躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『UNDEAD』と『2wink』のステージがひと段落して、何だか恥ずかしくて袖にいたレオのもとから静かに離れる。
ステージの観客席に戻れば満席になっていたので立ち見で我慢する。
少しだけステージのコンセプトを変えるためにスタッフが入る。
打ち合わせ通りの変更に、安堵する。こだわりの強い宗くんのために信頼できるスタッフの人たちに頼んで間違いなかった。
『Valkyrie』と『Switch』の合同ライブ
夏目くんにお願いされて、宗くんと話し合って決めたコンセプト。最初は相性が悪いと思ったが、さすがは宗くん『Switch』のやり方を理解してそれを自分の世界に入れ込んでいる…
零「おやおや、もう人間に戻っておるのかえ」
『ひゃぁあっ!な…何…零…さん…』
零「いやはや…、ほんとは凛月と愛しい時間を過ごす予定じゃったんじゃが…わんこが凛月を連れて行ってしまってのう…」
『それで何で私のところに来るのかなぁ…』
零「舞台袖で王さまと仲睦まじい姿が見えたのでなぁ…」
『…ちょ…夜になると目が良くなるのか…?』
零「紡ちゃんは『Knights』を離れたと思ったんじゃが…?」
『ちょっと…黙ってて…ステージが終わったらにしよう。宗くんに怒られる…』
零「ふふふ。楽しみじゃのう…」
突然現れた零さんに何も言えず、私はステージに集中した。最初から最後までしっかり見ることが宗くんとの約束だから、大事な友達との約束は守るもの…。隣にいる零さんもそれ以上は何も言わずにステージに目を向けた。
少しの間、宙くんが棒立ちになるが先輩がカバーしてくれる。宙くんは特殊な力がある…。だからこそ、いろんなことに気を使ってステージを作らないといけなかった。その部分が私には足りなかったかもしれない…。次作るときは…次は…?次はあるのかな…?
ステージはすごいものだった。『Switch』という魔法使いによって『Valkyrie』という悪魔が登場し、ライブを始める。
このライブを作ったのは、私なのか?それとも天才『斎宮宗』なのか?
このライブで私にできることはこれだけだったのか…?もっとできたかもしれない、もっとやれることがあったのかもしれない…。…もっと、次は…次こそは…もっと…
『すごいな…創作意欲が湧いてくる…
なんで、アイドルってみんな輝いてるんだろ。どうして、この人たちのために何かしたいって思えちゃうんだろ…
もっとできることはありそうで…ワクワクしちゃう…』
零「紡ちゃん…声がもれとるよ…」
『零さん…私やりたいこと…見つけちゃったかも…』
心が沸々と燃え上がる感覚を覚える。2つのユニットが入り乱れるステージは間違いなく、前から好きな『斎宮宗』の世界だった。それでも昔と違うのは宗くんを主軸としたものではなくどちらかと言えばみかくんを中心としたふたりの世界だった。
二人が動けばその寸分の狂いのないダンスが観客を沸かせる。
一度注目すれば、それが終わるまで目を離すことも瞬きすることも許さない。
それは私も周りも同じでこのライブが終わるまでは私たちみんな『斎宮宗』の世界の住民なのだからーー。
*零said
『Valkyrie』と『Switch』のライブが終わると、紡ちゃんは「行こうか」と会場を後にした。静かに歩を進めれば、紡ちゃんの行きつけのガーデンテラスへとやってくる。ライブ中という事もあって一般客はおらず、二人っきりの空間であった。
紡ちゃんは「ここでいっか」とソファー席に座り、我輩はその向かいへと腰を下ろす。
『さて、何が聞きたいの?吸血鬼さん』
零「はて、聞きたいことがあったんじゃが…ライブ中の紡ちゃんを見ておったらどうでもよくなってしもうたわい…」
『なにそれ……
も〜なんの話されるのかと思ってビクビクしてたのに…』
零「じゃあ一つだけ。月永くんとはとうとう付き合ったのかえ?」
『付き合う……いやっ!あの…!そんなんじゃ!』
紡ちゃんは赤い顔して我輩から顔をそらす…。どうやら、紡ちゃんの『神様』とやらは本当に消えたようじゃな…。昔は「レオ?あれは幼馴染だから」と大笑いしておったのにのう…。
零「そうか…じゃあ、やりたいこと…というのはなんじゃったんじゃ?」
『私…舞台を作る仕事がしたい…。脚本に演出…舞台構成に…その舞台っていう世界を創る人間になりたい…。』
零「ほう…大きな夢じゃな…」
『うん…もしかしたら、気づくのが遅かったかもしれない…進路を決めるにはもう普通の学生なら遅い部類だしね…。でも…、今からでもできることをしたい。やらずにダメだったよりやりきってダメでしたの方がまだマシだと思うし…。
もっと自分を『信じたい』。私はいつも自分に自信がなかった。それを支えてくれる幼馴染に甘えて彼の全てを信じてた。でも、それじゃダメなんだよね。
結局、私の道を決めるのは私で…私の道を信じてあげられるのは私だけだから…。私は私を信じてみる…。』
零「いい答えじゃ…我輩と出会った頃…いや去年の紡ちゃんより輝いておる。
我輩は、その答え『嫌いじゃない』ぞ」
『零さん…』
零「間違ったと思えば、我輩のところへおいで…?相談くらいは乗ってあげられる」
『…うん、ありがと』
紡ちゃんは強い思いを目にして微笑んだ。その姿は今まで見た彼女のどの姿より真っ直ぐで強い目をしていた。
なんとなく、大きくなったなぁと不思議な兄心が芽生えた、とも言える。彼女はその強い心でこれからも自分の道を進んでいくのだろう…。もう迷うことのないように、少しでも影で支えてやろう…。
『それでね…私はいつかみんなが輝けるステージを創りたい。もちろんメインは『Knights』だけどね』
零「おや、それは『UNDEAD』と言ってほしかったがな…」
『それはそれ…これはこれでしょ?あはは☆』
紡ちゃんは愉快に笑った。あぁ、この子は本当に昔からいい子じゃ…どうかこの子がこれからも笑ってくれるように祈ろう…。なんて、吸血鬼が祈るなんて愚かな話じゃのう…
マジカルハロウィン
『彼が教えてくれた『私の夢』』
→