轗軻の恋と、親友との約束
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鳴上「それでェ?ちゃっかり好きな人とデートしたのねェ」
『うっ…デートっていうか…幼馴染とお出かけしただけ、なんだけど…。』
鳴上「でも王さまはデートって言ったんでしょォ?それに、一緒に電車乗ってオペラ見て?そのあと洋服見に行って一緒にディナー食べて一緒に帰宅でしょ?もうカップル超えて夫婦よねェ…」
…あのあとレオとはオペラを見に行って、少し歩いたところにショッピングモールをうろうろして一緒に帰るというなんともシンプルなデートコースだった。
でも、お互いがどう思ってるかなんてわかりはしないし、レオはいつも通りだった。私も心中穏やかではなかったが平然を装っていた…はず…
鳴上「それで?アタシを呼んだってことは何かあったのかしらァ?」
『何もないよ〜。報告することなんて…ナルちゃんの仕組んだ罠かと思ったけど、その反応見る限り違うんだよね〜…』
鳴上「そうねェ…アタシがお願いしたのはアタシより前の人達だけよ〜」
『えっ…泉も違うの?』
鳴上「泉ちゃん?アタシは何も知らないけど…なに⁉︎泉ちゃんともデートしたの⁉︎」
『いや…お出かけしただけ…』
鳴上「どこに⁉︎どうやって⁉︎」
前のめりなナルちゃんを押し返して座らせる。泉とのお出かけの話を一から説明すれば「あら…」と声をこぼす。
鳴上「紡ちゃんってほんと罪な女よねェ…」
『え?…うう〜そう言われても…』
鳴上「自覚なしってのがまた怖いわァ…でも、王さまとデートできて、より付き合いたいって思ったんじゃない⁉︎王さま以上の男いないって思ったでしょ⁉︎」
『あぁ…うん、そうだねぇ…』
グイグイくるナルちゃんを押し返しながら苦笑いする。レオがいい男なのは知ってる、それを踏まえて好きなんだからもうそれ以上なんて存在しない。それでも私が彼に想いを伝えることはないんだから、そんなに喜ばれても困る…。
『告白はしないよ。そういったでしょ?』
鳴上「も〜!何でなのよォ!」
『それよりさぁ〜、ナルちゃんにご相談なんだけど』
鳴上「それよりって…アタシからすると結構大事なことなのに…。はぁ…まぁいいわぁ!相談って何かしら?」
『新曲に失恋ソング出したらみんなどんな反応すると思う?』
鳴上「はい…?」
『だから、『Knights』の新曲失恋ソング…いや、悲恋ソング?にしたらどう思う?』
鳴上「アタシは…察するけど…。」
『やっぱり…?泉も気づいてるんだよねぇ…きっと…』
鳴上「泉ちゃん、気づいてるのね…。なんだか、泉ちゃん可哀想だわァ〜…」
可哀想、という言葉に頭に?が浮かぶ。ナルちゃんは「気にしないでちょうだい」と首を振った。私はそのまま話し続ける。
『すごく気に入った曲ができたんだけど、『Knights』にしては悲しすぎるっていうか…スタフェスの新曲に、と思ったんだけど……ダメだよねぇ…』
鳴上「ダメではないと思うわよォ?『Knights』もいろんな歌があってもいいと思うわ♪紡ちゃんがいいと思う曲はいい曲ばかりだし、どうせならアタシ達『Knights』が歌いたいわァ♪」
『あの…レオにバレたりしないかな…好きってバレたら…どうしよ…かなって…』
鳴上「あら、いいじゃない?わかったらわかったでどう反応するか見てみたいけど…?そんなにストレートな歌詞なのォ?」
『ちょっと…?でも自己主張強い曲ってレオ好きじゃないよねぇ…あぁ……どうしよ』
鳴上「どう悩んでるかは知らないけど、大丈夫だと思うわァ…そういえば、スタフェスのプロデュースはどうするの?この間まで悩んでたじゃない」
『どっちもやるよ。脚本も『Knights』のプロデュースもちゃんとやる。やりたいこと全部やれって言われちゃったし』
鳴上「あら、王さまに?」
『泉に』
鳴上「あらあら…」
『レオは脚本家になりたいってことくらいしか知らないと思う…』
鳴上「もう少し王さまにお話してあげたらァ?気になってるんじゃないかしら…」
『そんな素振りはなかったけど…?』
鳴上「素振りはなくてもそう思ってるの!もう!紡ちゃんったら男心のわからない子ねェ…」
『えぇ…そんな事言われても…』
ナルちゃんはヤレヤレと片肘をつきながらこちらを見る。その顔には呆れが滲み出ているがどこか楽しそうに感じる…。前も言っていたがやっぱりこうやって恋バナなるものをできるのが嬉しいのだろう…実らない話で申し訳ないが楽しそうならいいやと思っておこう…。目の前にあるホットココアをズズっとすするとナルちゃんが口を開く
鳴上「ねぇ、もし王さまから告白されたらどうするの?」
『ぶふっ……!!え…レオから…?』
ナルちゃんはハンカチを渡しながらウンウンと頷く。ありがとうと言いながらハンカチを受け取り、質問の内容に頭を巡らせる。
『うーん?それはないんじゃない?レオは色んな人に好きだ愛してるだ言うし…、主に泉にそれが向いてるし…?』
鳴上「そうじゃなくて!本気の告白よ!」
『想像できない…』
鳴上「そうかしら?王さまだって男の子なのよ?本気の子ができたら告白するわよォ…!」
『えぇ…それが私かぁ…ないない、私に告白するなら泉に告白するよ。あの人』
鳴上「じゃあ、王さまから本気の告白されたら絶対OKしなさいよ?」
『なんで…?』
鳴上「紡ちゃんから告白しないなら王さまから告白するしかないじゃない!」
『いや、好きじゃないのに告白されても困るし、わかったって言ったらナルちゃんがレオにバラすからヤダ』
鳴上「そんな野暮なことしないわよォ!本気の告白だって思ったら付き合えばいいだけ!」
『…なんでそこまで言うの…?』
鳴上「そんなの!親友の幸せを祈ってるからよォ!それ以上のことはないわ…!諦めてほしくないけど紡ちゃんったら頑固なんだもの…だから王さまに賭けるしかないのっ!」
『賭けるって……まぁそこまで言うなら…本気だなって思ったらね…?レオが私に告白することなんてないと思うけど…!』
鳴上「謎の自信よねェ…とにかく!覚えておきなさい!」
ナルちゃんは私の手を引いて立ち上がらせてから校舎へと戻っていく。
『ナルちゃん…新曲書き直すや…』
鳴上「あら?気に入ってたんじゃないの?」
『気に入ってたけど、もっと気に入りそうなのができそうだから…新曲楽しみにしてて♪』
ナルちゃんが私のことを真剣に考えてくれることを思うと、なんだかもっといい詩がわきそうな気がした…。例え、悲しい歌詞だとしても『Knights』らしい歌詞を書きたい。私が思う騎士の恋を書こう、お姫様が興味あるのは私の恋じゃなくて騎士の恋だから…。
親友のお告げ
『素晴らしい曲が浮かびそう!』
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