轗軻の恋と、親友との約束
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あのあと、凛月はリビングでご飯を食べてから、母と雑談をしつつ愛犬と戯れていた。そして家に帰る前に母の誤解を解いて自分の家へと向かっていった…
リビングへ戻れば母が食卓のいすに座っていて、「座りなさい」と声をこぼす。その真剣な顔に少し背筋が凍る感覚がした。怒っている感じはしないが母には珍しく真面目な話なのだろうあまりの怖さにボーッと突っ立っていると「早く」と急かされる。
急いで母の前の椅子に座り気休めに愛犬を膝において抱きしめる。
紡母「凛月くんが来て少し安心したら、まさか嘘つかれてるなんて思わなかったわ…」
『嘘っていうか…ナルちゃんの計画と凛月の独断なの…ごめんね?騙すつもりは…』
紡母「わかってるわ…でも…なんでママに相談してくれないの?」
『だって…18の娘が恋ってなんですか?なんて聞けないよ…恥ずかしい』
紡母「ママにはなんでも話してほしいわ!紡ちゃんのママは私だけなのよ!悲しい!」
母は少しヒステリックに叫ぶ。でもそれだけ私のことを考えて悲しんでくれている証拠なのだから文句も言えない。
『ごめんね……えっとどこから話せば…』
紡母「ねぇ紡ちゃん…何がわからないの?何がやってみたいの?今のことも昔のこともだけど、これからのことも話しましょ?
親子なんだもの、いっぱい話してほしいのよ…?」
『…ごめんね、そうだよね…私言葉足らずだったかも…勝手にお母さんに甘えてた…
私ね?将来の夢ができたの。
音楽の道も続けたいけど、舞台の世界にいきたい。脚本とか舞台作家として、色んな世界を創って色んな人に見てもらいたい。そう思ってる…。
でもまだまだ足りないことがいっぱいあった…。この恋人ごっこもその一環でみんなが手伝ってくれてたの…でもその中で…気づいちゃいけないことを見つけちゃって、たぶんそれに気づいたら私…『Knights』にはいられない。それを自分が許せないから…
みんなとは常に対等でいたいの…。なのに…なのに…』
紡母「あらあら…泣き虫さんね…」
抱き締めていた愛犬が苦しさのあまり膝の上から降りる。代わりに母が私を抱きしめる…私は母の腕にすがることしか出来なかった。ダムが決壊したように口からは思うことがこぼれる。
『お母さん…恋ってなんなの?こんなに苦しいものなの?なにか覚悟が必要なの?お母さんたちを見ていてずっと暖かくて幸せで…どんな物語もハッピーエンドが常だった…でも私の恋を私は許せない…ハッピーエンドにはならないよ…』
紡母「そんなことないわよ…大丈夫よ、紡ちゃんはいい子だもの。神様はハッピーエンドを用意してくれてるわ?だって私の子だもの…」
『お母さん…』
紡母「私もずっとパパとの恋は実らないと思ってたわ…?きっと触れ合うことも彼が私の事を知ることもないって…
でもパパはママを見つけてくれた目を合わせて拍手して、「あなたの弾く曲は素晴らしい」って褒めてくれたのよ?パパのほうが何十倍も有名なピアニストなの…二次元に恋してるようなものだったのよ…?」
『なにそれ…初めて知ったお父さんがぞっこんなのかと…』
紡母「まぁっ!間違ってないわよ!でも最初はママがゴリ押しよ!パパが押しに弱い人でよかった!
でもパパの恋人はピアノだったのよ?だから恋がわからないってだから僕は恋の曲が弾けないなんて言うくらい…ほんっと親子よねぇ…」
『どうしてそんなお父さんがお母さんと結婚できたの…?』
紡母「パパに言ったのよ!「私があなたに恋を教えてあげる」って…」
『お母さんかっこいい…』
紡母「そうでしょ?だから紡ちゃんにもいつか現れるわ?恋を教えてくれる、ごっこ遊びじゃない。本物の王子様が」
『王子様…』
昔のレオとのやり取りを思い出す。そういえばそんなやり取りをしたこともあったかもしれない。
でもあのレオのことだ。とっくの昔に忘れてるに違いない…。恋を教えてくれる人…そんな人いつ現れるのかもわからずに私は迷子のままだ…。ずっとこうやって母の腕に縋って立ち上がることも出来ない。
紡母「大丈夫よ、紡ちゃんは迷わず前に進んでいいのよ。ママ応援するから、だからこれからを怖がらないで?大きな将来の夢をもって進みなさい…」
『お母さん…ありがとう。もうちょっと頑張ってみるよ…私、お母さんとお父さんの子供で本当によかった。また何あったら相談してもいい?』
紡母「もちろんよ!舞台のこともパパと何か出来ることないか聞いてみるわ!!紡ちゃんの舞台、ママ見れるの楽しみにしてるわ〜♪」
『舞台に関してはほんとに勉強中なの…でも脚本家になる方向で考えてる…』
紡母「楽しいところ悪いんだけど…そうするとレオくんたちはどうなるの…?」
『レオが戻ってきた今…今後の『Knights』に私ができることは少ない…きっとみんなわかってる…
だから私はーーーー
『Knights』は卒業と同時にやめる。』
恋愛の先輩の場合
これは覚悟と決意ー。
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