躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン
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『ハロウィンパーティー』の翌日ーー。
パーティーのあとは大きな片付けがつきもの。しかし、業者がほとんど解体してくれるので、あとは飾りと報告書などの書類ごとだけが残る。今日一日は片付けに追われるアイドル科なのだが、私は屋上に逃げていた。
『やるって言っても何から…すればいいのかなぁ…』
日々樹「Amazing☆なにかお困りですか女王陛下☆」
『…うん…なんでいるの?』
日々樹「零からお話を聞いたので☆お役に立てるかと…☆」
『いちいち、星が飛んでて鬱陶しいなぁ…ていうか、なんで日々樹くん?零さんから聞いて日々樹くんが私のところに…?』
日々樹「私の部活お忘れですか☆」
『…あぁ…なるほど…、…え?いいの?』
私の元にやってきた日々樹くんはどうやら零さんからの差し金らしく、頼んでいないのに手回しが早いおじいちゃんだ…。いいのか、と聞けば日々樹くんは「喜んで☆」と笑う。
日々樹「私の部活に女王陛下の力が加われば、そのすごさは何倍、何百倍に膨れ上がることでしょう!」
『…あはは…じゃあ未熟者ですが…よろしく』
日々樹「お願いしますね☆」
必要な会話だけすれば日々樹くんは謎の飛行船から垂れた縄ばしごに足をかけ飛び去っていった。いったい、その飛行船はなんなのか…もうツッコむ事も億劫だ。触らぬ神に祟りなし…触れてはならぬ…何事も…
何事も身近な所から経験を積んでいくのもいいだろう。他にもあんずちゃんに頼んでステージのことに携われないか掛け合ってみよう…。考えてる時間も無駄だ。悩む前に思いついたこと全てに挑戦してみよう。
『うん…今までより未来のことを考えよう…。私ならできるできるぞー‼︎』
瀬名「じゃあ片付けくらいやってくれる?」
『うひゃあああああああっ!』
瀬名「うるっさ…」
『いつからいらっしゃった…』
瀬名「日々樹が飛行船でさよならするあたり…」
『はず…独り言、盛大に聞かれとる…』
泉は私の後ろのベンチに座って自分の爪様子を見ながら話しかけてくる。どうやら、クラス毎に飾り付けを外して回っているそうだが天祥院くんが「紡ちゃんは?」と言い始めてなぜかクラス全員で捜索しているそうだった。それで泉が一番に見つけ出したそうだ。
『…泉に見つかるとは…不覚…』
瀬名「忍者かって…それで何してたわけぇ?」
『人生の悩みに頭を巡らせてたの…っと!もう解決したし、片付け参加するよ?どこ行けばいい?』
瀬名「何それ…俺には相談できないの?」
『えぇ…そんな相談できないとかじゃ…』
瀬名「じゃあなんで何も言わないの?」
『将来の話って重くない?だから泉にそれを話すのもなぁ…って』
瀬名「……あっそ…まぁいいよ。とりあえず3年の廊下から中庭方面…いくよ」
『えっ…泉、待ってよ…』
泉は何も言わずに屋上の出口へと歩いていった。
何かまずいことをしてしまったのかな…怒らせてしまったか…どうすればいいのかな…。わからずに私も静かに泉の後ろについていった。
少し歩くと、泉は階段の途中で急に止まる。あまりに急だったので顔を泉の背中にぶつける。
『ったぁ……、なんで…』
瀬名「そういえば、いつ戻ってくるの」
『へ?』
瀬名「『Knights』にはいつ戻ってくるのかって」
『あぁ…そのうち…?』
瀬名「何それ…もう戻らないつもりなわけ?」
『どう思う?』
瀬名「どう思うって…?」
『私は『Knights』に必要かな?『Knights』の力になれるかな?』
そう聞くと泉は向けてた背中をくるりとこちらに向ける。そして、ぎゅっと正面から私を抱きしめる。まさか、あの瀬名泉がこんなことをするとは思わず彼の肩越しに目を見開く。
『えっ…なに…どうして…待て待て待て』
瀬名「待たない。」
『待って、ほんと何』
瀬名「勝手に成長して大人ヅラしやがって…」
『とんでも口悪い…』
瀬名「あんたが『Knights』の力になっていなかったことなんてないし、『Knights』にはあんたが必要だ。それはこれからも変わらない。
…だから、見えないところで勝手に成長しないで俺の見えるところに居なよ…」
泉はそう言い終えると私から体を離して、目線を合わせる。その綺麗な顔の眉間は深いシワが寄っていて瞳はこっちまで悲しくなるほどに悲しみの色に染まっていた。
それはまるで迷子の子供のようにも思えた…。
『えっと…その…なんだろ…そのありがと…?』
瀬名「はぁ?」
『え?』
瀬名「あんたが空気読めないのはよくわかった…」
『力の限り読んだつもりだったんだけど…』
瀬名「はぁ…もういいよ…早く帰って来なよぉ、女王様」
泉はため息をつくと引き続き、階段を降りていった。私は何が何だかわからずに階段に座り込む。あんな泉の表情、もしかしたらはじめて見たかもしれない。おかしい…。あんな小っ恥ずかしいことをするのは…凛月とレオくらいで…こんな…。
『ジャッジメント』の時にレオに言われたことが頭をよぎる。危機感がない…距離感が近すぎる…。
『私、今まで平気で小っ恥ずかしいことしてる…。』
くわえて、『ハロウィンパーティー』の時にレオと手を繋いだ事も思い出す…。手を繋いだり、ハグをしたり…お姫様抱っこに頭を撫でられたり…いろんなことをしたが…あの時だけは今までにない気持ちになった。手がコツりとぶつかればどちらともなく指が絡んで手を繋いでた…。ドキドキしたけど、何かが満たされるような感覚……
『あぁ…!なんでそんな事を今思い出すの!意味わかんない!』
頭を左右に振って思い出したことを振り切るように立ち上がって泉が降りていった階段を降りる。
なんだ、この気持ち訳がわからない…はじめて感じる感覚だ。忘れよう忘れよう…
エピローグ
『忘れよう忘れよう…』
躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン end.
……To be continued