕事を途中でほとんど放り出しちゃうつもりだったみたいで!引き継ぎやら関係者への挨拶回りやらで、右や左の大騒ぎよ!
今日も昼からアタシまで付き添って事務所に出向しててさァ、いろいろ片付けてきたところ!もうっ、相変わらず泉ちゃんは『お別れ』が苦手ねェ?
自分なんかいつ消えても誰も気づかない、とか見当違いも甚だしいこと思ってるんじゃないでしょうねっ⁉︎」
『あらあら、怒りすぎてメイクよれてるよ。可愛い顔が台無し』
瀬名「ごめんってば……。でも俺、みんなに嫌われてるって思ってたしさぁ?」
鳴上「もう!ほんと最悪!たとえ嫌ってる相手でも、煙みたいに消えるのを見過ごすなんて有り得ないから!お別れにも手順があるのっ、お祝い事と同じように儀式だって必要なのよォ!お愛想でも単なる社交辞令でもいいから、いちおう顔を見せて『さよなら』ぐらい言ってよ!」
どうやら、ナルちゃんと泉はモデル業界のことで走り回っていたそうだ。海外にいく泉は何も言わずに日本から出て行こうとしているのを察した事務所とナルちゃんが泉を引きずり出したというわけだ。
『有り得なぁ〜…不義理な…男だよぉ〜』
鳴上「ほんとよ!有り得ないっ、不人情にも程があるわよォ⁉︎」
瀬名「う〜ん……。いやまさか事務所がお別れパーティみたいなの準備してるとは思わないじゃん、こっちは何も知らなかったんだから無罪だよねぇ?」
鳴上「もう!先輩ぶってるくせに、あちこち常識が欠落してるわよねェ!」
『あぁ…うん…そうね。』
鳴上「いっつも『プロとして』云々って偉そうにしてるくせにっ、変なとこだけ子供っぽいままなんだから!」
ナルちゃんは泉へのイライラをぶつけるように肩を前後に揺らされる。私はグラグラしながらされるがままに揺れる。
泉は「俺は悪くない」と知らん顔するが、事務所に戻したナルちゃんの名前に傷がつくのだから、ナルちゃんも様々なイライラのあまりか私をさらに勢いよく揺らす。
『ごめん、ちょっと…気持ち悪い…』
鳴上「あぁ腹立つっ、久しぶりにトサカにきた!ほっぺをつねってやるわ!」
瀬名「痛たたっ⁉︎やめてよねぇっ、何なの近ごろ変にピリピリして……チョ〜うざぁい!」
『……』
おかしい。こんなに賑やかな状態で、何で君はそんなに怖い顔をしているの?何を考えて、何を見て、それから何であんずちゃんを呼んでいるの…?
いったい、何をするつもりなの…?
君の表情
『みんなの表情が気になってしまう』
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