反逆!王の騎行
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凛月がステージに上がってから、一緒にその姿を見ていると司くんが先ほどの話の続きを話し出す。
朱桜「仲間たちとの絆を、かつてない一体感を味わっています
私たちは、今日この日に、初めて『Knights』になった気がします」
私も同じ思いだ…。自分がずっと探していた『アイドル』というものに近づいたと思う。バラバラだった存在が、同じ目的のために一丸となって誇り高い騎士たちになったと…
それを気づかせて来れたのは、レオなのかもしれない。結局私が追い求め、探していたものの答えを持っているのは彼だけだったのだ…。
きっと彼はこの試練を与えることで…私たちの道をしめしてくれた…。なんて勘違いかもしれないが、私はそう信じたい。
朱桜「我らの王は、”leader”は……。このために、あえて敵対を?挑発し、悪役ぶって、私たちを苦難に追いこんだのでしょうか?そんなふうに考えてしまうのは、私の甘えなのでしょうか……ねぇ紡お姉様。でも『そうだったらいいな』と、思うことは罪ではないでしょう?」
あんず「ふふふ…っ」
『はははっ!』
朱桜「おや。笑ってらっしゃるのですか、お姉様方…
結局のところ、『ジャッジメント』は見苦しい内輪揉めでしかありません。醜態を晒す我らを、嘲っているのですか?」
あんず「そんなっ!」
朱桜「いいえ。あんずお姉さまは、そんな心ないかたではありませんよね。紡お姉様も…私たちが愛し、仕える、”producer”は……」
あんず「そんな…大層なものでは…」
朱桜「あなたは、決して私たちを嘲笑ったりいたしません。馬鹿馬鹿しいことに夢中になって、一生懸命になって……
汗を流し、魂を燃やして、生きている。そんな私たちを、祝福してくださっているのですね」
『あんずちゃん、神様みたいになってる…』
あんず「もう!紡先輩!」
朱桜「あぁ紡お姉様、これが青春なのですね………☆」
清々しい表情をした司くんがあんずちゃんから私に視線を移す。
真っ直ぐに見つめてから少し近づいて私の手にゆっくりと触れる。少しビクリと肩を揺らすと司くんの笑みがさらに深いものになる。
朱桜「あなたが導き、与えてくれたのです。笑顔で飾って、愛してくださったのです
感謝しています、……口づけをしてもいいですか?勇気をください、この朱桜司に」
『ふぇっ⁉︎く、口づけ⁉︎だ…ダメだよ!何言ってるの⁉︎』
あんず「つ…司くん!何言ってるの!」
心臓がバクバクと音をたてた。綺麗な笑みで顔を少し近づける司くんをあんずちゃんが後ろで引っ張って引き止める。近くなった顔に私は顔が赤くなるのを感じる。引っ張られた司くんは少しつまらなそうな顔をして、笑った表情に戻る。
朱桜「駄目ですか、ちぇっ……構いませんよ、ちょっと言ってみただけですから
ふふ、たまには紡お姉様に子供っぽい我が侭でも言ってみようかなって。冗談を言っていたら、ほどよく緊張もほぐれました♪お姉様方の、ちょっと驚いたような照れたような…
紡お姉様の愛らしくも珍しい表情が見られただけで、今は満足しておきます♪」
司くんは前を向いて深呼吸をする。ステージを見据えてから口を開く。
朱桜「紡お姉様、あんずお姉さま……見ていてください。いってまいります」
あんず「うん…いってらっしゃい」
『いってらっしゃい。『王様』』
司くんは「はい!」といってステージへと向かっていった。その向かいからは『ナイトキラーズ』の『王様』であるレオが出てくる。お互い司くん越しに目が合う感じがする、レオは楽しそうかつ挑発的な表情で私を見てから視線を司くんに戻す。
月永「やっほ〜、新入り。なかなか、良い顔になったなっ♪最初に会ったころは……。ほんと蝶よ花よと甘やかされて育ったお坊ちゃん、って感じだったのに
紡にまで、甘やかされてさぁ〜何だこいつ、ひ弱そうだな〜?撫でたら死んじゃうんじゃないか、騎士っていうよりお姫さまだろ?な〜んてさ、まじで心配だったんだけど!
わははは☆認めてやるよ、おまえも『Knights』だ!誇り高い騎士だよ、ひよっこだけど♪」
レオは挑発的な発言を司くんに投げかける。司くんは静かにレオを見つめる。もう、先輩たちは誰もいない…泉も凛月もナルちゃんも…もう全員舞台上には上がれない。敗北すれば駒は出番を終える。しかし、それは『ナイトキラーズ』も同じこと。
もしくは、『ナイトキラーズ』のメンバーの計らいで一対一の状態を作られたのかもしれない。何とも優しい…真剣勝負と言っていいのかわからないにしろ。これはレオと司くんの喧嘩なのだから、花を持たせるのもまたステージとしては見ものだろう…。
月永「生き馬の目を抜く芸能界で、そんなんで大丈夫なのかな?いいけどさ!そういう連中、おれは大好きだから!愛してるからっ、わはははは……☆人間っていいな、数字とかしがらみとか余計なもんに縛られがちだけど!そういう連中は腐るほど見てきたし、つまんなくって嫌いだけどさぁ?
今の夢ノ咲学院で遊び回ってる馬鹿どもは、とびきり自由に青春を謳歌してる!帰ってきてよかったよ、ほんとの本気で!あぁ、たくさん名曲が書けそう!」
朱桜「”leader”……。あなたとお姉様は、どこまで計算していたのでしょう?
最初から、この『ジャッジメント』は……私とあなたの、喧嘩です。あなたの『やりくち』に不満を抱いて食ってかかった私を、あなたが受けて立ったかたちになります。紡お姉様も、それを受ける形になって『真剣勝負』をする…となったわけですが…。
蓋を開けてみれば、こうして………。私とあなたの、一騎打ちになっています。極限まで単純化した、今回の喧嘩の構図そのものです
ここまで、お二人共読んでいたのでしょうか?この瞬間のために、こんな終幕を演出するために……必要な仲間を集め、布石を打ち、準備万端整えていたのでしょうか?
この『ジャッジメント』でも、このような終局をつくるために……あなたは、『Knights Killers』の面々を効果的に派兵しているように見えました。的確に『武器』を供給するなどして、戦場の流れを完全に掌握し、誘導していたのでしょうか?
すべてが、最初から最後まであなたの手のひらの上だったのですか?お姉様は、それを理解した上で今まで動いていらしゃったのでしょうか…?だとしたら……
私、感服いたします。お二人の関係にも、あなたのその手腕にも…まだまだ、先輩がたにはかないませんね?」
司くんは、一人で黙々と話し出す。買いかぶりすぎである…とは思うけど、レオに関しては司くんの言う通りかもしれない…それでも私はまんまと乗せられたフリをして『ジャッジメント』を受けた記憶はない。本当に真剣勝負をするつもりで、曲もプロデュースも行ってきた。だから、レオの考えの思うがままに動いただけなのかもしれない。
そんな凄い人ではない
『私は頭良い人じゃないよ』
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