轗軻の恋と、親友との約束
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ショッピングモールは人で賑わっていた。
夢ノ咲も近いショッピングモールには映画館も併設されている。待ち合わせ場所である映画館の待合スペースにたどり着く。
まだ少し時間もあるし、どんな映画をやっているのか見ていると後ろから声をかけられる。
**「紡先輩っ!」
『え…友也くん?』
真白「はい!鳴上先輩からのお願いで来ましたっ♪まさか紡先輩と…その…デートできるなんて嬉しいです…」
『えっ…友也くんが相手なの…』
真白「や…やっぱり俺なんて!相応しくないですよねっ!」
『いやいやいや!ネガティブな事言わないでよ!私こそ恐れ多い…』
振り向いた先にいたのは友也くんで、最近は演劇部に関わるようになってよく話すようになったのだが、まさかこんなことに巻き込まれるなんて…かわいそうに…
『えっと、自意識過剰で悪いんだけど…彼氏…?』
真白「はい!恐れながら紡先輩の彼氏です!」
『あ、はい…。』
真白「とりあえず、ご飯食べに行きましょうか?何か食べたいものあります?」
『あれ、映画…』
真白「券はもうとってあります☆」
『えぇ…スムーズな…』
友也くんは私に会う前に発券を済ませていたみたいでヒラヒラと券を見せる。あまりにもスムーズな働きに、友也くんと本当に付き合う女性がいるとしたら相当頼もしい彼氏になることだろう、と思った…。
『じゃあ年下彼氏さんにご飯でも奢ってあげるよ』
真白「そんな彼氏の役目です!」
『いいじゃないか…年上彼女ごっこさせてよ…』
真白「ごっこじゃないです!」
『えぇ…じゃあ可愛い彼氏に美味しいもの食べさせてあげたいよぉ…』
真白「紡先輩…!」
友也くんも譲る気がないようなので、先ほど見た映画のように彼氏に甘える女でも演じてみよう…どんな反応をするのかとかも見て見たいし…そう思って友也くんの手をゆっくりとって少し上目遣いになるように彼の顔を見る。私もあの女優のように…
『友也…ご飯…食べないの…?』
真白「……っ!な…なな…」
『早く友也と美味しいご飯食べたい…』
真白「は…はいっ!」
友也くんは掴んでいた手を握りフードコートの方へと進んでいく。後ろから見た友也くんの耳は真っ赤で「あぁ、成功したんだな」と感じた。そのあと、友也くんはハンバーガーのチェーン店に行き、ありがたく奢らせてもらった。申し訳なさそうにしていたが、おそらく安いお店にしようと気を使ってくれたのだろう。ちょっといい所にいっても別に痛手にはならないのに…そんな学生らしいところがまた愛らしく思った。
『年下彼氏…いいねぇ…』
真白「っんん!な…なんですか急に」
『可愛いなぁ…って、司くん以外に一年生の後輩と関わりないから嬉しい…♪』
真白「確かに…演劇部に関わるようになってからですよね!話すようになったのは!」
『確かに、ここ一ヶ月くらい?話す頻度増えたよね!』
真白「はいっ!紡先輩の脚本、俺好きです〜!もっと早くに知ってればもっと演じられたのに…」
『そうだね…でも短い間でもこうやって友也くんと仲良くなれたのは嬉しいっ!』
真白「俺も嬉しいですっ♪」
そうやって笑い合う姿は、第三者から見ればどう見えるのだろうか?私たちは彼氏と彼女に見えるのだろうか。日々樹くんは同級生、友也くんは二個下の後輩…。相手が違うとまた思うことも違うもの…恋愛もこんな感じで違うのかな…
真白「そろそろ、時間ですね?紡先輩は飲み物とか買うタイプですか?どうします?」
『ううん、さっき飲み物いっぱい飲んだからいいや…。』
真白「了解です♪」
友也くんは気を遣って確認してくれたり、時間や席を私が言う前に確認してくれた。日々樹くんもスムーズにエスコートしてくれたが、友也くんの場合は気遣いを節々に感じる。私のことを気にかけてくれているのだとわかる。
歩くペースも合わせてくれるし、席も通路側を譲ってくれた。
一年生にしてこの気遣い…。できる男すぎてビックリした。この数時間で真白友也と言う男のすごさに気付かされる…。
席について少しすれば、映画が始まる。
映画中は私たちも周りも静かに見ていた。内容が年下彼氏モノでこの数時間だけの関係でも納得できる部分があった。
しかし、最後に彼女のために男をみせて怒る彼氏に世に言う胸キュンが止まらなかった…。
映画が終われば、明かりがついて友也くんが立ち上がる。私もそれに続こうと立ち上がろうとすると友也くんが手を差し出してくれた。
『ありがとう…』
真白「いえ…♪」
『友也くんも…最後みたいに彼女があんなことされたら怒る?』
真白「…もちろん、紡さんが危ない目にあったら全力で守るよ」
『えっ…』
友也くんは取った手をぎゅっと握って笑った。それは、先ほどの映画で見たラストシーンにそっくりで…心臓がドクリと音を立てた。
真白「あはははっ!紡先輩、顔真っ赤ですよ!」
『演劇部…おそるべし…』
真白「それじゃあ俺はここで!今日はありがとうございました!」
『こちらこそありがとう!また学校でねっ!』
友也くんはショッピングモールの出口までくると、駅の方へと去っていった。手を振って見送る。彼の姿が見えなくなった頃にショッピングモールの中へと戻っていく。すごい時間だったが、とても有意義な時間だった。すごい霊感(インスピレーション)が湧いてくる。
年下彼氏は少し憧れるなぁ。これは、演劇部の脚本にも使えるかもしれない…。演劇部も各学年一人ずつだ…と言うことは日々樹くんと友也くん…?ちょっと面白いかも…
空いてるベンチに腰を下ろしてメモ帳を取り出す、メモをしようとすると携帯が鳴る。
確認すると「18時、モールの中の〇〇レストランでお待ちよォ♡」とメールがひとつ。数時間あるな…と思いお茶を飲むためにカフェに入る。なんだか、この状況にもなれてきた…そうすればなんだかワクワクしてくる…あれ、もしかして一日男を取っ替え引っ替え…してる…?
真白友也の場合
『あれ…ビッチってやつなのでは…?』
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