反逆!王の騎行
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レッスン室に向かう途中、凛月はのろのろと歩きながら私の腕を引いて廊下を進む。
すると、ゆっくりした足取りもそのまま顔だけこちらに向けて話し出す…。
凛月「ずっと聞きたかったんだけど、王さまと付き合ってるの…?」
『…は?』
凛月「ほら…、『ジャッジメント』決まるまでずっと一緒にいたし、音楽科の時もこっちにいるときほぼ一緒だったじゃん…」
『一緒にいたら付き合ってるの…?』
凛月「いや雰囲気…」
『ふんいき…昔からあんななんだけどなぁ…付き合ってないよ。恋愛とかよくわかんないし、今の状況に満足してるしなぁ…』
凛月「ふぅん…あっそ♪」
『なにその言い方…聞いたの凛月じゃん!凛月は?凛月の恋バナは!』
凛月「さぁねぇ〜……ふぁあ、ふ♪」
『はぐらかして…ずるいなぁ…私もみんなの恋バナ聞きたい〜…』
凛月「あはは、ナッちゃんとしな〜」
凛月ははぐらかして、やっと到着した防音レッスン室へと入っていく。中では先ほど置いていった司くんとあんずちゃんが語り合っていた。司くんはあんずちゃんのことが大好きみたいでかなり語っているところを見るが…末っ子のお世話を任せてしまった申し訳ないが、彼がそれに幸せを感じているのならあまり口を出すのはお門違いってものだ…凛月はニコニコしながら中に入っていく。
朱桜「私もたまに、”studio”に帰ってきたときに『ただいま』と言いそうになるのですよ
お兄さまたちに、愛想をつかされない程度に……。せめて手のかからない末っ子として、皆さんの傍にいたいです
これから先も、私は『Knights』として
私は『Knights』ではいちばんの新入り、未熟者です。皆さんの足を引っぱらぬよう、今はひたすら修練あるのみ
そうですよね、お姉さま♪」
凛月「うんうん。ス〜ちゃんは、がんばり屋さんだねぇ……♪」
朱桜「ぎょっ⁉︎失敬、えっと紡お姉様に凛月先輩?いつから、そこに?」
あんず「紡先輩!早いお帰りでしたね!」
『うん、いい拾い物をしたからね』
凛月「俺はいつでも、どこにでもいるけど〜……。暗いところに、寝心地のいいところにね。ふふふ〜、ふあぁふ♪
今日はこの部屋でレッスンするって、紡からもあんずからも聞いてたんだけどさぁ…来る途中で落ちてたら女王陛下に拾ってもらえたんだぁ…♪」
『とんでもない落し物だったが、地べたでの睡眠はお勧めできないなぁ』
朱桜「地面で寝てたのですか⁉︎あまり、衛生的ではありませんよ?」
凛月「兄者の棺桶に比べたらねぇ、どんな場所でも最上の寝床だけど。やっぱセナハウスの寝床が最高♪あそこ日よけも完璧だし…♪」
『日よけは泉とナルちゃんの仕業だけどねぇ…』
私が作った凛月の寝床は夏休みの自由研究と称してモデル組と日よけや寝心地、寝姿勢の矯正など…最高の寝床を作るという研究の結果、誰でもの*太くんエリアとなったのだった。
…というかそんなことはどうでもいいのだが、そんな話をあんずちゃんがニコニコしていたので先ほど座っていた椅子に座り話しかける
『どう?練習順調?』
あんず「はい!司くんもちゃんと月永先輩のこと見てて今の課題と向き合ってるみたいです!」
『そう。凛月の睡眠時間とかの管理まで手伝わせてごめんね?忙しい中…結局手を借りて…』
あんず「いえ!紡先輩はいつも仕事が早いので本当に尊敬します!先輩のデザインした衣装を作れるなんて…」
『そんなそんな…最近はどんなことしてるの?衣装もやってるし、プロデュースもかなり慣れてきたでしょ?』
あんず「はい!最近は月永先輩に作曲を教えてもらっています!」
『レオに…?え〜私が教えるのじゃ足りない?』
あはは、と笑いながらあんずちゃんとの世間話に花を咲かせる。レオが戻ってから時間が合えばレオに作曲を教えてもらっているらしい。夏休みの間はあんずちゃんも作曲したいと言っていたので時間を見て作曲や作詞のことを私も教えていたのだけど、ここ最近の忙しさもあり時間をさけなかったのは事実だ。
だけど、レオに教えてもらっているとは思わなかった。さすが彼女の人を引き寄せる力はブラックホール並みに無限だ…。あの自由人まで虜にするとは…
『あんずちゃんはすごいなぁ…』
あんず「えっっ⁉︎急になんですか!…あ!月永先輩とはそういうのじゃないので!」
『え?そういうのって?』
あんず「…へ?付き合ってるんじゃないんですか…?」
ポカーンと2人の間で音が流れそうなほどカラッとした空気が流れる。なんで、泉も凛月も果てはあんずちゃんまで…
そんなにおかしいのか私たち幼馴染は…あまりお互いも何も考えることなく過ごしているが、第三者から見ると近すぎるのかもしれない…まぁ変わることもないし…気にしないことにしよう。いつか泉みたいに慣れてくれるに違いない。
『いや…違うけど…?』
あんず「そうなんですか…作曲のレッスンの時も紡先輩のお話ばかりされるので、そうなのかと…」
『あ…なんだ、レオのせいか!あ〜!よかった…ったぁあ!重い!』
凛月「紡、目覚めの一杯をちょうだい♪」
『お茶なら…あんずちゃんに…』
凛月「違うよ、血ぃちょうだいって言ってんの♪」
朱桜「凛月先輩!紡お姉様に危害をくわえることは、この朱桜司が看過しませんよ!」
『重いんだけど、どいてよ…』
凛月「危害なんてくわえないよ〜……愛情表現、ってほどでもないけど」
『無視しないでよ〜』
凛月「ダメなの〜…?」
『炭酸あげるから起きて…』
凛月をどけてあんずちゃんに預けてた飲み物の中から、炭酸飲料を取り出し渡すとプシュと音を立てて開けてゴクリと飲み込めば、あくびをこぼす。
凛月「ふあぁ、ふ♪ねぇ、ス〜ちゃん……。身体をほぐしがてら、稽古をつけてあげようか、指導者がほしいんでしょ〜?」
朱桜「はい?それはたいへん有り難いですが、よろしいのですか?」
凛月「うん。兄者も『Trickstar』の師匠ポジションを満喫してるっぽいしさ、紡もあんずの師匠ポジション気取ってるし、俺も真似っこ〜。身内が強くなれば、俺も楽できるしねぇ…♪」
あんず「紡先輩は、師匠です!」
『気取ってるって言い方が…』
凛月「ふふふっ、俺の指導は厳しいよ、末っ子ちゃん……♪」
朱桜「うわぁうわぁ…身に余る光栄です、感極まってしまいます☆いつもやる気のない凛月先輩が、そのような前向きな発言を!本気ですよね、いつもの気まぐれではありませんよね?」
『司くんって、普通に毒を吐くから怖いよね』
あんず「たまにヒヤヒヤします。」
凛月「うん。でもまぁ気が変わる前にお願いね、もうすでにだいぶ面倒くさいから
一通りパフォーマンスをやってみせてよ、あることないこと言ってあげるからさぁ……♪」
『優しいお兄さんになったねぇ…』
凛月「別にっ…あんずが、ス〜ちゃんちょっと思いつめちゃってるみたいだから心配だって言ってた…気がするから…」
『照れなくてもいいのに…』
凛月はフンと顔を背けて司くんの方に向き直る。
レッスンが始まる合図のように音楽が流れてくる。
お兄ちゃんだもんね
『頑張る男の子は世界の宝…だね…』
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