轗軻の恋と、親友との約束
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あのあと、ナルちゃんは繁華街の様々な場所に連れ出してくれた。楽器屋さんに連れて行かれて楽しさのあまりピアノを弾けばギャラリーが集まってしまい、小さな騒ぎを起こしてしまった。それに笑いながら走ればナルちゃんは「反省してよねェ!」怒ってしまった。
ゲームセンターに行けば、音楽ゲームに精を出し叩き続ければまたギャラリーを集めてしまった。
流石に疲れたのかまたカフェに入って休憩するとナルちゃんはため息をついて話し出す。
鳴上「もう!紡ちゃんは音楽の才能ありすぎよォ!人が集まって困るわァ…」
『おかしいなぁ…楽しんでるだけなんだけど…人を呼び寄せちゃうなぁ…』
鳴上「もう、なんでそういう才能あるのかしらぁ…紡ちゃんがアイドルしたほうがいいんじゃない?顔も可愛いし、人気になりそう☆」
『アイドルなんて…、無理だよ。みんなみたいに歌上手くないしダンスできないし…キラキラできない…。私は応援してたりサポートするほうが、性に合ってるよ。』
鳴上「んもう!卑下しすぎ!」
『でもその分違う方面に才能しかないから!作曲に作詞でしょ…?脚本に演出…舞台監督もできるし、レッスンのサポートもできる…!あれ…?私って天才…?』
鳴上「天才だけどォ…もう紡ちゃんってば本当に不思議な子…でも自分に自信を持つようになったのはすごい成長よねェ?」
『あっ…いい曲が書けそう…』
鳴上「ちょっとォ!デート中に作曲…?いいのォ?」
『レオなら何も言わないもん…』
鳴上「あら、他の男の話し?」
『はいはい!今はナルちゃんが彼氏でしょ…!じゃあいい歌詞が浮かばないように楽しませてよ!』
鳴上「はいはい、かしこまりました。お姫様〜じゃあ、今度こそ映画見に行きましょうか♪」
『泣けるやつ…?』
鳴上「ううん。うんっと幸せになれるやつ♪」
ナルちゃんは王子様のように手を差し出して、私はその手に重ねるように乗せる。すると引っ張り上げられて椅子から立ち上がる。
勢いあまって胸に飛び込めば「強すぎたかしらァ」と笑う。
『ごめんごめん、引っ張られると思ってなくて…ビックリしちゃった…じゃあ行こっか?チケット取れるかなぁ?』
鳴上「あら!用意してるに決まってるでしょ?」
『え…いつの間に…』
鳴上「アタシ、デートは完璧主義なのよォ!紡ちゃんが笑顔になるようにいろいろ考えたのよォ?」
『……何それ。かっこいい〜』
鳴上「恋って楽しいものよ!いつものその人に輝いてほしいし、その協力をしたくなっちゃう♪そのためにいろんなことを考えてなんでも出来そうになっちゃうわ♪」
『ん〜、ちょっとわかるかも…』
鳴上「アタシ嬉しいのよ。紡ちゃんがどんな決断をしても一緒に恋の話をできることも、その感情を大切にしている紡ちゃんを見れることも…
だから後悔しないし、しなくていいようにアタシも頑張るわァ♪」
『うん…じゃあいっぱい話を聞いて貰わないとね…。私も後悔ないようにするよ。』
ナルちゃんは「お互い頑張らないとね♪」と微笑んでから映画館へと足を進めた。
映画館はナルちゃんが好きそうな恋の話で、その甘さが私には羨ましかった。
どんなに時が過ぎても私はこのまま…時が過ぎるまま、それぞれの道を進むのだ。どれだけ彼に恋焦がれて気持ちが揺らいだとしてもこの誓いが揺らぐことはきっとないんだ…
鳴上「ちょっと…どこに泣くシーンがあったのよ…笑いと楽しさと幸せ要素しかなかったわよねェ?」
『うん…うん…ッズ…ぅゥ…幸せになってよかったねぇ…うう〜…』
鳴上「あぁ…もうハンカチ…」
『あぃがとぉ…』
鳴上「もう泣くくらいなら告白しちゃいなさいよォ」
『無理だよぉ…レオが居なくなったら死んじゃう…』
鳴上「何度も自分から離れようとしてた癖に今さら何よ…」
『今までとは気持ちが違うもん…もう〜意地悪言わないでよぉ〜鳴上くんの意地悪〜ううう〜…!』
鳴上「ちょっと!あんたこそ意地悪してっ!」
『もうちょっと優しくしてよ…彼氏でしょ?』
鳴上「彼女が他の男のことで泣いてるのに慰めるわけないでしょぉ…紡ちゃんは馬鹿なの?」
『馬鹿だよ〜…もう〜…』
黙るとナルちゃんは呆れて目線を逸らした。さすがに泣かせたみたいになって申し訳ないし、泣き止みたいところなのだが、この涙は止まることは知らない。
レオが帰ってから私は泣いてばかりだ。ナルちゃんだけじゃない。凛月にも泉にも…司くんにも泣き顔ばかり見せて、情緒不安定な女の称号待ったナシ…情けなくてしょうがない…
『ナルちゃん…』
鳴上「何よォ…」
『私泣かない…もう泣かないようにする…強い女になるよ…』
鳴上「そう?程遠い顔してるけど…」
『今後気をつけるの!ほら出よう?映画館で語りすぎた…いや泣きすぎた。』
鳴上「はぁ…ほら行くわよォ…手を引いてあげるから、下向いてなさい。お手洗までは連れってってあげる…」
『面目無い……感謝…』
ナルちゃんは私の手を引いて映画館の階段を降りていく。その間も鼻歌を歌いながら歩いていた、お手洗の前につけば「しっかり鏡みてなおしなさいよォ♪」と言われたのでコクリと頷いて女子トイレに入っていく。
手を洗い、顔を見れば軽くメイクした顔へ綺麗に涙の跡が残っていた。一直線に落ちた水の跡は私の沈む気持ちに似ているかもしれない。
『なんて、詩的なこと考えてる場合じゃない。なおして戻らなきゃ…』
私の恋の行方はきっと私と彼にしか決着をつけられない問題だ…。これが現実、本当の恋というものだ。
でもまさか、やっと神様から離れることが出来たのにそんな彼に恋をするなんて…
私の人生には彼がいないとダメなんだ。と再度確認させられた…。それもこれもナルちゃんのせい…
『いやレオのせい…。』
鳴上「なぁにぶつくさ言ってるのォ?」
『っぎゃわ!ごめんね!?お…おまたせっ!』
鳴上「おかえりなさいっ♪うん、ちゃんと見れる顔になったわァ!」
『見れない顔で悪かったな…』
鳴上「違うわよォ、女の子はそう簡単に男に泣き顔見せるなってこと!好きな男だけに見せてあげなさい…?」
『また意地悪…』
ナルちゃんは「意地悪で結構よ!」と私の手を引いて帰路について、今日一日私をエスコートしてくれたこの騎士は、私にいろいろなことを教えてくれた。そして、否定せずに受け入れてくれた、ありがたいことだ。相談できる相手がいるだけで気持ちは幾分か楽になる…。
これからも頼りにしてるよ…騎士様…
鳴上嵐の場合
鳴上「紡ちゃん、悪いけどアタシ諦め悪いのよォ」
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