躍進*ブラッディ・ナイトハロウィン
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『どうしたものかね…宗くん』
斎宮「急になんなのだよ…」
校内がハロウィン一色に染まりつつあるなか、私の頭の中は『Knights』と『Trickstar』との雑誌記事問題だ。
不本意ながら、『Trickstar』の評判を陥れるために書かれた記事の標的になったのが、あろうことか『Knights』だった。不運なことに泉やナルちゃんが雑誌に入っており、それもまた読者に変な印象を与えたことだろう…。
『大人の世界にこうやって巻き込まれてさぁ〜…私たちもこうやって大人になるわけだよねぇ…あーあ、アイドルって可哀想…あんなにキラキラしてるのに裏はドロドロだ』
斎宮「それを僕の前で言うのかね…?」
『そうだよねぇ〜…でもこんなの宗くんくらいしか黙って聞いてくれないじゃん…?優しくしてよぉ…』
斎宮「お前に優しくする必要性は感じないが…」
『えぇ〜最近みかくんに優しいと聞いたのだが…所詮風の噂か…』
斎宮「……はぁ…それが本題なのか…?」
『ああっ!うっかり!本題を忘れてしまうとこだった…ごめんね?えっとハロウィンパーティーのことなんだけどね。仮装が思いつかなくて…できれば宗くんに任せたいんだけど…ダメかな?』
斎宮「それは僕になんの利益があるのかね…?貴様は『Valkyrie』の作曲をしないじゃないか。」
『うう…んん〜…あっ!いいこと思いついた!じゃあ『Valkyrie』のプロデュースをするなんてどうかな?』
斎宮「プロデュースだと…?『Knights』はいいのか…」
宗くんは驚いた顔でこちらを見る。私は部室の机に顔を向けてうずくまる。「ううう」と唸れば宗くんの重い溜息が聞こえる。やっぱりダメか、と思っていると小さな声で「わかった」と言う声が聞こえた。
伏せた顔をバッとあげれば宗くんが窓の方を見ていた。
斎宮「『Valkyrie』のプロデュースをするからには最後までしっかりやることだな。」
『じゃあそのお礼に仮装の方よろしくお願いします』
斎宮「あぁ、わかった。他の衣装のこともある一つや二つ増えたところで関係あるまい…」
『でも、宗くんが駆り出されるくらいなんでしょ〜…忙しい証拠じゃん…なのに、私なんかの衣装なんて作らせて申し訳ない…自分で作れればいいのにね〜…役に立たない…女だ…』
斎宮「いつになく卑屈だな…何かあったのか…」
自分でもたまに思う。『あの時』からたまにメンタルが急降下する時がある、せっかく『Knights』の調子が上がっていると言う時に私はこんな状態だ。
今頃『Knights』は『Trickstar』のところへ抗議に行ってるところだろう。どう対応すればいいのか、どうすればどちらかが傷つくこともなく無傷…または痛み分けできるのか…こういう芸事の世界のゴタゴタは得意分野じゃないからわからない…
『なぁんか、最近スランプ?なのかな…疲れちゃった…『ジャッジメント』が終わってからなんとなく創作意欲もわかない…太陽の下が辛い…あぁ…燃え尽き症候群…ってやつ…?』
斎宮「まるで零のような言い方だね…」
『…そうだね…大人になるのって…なんだか怖いな…』
斎宮「…紡」
『あはは…宗くんが名前で呼んでくれるのは珍しいな…なんか元気出るなぁ…』
斎宮「そうか、そうには見えんが…」
『元気になったよ…大丈夫!衣装よろしくね!『Valkyrie』のプロデュースメニューを考えよう!あと…他のユニットのプロデュースと校内の飾り付けと…。』
斎宮「お前…予定入れすぎじゃないのか?作曲はいいのか」
『作曲は、終わったの。今回は決まった仕事をしておしまい。新しいことがしたいの』
斎宮「新しいこと…?」
『作曲も作詞も楽しいし続けるけど、もっと新しいことをして触れてみたい。世界を感じたい…『Knights』以外の世界を…だから宗くん…魅せてよ『帝王』と言われた斎宮宗の世界をさ…☆あはは☆』
斎宮「…あぁ…そうだな。せっかくだ、じっくり見て行くがいいさ…ただし、無駄な口出しをするなよ。お前とまで芸術談義で喧嘩するのは面倒だ」
『わかってるよ。付き合いが長いんだから『Valkyrie』のやり方はわかってるよ…?』
宗くんは「そうだな」と笑う。『Valkyrie』とは一年の時からの付き合いだ。その世界観も作り方もある程度は知っている。だからずっと好きだった『Valkyrie』の曲がかけなくなってもライブハウスで行われるライブを見に行くほどに…。それを真近で見れるなんて気分を落としてみるものだ…。
そのあとは雑談をして、部室を後にした。
依頼書の分は終わったわけだし、たまには普段やらないことをしてみるのもいいことだろう。
同じことの繰り返しは人間を退化させる。たまに刺激を与えることで新しい発想や視点を手に入れ、人間を進化に導くんだ。これを言ってたのって誰だっけ…
『レオだ…。あぁ〜…もうまただ…ダメだよなぁ…もっと妄想力を働かせて、もっともっと面白いことを見つけに行こう…』
私の心はどんどん落ちていく一方、このまま落ち目な『Knights』であれば逆に上がっていたのだろうか。レオが戻ってこないともっと頑張ろうと意気込んで…。もっと高い場所を見れていたのだろうか…
『結局、私はイラナイ子だ…。『あの子たち』のいう通りは嫌なんだけどなぁ…』
逆先「おや?紡ねえさん、こんなところでなにしてるのかナ」
『ウヒャアっ!夏目くん…びっくりさせないでよ…』
逆先「勝手に驚いたのはねえさんじゃないかナ?」
『うう…ごもっとも…?なに急に魔法使いは呼んだ記憶ない…』
逆先「ねえさんに相談したいコトがあってネ、ちょっと話できないかナ?」
『いいけど…、怖いコトしないでね?』
逆先「ボク、紡ねえさんには優しくしてるつもりだヨ?」
『…う…うん、そうだね…ついていく…』
そういって夏目くんに近寄れば手を引かれどんどんと廊下を進んでいった。どうなるかは、わからないけど夏目くんが意地悪することもないだろう…、私は新しい道に少しだけ心踊ろせて足を進めるのだった。
大人になりたくない
『もう、疲れてきちゃった』
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