反逆!王の騎行
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「真剣勝負だ」といったのいつのことだろうか、数年前か数ヶ月前か数週間前か…。
いや、一日もたっていない気がする。なのにこの幼馴染はなぜ私の目の前で、ジタバタするのか。
ガーデンテラスのソファー席、真剣勝負に向けて新曲と学校で提供されている楽曲の編曲をしていると、レオは唐突に現れた。真剣勝負をすると言っていたから会うこともできないと思っていたのだが、彼はそう思っていなかったようだ…。
『レオ…、あのさ。私たち戦う相手何だよね?別に会いに来るなとは言わないけど…さすがに…さぁ…』
月永「ダメだダメだ!せっかく俺の復帰戦なんだぞ?衣装作ってくれよ〜なぁなぁ!」
『無理だよ〜、裁縫嫌いって知ってんじゃん』
月永「あはは☆まだダメなのか!成長しないなぁ…!」
『怒らせにきたのか…』
失礼な幼馴染にカチンときてソファーから立ち上がって向かいのソファーでジタバタしているレオを見る。目があうとレオはカチンと固まった。
月永「ごめん…な?怒らないで?」
『はぁっ…、いいけど。それで、何で敵の私に衣装のデザインをしろっていうわけ?』
月永「やっぱ、衣装作ってもらうなら紡のデザインの服がきたいと思って!それ以外は頼らないからぁ〜なぁ?なぁ?」
『…ん〜…無理だよ。新曲と編曲で忙しいし…、『Knights』の衣装とステージの図も固まってない…一週間ほどしかないから急ピッチなの…。もっと早く『ジャッジメント』の話をしてくれればよかったのに…』
月永「だって〜、あんずとの話あいも固まってなかったしなぁあれがいいタイミングだったんだ」
『それ』
月永「へ?」
『何で私じゃなくてあんずちゃんなのかなって』
これは断じて嫉妬ではない。学校に復帰してからもレオはわりとそばにいることが多かったと思ってたが、それは私の勝手な勘違いだったようだ。
レオは私ではなくあんずちゃんに『ジャッジメント』の相談をし、その計画を断れないところまでもってきた。その理由を聞く権利は幼馴染として、『Knights』のプロデューサー、1人の騎士としてあるはずだろう。
月永「そうだな〜、お前には『Knights』の1人として参加してほしかったから」
『それを相談すると私は『Knights』の一員じゃ無くなるの?』
月永「そういうわけじゃないけど…けど、対等に戦いたい。だってこれは俺とお前の作曲家としての真剣勝負だろ?」
『…じゃあ、衣装のデザインも諦めて』
月永「やだ」
『レオ』
月永「衣装だけ」
『ダメだってば、泉が怒る』
月永「いつものことだろ?」
『あまり怒らせたり、心配させたりしたくないの、わからない…?』
月永「俺には心配かけたのに?」
『いつ』
月永「いっつも」
『理由になってない。諦めて』
月永「衣装だけ!もうそれ以外は頼まないから〜!なぁーあー!」
『……はぁ』
月永「よし!」
やっぱり、この幼馴染には勝てないようだ。彼は彼なりに真剣勝負で挑んで来るつもりだ。だから、メンバーの話はもってこないし、ルールも厳しくつけてきた。自分の作った楽曲は使わせないという条件だ。加えて、私が今まで作った曲も使ってはいけない。つまり、完全な新曲のみを使っていい条件なのだが、私は彼とでは曲を作るペースが違う。一曲は新曲、他は学院提供のものを編曲して詞を付け直すことを『Knights』に提案したのは私だった。
『Knights』のプロデュースも作曲の作業が終わるまではあんずちゃんに託している状況だ。それなのに、レオは私に敵の衣装をデザインしろというのか…。全く…
『じゃあ、舞台のデザインと構成はあんずちゃんにしてもらうけど、いい?』
月永「ダメ!紡がやって!」
『…何で!計画したのはレオとあんずちゃんでしょ!何で私にそういう仕事回すの!』
月永「…できないのか?」
『なっ…』
月永「お前は俺がいない間『Knights』で何を学んだんだ?『Knights』の作曲家として、『Knights』のプロデューサーとして、『Knights』の一員として…そんな半端な仕事しかできない女だったか?」
『…私の力量まで計ろうってこと?何でそんな…』
月永「『Knights』の個人技っていうのは騎士全員の話だ。お前も例外じゃない…」
その言葉は私を騎士として認めているという意味も含むが同時にこの間の言葉はお前も含まれていると言っていることを意味していた。
レオは先ほどとは違った迷いない目で私をまっすぐ見る。
『わかった…。全部やろう。ただし、条件がある』
月永「何だ?」
『『ジャッジメント』まで私と会わないで』
月永「……」
『デザインは他のメンバーに渡すから誰に渡せばいいか連絡して
それだけが、私の条件。本当に真剣勝負だよ…。だから勝ったら私のいうこと一つ聞いて?』
月永「俺が勝ったら…?」
『レオの言うこと何でも聞いてあげる。まぁ勝つのは『Knights』だけどね…。』
月永「んん〜、わかった!じゃあ『ジャッジメント』まで楽しみにしてる!衣装のことありがとなっ!」
レオはそう言うとソファーから立ち上がってガーデンテラスを後にした。机の上に広げていた楽譜に視線を戻す。
さすがにこの状況では興が乗らない。場所を変えるか、あんずちゃんがいるレッスン室に向かうか…
とりあえずこの勝負に勝つための戦略を練りつつ、『Knights』の勝利できる曲を書こう。
『やっぱ、楽器弾きたいな…。軽音部誰かいるかなぁ〜』
私は楽譜をまとめてからレオが出て言った方向とは逆に鼻歌交じりに歩き出していくのだった
勝つのは私
『例えあなたが相手でも』
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