MainStory〜第一部〜
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あのあと、葵兄弟に導かれるままやってきたのは
案の定あんずちゃんで、
葵兄弟に踊りや体操に歌にと試されて(遊ばれて)いた。
その様子を見つつ、私は縛られた晃牙の頭を撫でながら零さんの座る棺桶の上に紙を広げて詞を書いていた。
縛られた晃牙が唸りながらやめろって頭を振るが、気にせず撫で続ける…なんかうちの犬と同じくらい毛並みがいい…あぁ…髪質がいい。
落ち着くしメロディーも浮かぶけど
ここは作曲に向いてないみたいだ…
五線譜にも音符はなく文字だらけになってしまったのを見て、零さんが「ここはダメじゃったか」と苦笑いしていた。
そうこうしているうちに大きな音を立てて暗い部室のドアが開いた。
明星「たのも~う☆
どこだっ、転校生~?明星スバルと愉快な仲間たちが助けにきたよっ、この印籠が目に入らぬか!控えおろう~!」
そう言って入ってきたのは予想通りの人物だった。明星くんと、氷鷹くんと、遊木くんだった。
やはり、転校生を誘拐して助けにきたって感じかな。
その様子を見てると、零さんが ゆらり と立ち上がり、いつもの調子で話し出す
零「ようこそ
そう騒がしくせんでおくれ、こちとら寝起きなんじゃよ~?
若いもんは元気でいいのう、ふぁあふ♪」
氷鷹「むっ…!?」
驚いた様子の氷鷹くんが何か悩ましげに零さんを睨んでいた。そんな氷鷹くんと眠そうな目をした零さん…不釣り合いな空間に唸っている晃牙の頭をさらに撫で続けた…
零「まぁまぁ。そんなところで突っ立っておらんで、入ってくるがよかろ
お茶ぐらいだすぞ、客人。心配せんでも、おぬしらのようなヒヨッコをいびって遊ぶ悪い趣味はないからのう?」
そういう零さんに警戒しながらも室内に入りあんずちゃんを返すように言う明星くん
零「くくく。いきなり土足で我輩の城に踏み込んできたかと思えば、えらく不躾じゃのう
けれど、そういう腕白な態度も若者の特権じゃ♪
転校生ならほれ、そこにおるよ。うちの子たちが攫ってきてしまったようでのう、そこは謝罪しよう
軽音部の愛し子たちは、どうにも『やんちゃ』でのう?
とはいえ、双子が我輩のために献上してくれた貢ぎものたちじゃ。ほいほいと、『ただ』で返すのも惜しいのう?
おぬしらがまことに夢ノ咲学院の『特異点』となりうる彼女を、そして『道標』となりうる紡ちゃんを、彼女らを扱うに相応しいかどうか…
この朔間零が、ちょろっと試してやろう♪」
あ…私も貢ぎものなんだ…
特異点はまだわかる。あんずちゃんは確かに革命を起こすために必要な存在だとは思う。
だけど、私は道標なんて大層なものではない…零さんはいったい何を考えてるんだろ…あといい加減あんずちゃんを双子から救ってほしい…ずっこけたけど…
そう思っていると彼らの話題もあんずちゃんへと移動する
それを他人事のように眺める
氷鷹「朔間先輩。俺たちの転校生に何をさせているんだ、場合によっては許さんぞ」
零「口の利きかたに気をつけるがよいぞ、坊や
敵をつくるような物言いは、感心せんのう。……生徒会と戦うために、今はひとりでもおおく味方につけておきたい時期じゃろ?」
氷鷹「…? なぜ、俺たちが生徒会に叛意を抱いていると知っている?」
零「我輩はなんでも知っておるよ、この学院のことなら何でも
おぬしら、すこしばかり迂闊じゃからのう。阿呆でも気づくわい、もっと慎重に行動せい
ともあれ。この学院で王者のごとく振る舞う生徒会に刃向かうその気骨はよし、我輩はおぬしらのことを評価しておるのじゃよ?
じゃがのう、生半可覚悟で学院の秩序を引っかき回されるのも困る
昼間の事情には、あまり関わりたくないのじゃが。周りでドンパチされると、安眠妨害じゃからのう?
ゆえに、おぬしらを見定めようと思ってな。こうして、我輩の城たる軽音部部室まで招きよせたのじゃよ。もうひとつ、理由があるにはあるがの。うちの子が、迷惑をかけたようじゃからの。謝らんといかん、と思ったのじゃ
昨日のドリフェスでは、うちの駄犬がすまなかったのう……?」
そう言って晃牙の方を見る零さん、それと氷鷹くん達がやっと私と縛られた晃牙に気づき驚いた顔をしていた。
驚く彼らに私は笑顔で手を振った
『こんにちは♪昨日はワンちゃんがごめんね、私からも謝るから許してやって』
大神「むぐ~っ!?ぐうう~っ!」
『この通り、晃牙も謝ってるから』
氷鷹「大神と夜永先輩っ。なんで大神は猿轡を噛まされて部室の隅っこに転がされてるんだ?そして夜永先輩は大神の頭を微笑んで撫でているんだ?」
零「くくく。うちのわんこは躾がなっておらんからのう、じゃが紡ちゃんの言うことなら聞くからのう。
謝るのが嫌だと駄々をこねるからのう?紡ちゃんになだめてもらっておるのじゃよ
犬のしでかしたことは、飼い主である我輩の責任でもある。どうも素直ではないわんこに代わって、我輩が謝罪しよう」
『私からも、改めてごめんね?』
零「ひとつ、借りをつくってしまったのう?」
『そうだねぇ…』
零さんは優しい。今までの会話を黙って聞いていたが、零さんは転校生であるあんずちゃんのことを思った以上にかっている。彼女を攫ってきて氷鷹くん達が助けにくるのか氷鷹くん達があんずちゃんをどう思っているのか、など様子を見よう、氷鷹くん達があんずちゃんと一緒革命を起こせるのか、自分の目で確かめようとおもったんだろう。
先程の借りをつくったという発言も導き手として手を貸そうという発言にも聞こえた。
零さんはやっぱり視野が広い、色んなものが見えている。
そして、私をここに呼んだのも「彼らがここに来るからお前も見てろ」ってそう言いたいのかなって…
昔の零さんが言ったような気がした。
そうだね。零さん、まずは革命児たちのお手並み拝見って所かな
私も零さんも
零さんを見て焦っている氷鷹くん達を微笑みながら見つめ返した
期待の眼差し
『ほんと零さんって遠回し』
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