躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とある空き教室ーー
あんずは紡に呼び出されて中に入る。
教室の机は全て後ろに下げられており窓際にはひとつの人影が王座のような椅子に腰掛けていた。
あんず「紡先輩…?」
人影はあんずの尊敬する先輩で、声をかけても俯いたままピクリとも動かない。顔は見えないものの、その格好は中世のヨーロッパを思わせるようなドレスを身にまとっていた。クリーム色のドレスにワインレッドのラインが血が流れたように思わせる
あんず「紡先輩!あの…」
『私に話しかけるとは…小娘…私が見えるのか?』
あんず「…へ?」
『もっと近くに寄りなさい。人と話すのは幾分久しぶりでね…可愛い顔をお見せなさい…』
あんず「あ…あの…」
紡はゆっくりと俯いたまま立ち上がり自らの足元に来るように促す。大好きな先輩の言われるがままにあんずはゆっくりと紡に近く。そして、足元に跪けばゆっくりと頭を撫でられる。
『ふふ…従順な子ですね。とても愛らしい…』
あんず「あ…あの…先輩…」
紡の方を見上げるとそこには綺麗なドレスを身にまとってはいるもののその首元には切られた皮を繋ぎ合わせたような痕といつもより青白い顔をした紡の姿だった。
あんず「その傷は…」
『これか…これは昔、ギロチンされた傷だ』
あんず「ギロチン…」
『あぁ…呪われた女王は国民に裁かれたのだ…私は国民に憎まれた愚かな女王だからな』
あんず「…ブラッディー・マリー…ですね?」
『おやおや、私のことを知っているんだね?そう、私は血の女王、マリー。』
あんず「……」
『怖くて声も出ないか?』
あんず「似合っています紡先輩!」
『うわっ!』
跪いていたあんずは紡に飛びつき、紡は後ろにあった玉座に倒れこむ、あんずは紡の胸元に顔を埋めて腕の力を強める。
紡はその力に苦笑いしながら頭を撫でる。
『もう…宗くんに言われた通り最後まで設定を守るつもりだったのに〜』
あんず「こんな素敵な姿見て黙っていません!すごいです!」
『ありがとう〜…でも首の傷はやりすぎだよね〜小さい子がよりつかない…ハロウィンなのにさぁ…』
あんず「私以外で誰が見たんですか⁉︎」
『えっと、生徒は宗くんくらいじゃない?あとは、一般の人が遠目に見られたくらい…』
あんず「それは、紡先輩が美しすぎるからですよ!行きましょう!ファンサービスしに!」
『いや…私は…』
あんず「いきますよ!」
『は…はい…』
あんずは強い力で紡の腕を引き、空き教室から出ていく。ヒールのおかげで地面につくことない裾が引っ張られることでたまに床をする音が聞こえる。けれどあんずにはそんなこと関係はない。
今は少しでも多くの間この美しい女王陛下を自分の先輩だと世間に知ってほしい気持ちでいっぱいだった。
それは、周りから見れば恐ろしい女王様とか弱い赤ずきんの異様な光景にも見えた。
『と…トリックオアトリート』
客「トリート!」
『甘いお菓子をあげよう…』
客「ありがとう!怖いお姫様!」
『いや…あの…』
あんず「ふふふっ。」
あんずが後ろについて紡がお菓子を配る
トリックを選べば、イタズラを。トリートを選べばカゴに入れたお菓子を…、女王様の姿なのだが紡は子供にお姫様と呼ばれる始末だ。
赤ずきんがついているからなのか先ほどより多くの人に話しかけられる。なぜか、アイドルよりも人だかりができている始末だ。先ほどの移動時に話かけられなかった人が集まってきているのだろう。
『小さなお姫様だね…。トリックオアトリート』
客「トリック!」
『おや。お菓子じゃなくイタズラがいいのか…』
客「うん!お姫様にギュってしてほしいの…」
『…そう…ほら、おいで?』
客「きゃー!」
小さな子をぎゅっと抱きしめれば他の小さな子供も「私も私も!」と声をあげる。紡は「まるで夢の国のプリンセスにでもなった気分だ」と思いながらハグをしていく。終われば母親の元へ戻ってキャッキャと騒ぎながら離れていく。子供の相手を順番にしていると、紡の後ろに黒い影が近づく。
あんずはその相手を見て声をかけることなく近づくことを許す。
『ほら、次はーー』
**「トリックオアトリート」
『ひゃあっ!…だれ…だ…』
月永「死神様だ!」
『レオ…』
月永「ほら、トリックオアトリートだ!女王陛下」
『…トリート…』
月永「トリックだな!」
『おい、話聞け』
月永「じゃあ、その命頂戴する!」
いきなり現れたレオは紡のことをお姫様抱っこして歩いていく。客は何かの出し物だと考えたのか特に何を言うわけでもなくその様子を見ていた。
あんずはその様子を微笑んで見ていた。紡の助けを求める声を無視してーー。
ファンサービス
あんず「紡先輩、頑張って!」
→