鏗鏘のStar Light Festival
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『スタフェス』当日ーー。
客入りの前にステージも最終調整にはいっている。前半戦はユニット衣装と言うのもあり、クリスマスパーティっぽくシンプルなクリスマスライブをイメージした。レオが言ってたクリスマスツリーを用意し、その頂上には一等星のごとく輝いている大きな星が設置されている。
完成したステージを客席から眺めているといつの間にか練習着を着たナルちゃんが近づいてくる。声をかけられ後ろを振り向く。
鳴上「門のとこにタクシー来たわよォ?送りましょうかァ?」
『ううん、大丈夫。ひとりで行くよ…見送られると緊張しちゃうし…
ナルちゃん、ありがとう。練習戻っていいよ…』
鳴上「ほんとに平気?じゃあ…下駄箱の所までは送らせてちょーだい?」
『うん、ありがとう〜…やれることはやった。全部全力でね!どうなっても悔いはないよ!』
音楽科のライブも演劇科の舞台も、その全てに全力を出した。そして『Knights』の新曲もパフォーマンスに衣装、その全ては後半戦を想定して作られている。必ず見に行く。必ず見せると誓いあって…
だから、私は結果がどうであれここに戻ってくる。
『私だって『Knights』だからね、ちゃんと戦ってくるよ。どんな事があってもどんな形であっても国に戻ってくるのが騎士の勤めだからね』
鳴上「きっと、大丈夫よ。紡ちゃんが努力してたのはアタシも『Knights』のみんなもわかってるしずっと見守ってたわァ…!それが今日ついに実るのよ!」
『…期待しすぎだよ…頑張ったけど、見るのはプロだしね…』
ナルちゃんは目一杯褒めてくれるけど、前に言われた通りもう結果は出ているわけで私ができるのは結果を聞きに行くことだけ…。私とナルちゃんは話をしながら玄関の方へと歩いて行く。
外はクリスマスに相応しく雪が積もっていた。白い地面が広がっていた
私は玄関に立つとマフラーとコートを羽織って外を向く。
鳴上「これ、泉ちゃんから」
『カイロだ!ありがたい!手がかじかむのは創作の敵だからね!』
鳴上「紡ちゃん、いってらっしゃい」
『……うん。ありがとう、ナルちゃん。いってきます』
私は、学校の玄関口を出て雪の中を進んで行く。門が近くなって行くなか、木の間から足のようなものが見える。一瞬怖い想像をしてしまい肩をビクつかせてしまう。
『え”…あ…あし……だれ…』
その足の持ち主を確認するため、恐る恐るその足へと近づいて行くとそこには『Valkyrie』の斎宮宗がまるで棺に入った死体のように眠っている…。とあまりに不謹慎な思いが沸き上がりそれを振り切るように頭を左右に振る。
『しゅ…宗くん⁉︎何してるの⁉︎凍死しちゃう…!それにもう本番始まるよっ…』
斎宮「う…夜永か…うるさいのだよ…耳元で騒ぐな…」
『ほっぺが冷たい…ど…どうしよう…泉を…!それかナルちゃん…!』
斎宮「お前はこれから出るのだろ…。僕のことはいい。置いていけ…」
『そんな…!友達が倒れてるのに、自分のことを優先するなんて…』
斎宮「はは…最近はワガママになれてきたと自慢してたくせに、結局お前は変わらないな…」
『…うっ…でも本当にどうしよう…』
斎宮「本当に僕のことはいいから、早くいけ…『Knights』の奴らもライブに出るのだろう…迷惑だ…」
『すぐそうやって憎まれ口を…あぁ…もう‥』
私は先ほど着たばかりのコートとマフラーを宗くんに被せてもう少し周りから見えるところに移動させる。泉に謝りながらカイロを宗くんの手に握らせた。
『ごめん、たいして暖かくないんだけど…気持ちだけ…私行かないといけないところがあるから…ごめんね。誰かに迎えにきてもらえるようにしとくからここで待ってて…宗くん、みかくんが心配するから無理しちゃダメだよ。』
斎宮「…ふん…うるさい…早く行け」
宗くんはさっさと行けと言うので、私は重ね重ね謝り呼んでいたタクシーが待っている方へと向かう。タクシーに乗って行き先を告げればタクシーは動き出す。動き出したことを確認し、携帯を確認すれば『スタフェス』の前半戦が始まっている時間になっていた。申し訳ないと思いながら泉に宗くんのことを連絡しておく。もし、どこかで休憩に入るときに見つけ出してくれれば、もしくは探してる人に教えてあげられればと思い一報を入れておく。
心配ではあるが、もう手が届かない話なのでどうか早く見つけてあげてと祈ることしかできなかった。
私は、心を切り替えて運命の場所へ向かう車の窓をじっと見つめる。見慣れた街並みも少し色が変わって見えた。行き交う人も、木々も、建物も…全ていつもと同じ光景のはずなのに、全てが違って見えた…。
『Knights』のみんな頑張ってるかな…負けることはないと思うけれど、やっぱりやるならば一番がいいじゃないか…1番をとって1番大きなステージで『Knights』を見たいそう思うのはワガママなのかな…?
私は静かに左手につけたブレスレットを触る。人生の目標やゴールに導いてくれる…。それを渡すと言うことは「お前の道は間違ってない」そう言ってもらえた気がした。だからこそ、この道を迷うことなく進んでいきたい。後悔はできるだけ少ない方がいいに決まっているから…
そんなことを考えていると、タクシーは目的の場所で止まる。お金を払って車を降りればよく観客として訪れたことのある劇場が目の前に現れる。私は深く深く深呼吸をして「ふぅっ」と息を吐いて一歩を踏み出す。
劇場内に入ってみれば、そこはいつも通りの光景が広がっていた。専用の劇場と言っていいほど劇団一色に染まったロビー…あたりを見回していると、女の人が声をかけてきた。
女「夜永紡さんですね?」
『あ…はい。おはようございます』
女「お待ちしておりました。ご案内いたします。」
女の人は「こちらへ」と言って背を向けて歩き始める。私もそれについていく、関係者しか入ることのできないエリアに案内されそこをさらに奥へと歩いていくと、『稽古場』と書かれた部屋を女の人がノックして「失礼します」と入って、私にも入るように促す。そこは前に夢に出てきた面接会場によく似ていた…
『失礼いたします。夜永紡です…』
男性「ようこそ、さぁ座って」
『ありがとうございます』
センターに座っているこの劇団の監督が声をかけて、それに従い指された席へと座る。
あの夢がリアルになっていく気がしてゴクリと唾を飲み込む。どうかあの時のようなことが…
現実になりませんように
悪夢は見せないで
『サンタなんて絶対信じない……』
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