反逆!王の騎行
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レオは司くんの言葉に少し驚いてから悲しそうな表情になる。
月永「……買いかぶりすぎだよ、新入り。おれはね、全知全能の神さまじゃないから
もちろんおれもアイツも神さまに愛された大天才ではあるけど、神さま『そのもの』じゃないんだよな
アイツはそれをわかってたのに…、むかぁし、おれは『そこ』を勘違いしてた
おれには何でもできるし何でもわかるって、思いちがいをしてたんだよ、やりたい放題やってさ、たくさんのひとを振り回して傷つけた
取り返しがつかない失敗をしてから、ようやく気づいたけど。
遅かったよ、あまりにも
ぜんぶ失って、おれはいちど無責任に逃げちゃったんだ。アイツも何もかもを置いて……、ほんとはさ、アイツに会う資格もこの場にいる資格もないんだよ
おれは情けない、恥ずかしいやつだよ
赤ん坊でもわかるような簡単なことにすら気づかなかった、裸の王さまだ
騎士に傅かれて、忠誠を尽くされる価値なんてないんだよ」
『………』
朱桜「………」
レオは淡々と語り続ける。レオが発する一言一言に近くにいれば、「そんなことないよ」と声をかけてあげたかった。
私は神様に愛された大天才なんかじゃない。だって、私にとって彼が神様みたいなものだった…。そう考えていたから彼をこんなにも追いつめて彼が無責任にも逃げたと自分で思うほどに…私は置いていかれたなんて思ってない。私が彼を取り残してしまったんだ…。孤独な世界に…、ただ彼が帰ってきた幸せに何か勘違いをしていたのかもしれない…。
レオの笑っているけど悲しい表情が私の心を苦しくしていく…。
後ろにいた泉が肩を掴む。振り向けば、タオルを渡され自分が泣いていることに気づく、タオルを受け取り涙を拭けば泉が手の力を少し強めてからステージに目を向ける。
瀬名「大丈夫、俺らが勝っても負けても素直に立ち去るなんて絶対に許してやんない…。アイツにあんな想いをさせたのが俺たちの罪だって言うなら…ふん縛って償ってやろうじゃん…」
『…っ…っず…縛ったら…それが罪だよ…っ…』
瀬名「ものの例えでしょぉ?」
『…っう〜…泉ならしそうだよ…』
瀬名「ほら、『Knights』は女王様のだって?好きに命令しなよぉ、あんたの騎士になったんだし…
自分勝手な『王さま』を捕まえろとかさ、『王さま』に戻せとかさ?言いたいこと全部言い合って、向き合ってみれば?
勝手に代替わりの時代とか、言わせていいの?」
『ずずっ…勝手な事言わないでよぉ〜…ずっ…』
瀬名「あんた泣きすぎ…泣いてて怒られるの俺なんだからねぇ?」
『怒られるって誰に…?』
瀬名「全員だよ、あんたは自分に自信なさすぎ。」
泉はタオルに顔を埋めてままの私の頭を撫でる。その手の暖かさが2年の時から変わらなくてさらに涙が溢れる。たまに甘やかしてくるこの人は人を泣かすプロなのかもしれない。飴と鞭とはよく言ったものだ…
『ツンデレ…せないず…』
瀬名「はぁ⁉︎人が優しくしてやってんのになにそれ⁉︎」
あんず「あぁ!瀬名先輩落ち着いてください!まずは『ジャッジメント』を見届けましょう!」
凛月「そうだよ…。少し休んでセッちゃん元気になりすぎ…女王様、セッちゃんに泣かされて可哀想〜…ねぇ、涙と血って同じ成分って知ってた?舐めとってあげよっか?」
『…あ?』
凛月「…えぇ?何でそんな不良みたいなキレ方?」
『あぁ、ごめん…』
あんず「凛月くん!もう!『ジャッジメント』をみてください!」
あんずちゃんの総ツッコミに『Knights』はステージの方に目を向ける。司くんは小さくため息をついてレオの方を改めて見る。
その表情はまっすぐレオを見て微笑む。
朱桜「いいえ。”leader”我が侭ばかり言わないでください
さんざん私たちを振り回しておいて、『良い思い出ができたよ』なんて……
お姉様を悲しませておいて、自分だけ何かをやり遂げたような笑顔で、立ち去ることは許しませんよ。あなたには、まだ教えてもらいたいことが山ほどあります
与えていただきたい『武器』が……技術が、『Knights』の流儀があるのです
それらを、きっちり伝承していただきます
私はまだ、あなたのことを何も知りませんから。けれど、私も『Knights』ですからかつて勇名を馳せた我らの王の武勇伝ぐらい、聞かせてくれませんか?
どんな馬鹿話でも。それはきっと、私たちの誇りになりますから」
月永「ん〜…聞いて面白い話なんてないけどな、馬鹿が馬鹿らしく馬鹿をやって負けて逃げだしたってだけ
でもまぁ、興味があるなら教えてやるよ
おれも、おれがいない間におまえらがどんな物語を紡いできたのか……知りたいし、興味があるから
おまえら全員、おれの子供みたいなもんだからさ
それに、まだ『ジャッジメント』の勝敗も決まってないんだもんな
今の時点で何を言っても、犬がワンワン泣いてるのと同じ!無意味すぎるっ、わははは☆
意味があることをしよう!人間なんだから、せっかく生まれてきたんだからな……☆
さぁさぁ、前口上はこのへんで!勝負しよう……
ううん思いっきり遊ぼっか、新入り♪」
朱桜「はい、”leader”……。あらためて確認しておきますが、私たちが勝てば何でも言うことを聞くと仰いましたよね?
今さら、前言撤回はさせませんよ?私は、いまだに未熟者。あなたと一騎打ちをしても勝てる気がしません
けれど、全力を尽くします。奇跡でも何でも起こして、きっとあなたに勝利しましょう。そして、我らが女王陛下に”勝利”の2文字を捧げましょう…
だからこそ全力で挑みます、紳士的に。ですから、あなたも礼儀を尽くしてください
約束を守ってください、吐いた唾を飲み込むような無様な真似だけはやめてくださいね」
司くんは一度レオに背を向け「勝てる気がしない」と弱気な発言をしたにも関わらず袖にいる私の顔をみて頷いてから、強気な表情をしてレオの方へと振り返る。
朱桜「私が、勝利したら……。とりあえず、まずは『新入り』ではなく名前で呼んでいただきます
自己紹介から始めましょう、ようやく帰還された我ら『Knights』の王よ
”Repeat after me”………私の名前は、朱桜司です
どうか、以後お見知りおきを♪」
司くんの言葉をきっかけにお互いのパフォーマンスが開始される。久しぶりに見るレオのパフォーマンス、そして毎日見ていたけれど今までのどのパーフォマンスよりも輝いている司くんのパフォーマンス。
長時間のライブだったにも関わらず、観客の目を惹きつける…もうすぐでこの『ジャッジメント』も終わりを迎える。
私たちは本当の『Knights』にまた一歩近づいたと思う…。
王の帰還
『あなたの歌声がまた聞ける幸せ』
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