轗軻の恋と、親友との約束
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
泉とのお出かけを経て、考えることにもかなり選択肢ができたように感じる。朝早くからベッドを出て着替えて、椚先生からもらったチラシに、五線紙の束と最近の相棒となったノートパソコン。そして、殿堂入りしたメモ帳とペンをカバンに入れて家を出ようと玄関で靴を履こうとすると、玄関の扉が勢いよく開く
月永「こんにちはー!紡ー!あそぼー!」
『れ…レオ…?』
月永「あれ?お出かけか?一人で?」
『ちょっと作業部屋に行こうかと…どうしたの?約束してたっけ?』
月永「いいや!してない!けど昨日セナと遊んでたからおれも遊びたくって!」
無邪気な笑顔で「あはは☆」と笑うこいつが悩みの種の一つとは本人は思わないんだろうなぁ。レオはなれたように靴を脱ぎ我が家へと上がりこむ。リビングの扉を開けると待ってました!と言わんばかりに愛犬がレオに飛び込む。
月永「あはは☆おはよう!たぬきっ元気だったかぁ!」
『だから、たぬきじゃなくてポメラニアンだってば…名前はリオだって言ったよね?たぬき呼びやめてよ…』
紡母「あら!レオくんじゃない!いらっしゃい!」
月永「紡ママおはよ〜!今日も綺麗だな☆あはは!」
『人の母親口説かないでよ…』
月永「?紡は今日も可愛いぞ!」
『は…はぁ⁉︎なにそれ!聞いてないんだけど…!』
紡母「あらあら!今日も仲良しさんねっ!」
『お母さんっ!あぁあもう!レオ来て⁉︎』
このままでは、面倒だと思ってレオの腕を引いて自分の部屋へと戻る。レオは「変わんないなぁ〜」とあたりを見回すが、それを無視して椅子に座らせる。
『急に来て何の用?』
月永「何の用って!昔はそんなの言わなくても遊んでくれたのに…冷たい女になっちゃったなぁ…」
『…人の母親口説いてる男に言われたくないんだけど…』
月永「あれは挨拶だろ〜!なんだ?嫉妬してんの?」
『…ちがいますけど』
月永「安心しろって!紡が嫌なら紡にしか言わないから!」
『…へ?な…なにそれ…』
月永「あはは☆その顔いいな!霊感(インスピレーション)が湧きそうだ!」
レオはそういうと私の机の上から紙とペンをとって書き始める。この人は私の気持ちをわかっているかのように甘い言葉をこぼすが、その言葉が私の気持ちを揺るがせる。この人も私を好きなのではないのか。でもこの人にそれを告げてはいけない。私の心は彼の一挙一動で大きく揺れ動いていた…。
『えっと…作曲しに来たなら…私出かけるね…自分のタイミングで帰ってもらって…』
月永「待って待って!ワンフレーズ書いたら話すちょっと待って!」
『……』
月永「…〜♪ん〜っと!できた!よし!出かけよう!」
『いや、話すって言ったじゃん!』
月永「だから、出かけよう!」
『…怒らせたいの?』
月永「なんでそんな怒るんだよぉ…」
『どこに行くのか言ってよ…。』
月永「デリカシーないなぁ…!デートコースを相手が決めるときは静かにオシャレしてついてくるものだろう!」
『デートコース…?』
月永「あぁ!紡!おれとデートしよう!」
レオは私の手をとって、部屋を後にする。母が何か言っていたが、それを無視して家を飛び出す。私は彼のスピードについて行くのが精一杯で彼に何かを聞くことはできなかった。つれられるまま電車に乗ってやっと息を整えることできた。レオは家からずっと手を繋いだままで離そうとするとさらに強い力で握り返す。今まで普通にやっていたことだ…。例え、そうだとしても自覚したら普通のことではすまない…、私の左手は燃えるように熱い。昨日の泉に手をひかれた時のような安心感はない。彼の力が強くなる度に整えたはずの心臓がバクバクと鼓動をうつ。心臓が喉のあたりにあるのではないかと思うほど鼓動が喉まで伝わってくる。
『レオ…手が…その…』
月永「ん?手が?……あっ、紡危ないからこっち」
『えっ…あの…』
電車が大きな駅に着けば多くの人が乗り込んできて、レオが反対側のドアへと手を引き、私をドア側に追いやる。それは、まるで映画で見た壁ドンと言った感じ…で、……人が乗り込んでくればレオとの距離はさらに近くなる。
月永「ごめんな?ちょっと我慢して…」
『いや…ありがと。助かる…』
月永「はぐれたら大変だから流されないように手はこのまま…」
『は…はい…』
身長は同じくらいでも、レオがいくら男の子にしては細身だったとしても…やっぱり男の子なんだなと思う部分はある。私よりほんの少し高い身長と、私より広い肩幅…私より大きい手のひら、それでも綺麗で美しい指…。その全てが今私の目の前にあり、私に触れている…。
それだけでドキドキして…その音が手を伝ってレオにまで聞こえるんじゃないかと思うほど大きくて、少し目を伏せて心の中で「静まれ静まれ…」と言い聞かせる。
すると、繋いでた手がクイっと引っ張られる。それに気づいて前を見ればレオがこっちをじっと見ていた。
月永「勝手に連れ出して怒ってる?」
『えっ…いや全然?何かあった?』
月永「難しい顔してた…眉間しわ寄ってる」
『…ぁぅっ…やめてよ…突かないで…』
月永「何考えてたんだ?歌詞とかだとすぐメモするだろ〜?作曲は決まった場所でしかしないし〜…ん〜?」
『ほら、もうすぐスタフェスの準備期間になるから『Knights』が参加するかとか、どういう構成になるのかなとか衣装どうしようかなとか考えてた』
月永「お〜…もうそんな時期か、どおりで寒いはずだっ!スタフェス?のことはわかんないけどみんなが出たいっていうならって感じだな〜新曲は任せろ!」
『それなんだけどさ…新曲…私に書かせてくれないかな…?』
月永「紡の曲か!それもいいな〜!」
レオは笑って頷いた…。彼の笑顔を見るだけ不思議なほどやる気が出る。不思議な力を持っている…。
『レオ…あの…顔近い…』
月永「なんかニヤニヤしてる!いいことあった?」
『……う〜ん…?あったかも…?』
それは今君と同じ空間にいれることだけどね…。電車は人を乗せてそのままどんどんと進んで行くのだった…
月永レオの場合
『そういえば、どこまで行くんだろう』
→