躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン
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月永「どう言うことだよ!『Knights』のみんなでって!お前も『Knights』だろ⁉︎」
レオは強く握っていた私の腕を振り払うように離す。少し脚がぐらついたがなんとかたえる。
驚いた顔でレオを見るとすごく怒っている顔をしていた。レオは私に怒ったことがあまりないのでその顔を見たのは久しぶりだった。
『怒ってるの…なんで…』
月永「怒らないと思ったのか⁉︎なんでだ⁉︎お前は今までセナと一緒に『Knights』を守ってきたんだろ…なのに『Knights』じゃないみたいな言い方しやがって…!」
『だって、私は……私は……』
月永「どうせ何もできないとか思ってるんだろ⁉︎お前は何もできなくない!ここまで『Knights』を守ってきたそれがまぎれもない証拠で事実だ!なんでそんなこと考えるんだ!」
その言葉に頭の中でプツリと何かが切れる音がした。
コイツは何でもかんでもお見通しだ。長年一緒にいるだけある…。でもこの天才に私の感情なんてものを察してくれなんて…、無理な話だった。
でもレオが感情的に怒るんなら私も言いたいことを言ったっていいよね…
『うるさいな‼︎レオにはわからないよ‼︎神様に愛された天才には…凡人の気持ちなんて‼︎
レオが湯水のように曲をかけても私はそんな風に歌詞が書けない…『ジャッジメント』の時にそう実感した。『Knights』がメンバーだけでも充分活動できることを『フルール・ド・リス』の時に実感した。
私は…私は『Knights』に不要な存在だ…。もう疲れた…みんながどんどん眩しくなる…』
月永「紡…おれはお前のことずっと天才だと思っている。それはおれ以上だと思ってる。…だから、お前を女王様において『Knights』を託したんだ」
『嫌だ嫌だ!天才にそう言われるのは嫌だ!レオは…私の夢だから…理想だから…でも、それを押し付けてレオは壊れた…
泉の夢を…私の夢を叶えるために…無理をして壊しちゃった…
でももう壊れてほしくない。勝手にいなくならないでほしい…だから、レオから離れないと…』
月永「なんでそれが離れることになるんだ…」
『わかってるでしょ…レオをもう壊したくないの。大切だから…ちゃんと守ってあげたいの…』
月永「おれはいつからそんな弱虫になった…?まぁ確かに壊れて逃げて…。」
『違う違う!そうじゃないそう言うことを言いたいんじゃない!
レオを守れなかったのは神様と崇めて先頭に立たせた、弱い私のせいだ。勘違いであることをあの時もっと早く私が教えてあげれば…
私が…私が、レオをもっと対等に見てあげればよかったんだ…
大切な幼馴染だったのに、3人で対等な『Knights』だったはずなのに、…レオは普通の人間だったのに…私が勝手に理想をつけて人間じゃなくしてた…。ごめんねごめんレオ…私が悪いんだ…』
レオは泣き崩れる私をゆっくりと抱きしめた。「よしよし」と頭を撫でられる…
『レオ、神様って言うのはさ…見えたらダメなんだ…。
偶像崇拝って言うのは見えないから神々しくて、それを目指して頑張れるんだ…、だから無理をして修行して修行僧は釈迦とか仏を目指す…。
でも、実際釈迦や仏が目の前にいれば彼らは「あんなものになれない」って逃げ出す。本物がいたら偽物なんてちっぽけだよ…
それが昔の私と昔のレオだ。』
月永「昔の…?」
『そう…私はやめるんだ。弱くて偶像の神仏に頼ろうとする愚かな騎士は『Knights』にはいらない。この『ハロウィンパーティー』で『Knights』を離れて様々な経験をしたい。そして違う目線で『Knights』を見てみたい…。
そしたら、私の『神様』とお別れできる気がするから。レオはよかったら『Knights』の活動に参加してほしい。ちゃんと5人の『Knights』を見せてほしい…。
私も頑張るから、終わった時に『Knights』の騎士としてみんなから認めてもらえる人間になるように、一人でも『Knights』でいれるように成長するから…。
そしたら、もう一度『Knights』のメンバーにしてくれる?』
月永「…お前は、『Knights』を抜けるのか?」
『うん…、終わったらまた『Knights』に入れてって言いに行く。都合のいい話だし、入れるかどうかはレオが決めてほしい…。そしたら私とレオは騎士として、幼馴染として…対等な人間として過ごそう。』
月永「そっか…うん、わかったよ。わかった。」
レオは私を抱きしめたまま地面に座りこんだ。背に回った手は言葉と裏腹に離すまいと力が加わる。私もそれを受け入れる。
『不思議だね…スランプ気味だったんだけど、歌詞が思いつく…やっぱレオはすごいな…』
月永「おれも…お前と一緒だと霊感(インスピレーション)が湧く…。でもそれも少しお預けだな…紡…」
『なに?』
月永「お前はおれが認めた天才だ!それに仕事は完璧にやる女だ!だから怠った罰として一度処刑台に立たせる。ギロチンだ!」
『…首をはねるの…?』
月永「あぁ…でも執念深く帰ってこい!首なし騎士になっても!」
『デュラハン…?だっけ?』
月永「おれはお前を信じてる!神様としてじゃなくて大事な幼馴染として!」
『…うん、頑張ってみるよ。きっとここで負けたらずっと『神様』を信じる夢見る女の子のままだ。強い騎士になって見せるよ。見ててね…』
月永「あぁ…ずっと見てるよ」
レオはぎゅっと抱きしめてから私のことを離す。
ふたりして目をが少し赤くなっているようでレオの目元を撫でると少しくすぐったそうに目を伏せる。綺麗な猫目が閉じているがそれもまた猫っぽくてクスクスと笑ってしまうと大きな目が開いて「なんだよ〜」とふてくされた顔をする。
月永「なんか、いつも話してたのにこうやって本音で話すの久しぶりかもな…」
『昔は昔…今は未来の話をしよう?…『Knights』のみんなには迷惑かけないように…凛月のことも心配だし…しっかりしてよ?リーダー?』
月永「おれにリーダーなんて向いてないんだよ〜セナの方が向いてる…」
『その泉がレオがいいって言ってるの!レオが王様だよ…私もそれがいい。』
月永「それがいいって?」
『私が帰るのはレオの国がいい。だから私が戻るまではちゃんと『王様』しててね?』
月永「うう…わかった…」
レオは難しい顔をした後に微笑んだ。想いは通じたのか…とにかく私は一度『Knights』の夜永紡ではなく、ただの夜永紡となったのだったーー。
首をはねよう
『私にレオという『神様』は必要ない』
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