反逆!王の騎行
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昼休憩を前にした四限目ーー。
私は佳境を迎えていた。頭の中を流れる曲にあわせて歌詞をはめ込んでいく。パズルを完成させるかのように、綺麗にはめて全体を見れば綺麗な1枚の絵…いや、曲が完成した。
『できたーーー!!!うわあああ!』
椚「夜永さん、あとで職員室にきなさい」
『うげ…椚先生…すみません…』
授業中にも関わらず集中しすぎてそのことを忘れていた。
クラスメイトがクスクス笑う中で泉が口パクで「ばーか」と言った気がしたので、ムカついて先ほど完成した楽譜を破るフリをする
瀬名「バカ破るな!!!!」
すると泉は大声で立ち上がりそれを止める。椚先生が私同様「あとで職員室に」というと「すみません」と言いながらしょんぼりと席に着いた。振り返って睨むのでお返しに「ばーか」と口パクで言ってやった。
どうやらその様子を見ていた薫くんがクスクス笑う。
羽風「ほんっとせなっちと紡ちゃん、仲良しだよね〜羨ましいなぁ〜」
『そう?ていうかせなっちって薫くんこそ泉と仲良しさんになってるじゃん…』
羽風「違うよ〜俺が仲良くなりたいのは、紡ちゃんっ!」
『え〜私は仲良しだと思ってたんだけどなぁー…』
羽風「ほんとっ!?じゃあこんどデートに!」
『……あははは☆』
薫くんの話を笑って流しつつ、残りわずかの授業に集中することにした。椚先生の授業はわかりやすいし勉強になるのだが、あまりの美声が眠気を誘う。しかし、あと数分で終わるのだから我慢がきく。思いついた歌詞をメモに書いて時間を潰す。
チャイムが鳴ればみんなが礼をして椚先生が「夜永さんと瀬名くんは職員室に来るように」と釘を刺して出ていく。先生が出ていけばみんなが昼休憩のために散らばっていく。泉が席を立って駆け寄って来る
瀬名「紡!ほんっっとにチョ〜うざぁい!」
『泉が先に悪口言った。ほら早く行くよ〜』
瀬名「あぁっ!待て〜!」
羽風「ふふっ、ほんと仲が良いなぁ」
泉と一緒に教室を後にする。少し走ってから泉が隣を歩く。その間もチラチラとこちらを見て来るので流石に気になって声をかける。
『言いたいことがあるなら言えばいいじゃん…。遠慮するなんてらしくない』
瀬名「別に…言いたいことなんてないけどぉ…」
『なんのこと聞きたいの?新曲?ダンスのこと?衣装のこと?ステージのこと?それとも……レオのこと?』
瀬名「わかってる、なら言わせないでよ…」
『ほんとに会ってないよ、相手のことも特に聞いてない。衣装のデザインもあんずちゃんに渡しておいた。そんなに不思議?私たちが一緒にいないの』
瀬名「まぁ…『Knights』になる前からなんだかんだ関わってたし、初めて見たとき付き合ってると思ったくらいだし」
付き合ってる…?誰が?どこに…?いやこの場合はレオと私が…?恋愛的な意味の付き合ってる…?
『ばっッッッッっ!』
瀬名「え…なに急に怖いんだけど」
『バカじゃないの⁉︎付き合ってるとか…!ないない!』
瀬名「そんな否定しなくてもいいじゃん…王さまが聞いたら泣くよぉ〜」
『レオはそんな…恋愛っていうかなんていうか』
瀬名「知ってる。あんたは王さまのこと神様的な何かだと思ってるのも知ってる。」
『さすが泉…おっしゃる通りで』
瀬名「でも、アレも人間なんだから感情のある生き物ってこと忘れないであげなよねぇ…」
『…うん…そうだね。でも、今回はお互いのワガママだから…』
確かに泉のいう通りだ。私は、レオのことを神聖な生物と勘違いしている節がある…。でも、レオも人間だ…「会わないで」その一言をどう捉えるかなんてあの時の私は頭になかったかもしれない…。
もしかして…ひどいことしてしまったかも…泉に言われるまで気づかないなんて…
『さすが、泉はレオのことよくわかってる…。』
瀬名「あんたが男心わからないだけでしょぉ?ほんとチョ〜うざぁい」
『も〜ごめんよぉ〜。許してお兄ちゃん♪』
瀬名「あんたに『お兄ちゃん』なんて言われても鳥肌立つよ」
『ひどいなぁ…とりあえず問題は『Knights』の勝利が決まってからにする。今は勝つことしか考えない。』
瀬名「その勝利への執着心は尊敬するよぉ…」
泉は呆れた声で職員室に入っていく。私もそれに続いて「失礼しまーす」と声を漏らしながら、中に入っていく。すると、椚先生が自分の席にくるように声をかけてきて向かえば長いお説教が待っていた。まぁ、自分が悪いわけだし聞くけれどお小言が好きなところはやっぱり蓮巳くんそっくりだ、と思ってしまった。言わないけどね…
泉がいてくれたおかげでいつもより短く終わったのがラッキーだったかもしれない。
泉と一緒に職員室を後にして久しぶりに泉と2人でガーデンテラスでご飯を食べた。
秋になって涼しさも混じってくれば外で食べるのが一番心地よいのだが、泉は紫外線が嫌らしく屋根のあるテラス席でご飯を食べた。
瀬名「新曲…できたんでしょ…?今日からやる?」
『そうだね…まずは歌完璧にして、それからダンスつけよう。』
瀬名「じゃあ今日は音楽室取れたら取る?」
『いや、防音室でやろ』
瀬名「あんたの作曲部屋?あそこ使ってるの?」
『使ってるよ?あそこで音つけたから、あそこならちゃんと音源流せるし』
瀬名「仕事早いねぇ〜…えらいじゃん」
『おっ、泉が褒めるなんて珍しい…頑張った甲斐があったかな…?』
瀬名「仕事、これでひと段落でしょ?たまには褒めてあげるよ」
『別に、半端な仕事したら怒るから』
瀬名「あんたは半端なことしたことないでしょ…」
『なに…今日は甘やかすDayなの?』
瀬名「ちゃかすな…ただ…『Knights』のために一緒に戦った仲でしょ。
一度でも、紡が適当な仕事したり半端に終えたこととか記憶にないよ。まぁ…どっかの皇帝のおかげで会うことが減ったこともあったけどさ、それでもこの『Knights』を守ったのは間違いなく女王様だよ。
だから、あとは任せなよ。絶対に勝ってあんたに勝利を捧げてあげるからさぁ…」
『泉…そっかそっか、心強いなぁ…涙出そう…』
瀬名「あぁ!泣くな!…ったく…あんたは何も間違ってないからさぁ…もっと女王様らしく堂々と立ってなよぉ…」
『うん…ありがとう…』
泉はそういうとハンカチを差し出してくれて、それで涙を拭った。グズグズと泣くと暖かくて少し大きな手が私の頭を撫でてくれた。泉の言葉は私が『Knights』のために動いていたことをしっかり見ていてくれてそれを認めている間違っていない、そう言ってくれている気がした。涼しい秋風には丁度いいほどに暖かい言葉だった。
側で見ていてくれた騎士
『…いつも側で守ってくれてありがとう』
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