可愛い妹の育て方
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授業が終わって、湖姫ちゃんを抱えて目的の場所を目指す。きっと説明したりしないといけないから…次の時間はサボることになっちゃうかもしれないなぁ……。まぁ可愛い妹のためだから大した問題ではない。うちの学校でサボったりとかはザラにあるわけだし、その中でも俺は優等生な方だから問題ではないでしょ
『いずみくん、どこいくの?』
瀬名「湖姫ちゃんがずっとあそこにいたら退屈でしょ?一緒に遊んでくれる人のところの方がいいかなぁって」
『…あそんでくれるひと?』
疑問を抱きながらも俺のシャツを握って歩く方を真っ直ぐ見つめる湖姫ちゃんは、どこか好奇心と恐怖心をあわせ持っているように感じた。俺はそんな湖姫ちゃんを抱え直して目的の部屋のドアを開ける。
??「おい〜っす、元気ぃ?」
瀬名「なんだ、もういたの?くまくん」
凛月「セッちゃんからお願いだからねぇ〜、俺優しいぃ〜」
俺が入ったのはいつも『Knights』がレッスンをしているスタジオで、特製の寝床に寝転がっているのはメンバーの1人朔間凛月だ。
彼は俺が入ってくると同時に身体を起こしこちらに向かって二ヘラと笑いかけてくる。
『いずみくん…だれ?』
瀬名「あれはねぇ〜凛月だよ」
凛月「ひぃえっ」
瀬名「ちょっと何?気持ち悪い声出さないでくれる?」
凛月「急にセッちゃんが呼び捨てで呼ぶから鳥肌立っちゃった」
瀬名「はぁ?チョ〜失礼」
くまくんは自身を抱きしめるようにしながら俺を冷ややかな目で見る。俺はそんなくまくんを見てみぬフリして湖姫をゆっくりと下す。人見知りをしているのかくまくんから隠れるように俺の足にしがみつく。
『りつ…?』
凛月「そうだよ〜、えっと確か湖姫だよね?」
『うん…瀬名湖姫』
凛月「そう〜俺は朔間凛月だよ、よろしくね湖姫」
『うん、よろしく…くまさん』
その瞬間二ヘラと笑っていたくまくんが真顔になってしまう。俺は焦って足元にいる天使の肩を掴む。
瀬名「ど…どうしてくまさんって呼ぶの…?」
『だって…いずみくんがくまくんってよんでたから…』
瀬名「でもくまくんのお名前は凛月っていうんだよ?」
『だって…湖姫はね…お兄ちゃんといっしょがいいんだもん…』
瀬名「えっ…」
『だめ…?くまさん…』
凛月「ふふ…良いよ。お兄ちゃんと一緒が良いよね。…ん〜、でもくまさんじゃなくてくまくんにしてくれる?せめてね」
『わかった!くまくん!』
くまくんがふわっと笑ってそれを許せば、緊張していたはずの湖姫は笑ってくまくんに顔を見せた。
凛月「湖姫はセッちゃんそっくりだねぇ」
『いずみくんにそっくり?んふふ、くまくんはネコさんにソックリ!』
凛月「あははっ、じゃあそんなネコさんとお兄ちゃんが帰ってくるまで遊ぼうか」
『えっ…いずみくんいなくなっちゃうの』
瀬名「ごめんね…湖姫ちゃん、俺はまた授業に戻らなくちゃ」
『…うん、湖姫まってる…』
湖姫はしょぼんとしつつも理解してくれる。小さい頃から変わらない、俺がキッズモデルをしていた時も湖姫はこの顔して見送るのが癖になっていた。今では見ることのなくなったその顔に少し心が痛んだ。
瀬名「ごめんね…でも湖姫ちゃんがずっとあそこにいたら気が休まらないでしょ?俺それが心配なんだ…」
『湖姫がわるいこだから…?』
瀬名「違うよ」
『いずみくんすぐもどってくる?』
瀬名「授業が終わったら一緒にご飯食べよう」
『…うん』
瀬名「ごめんね、くまくん…湖姫のこと頼むよ」
凛月「任せて〜」
俺は湖姫の頭を撫でてレッスン室を後にした。できることなら、ずっと隣にいてほしいけど5歳の子供が一時間も黙ったままっていうのは相当ストレスになっている可能性がある。それなら、くまくんみたいに空いてる人間に預ける方がきっと湖姫の気が楽になるから相手だって誰でも良いわけじゃない。くまくんは信頼できるし対人能力が低いように見えてちゃんとしてる子だから任せられる。
俺も安心して預けて授業を受けれるし、湖姫もストレスを感じず遊ぶことができる。これで良いんだ…。
*凛月said
セッちゃんもちゃんと説明してあげればよかったのに、湖姫はセッちゃんが出て行ったドアを寂しそうに見つめていた。昔の自分もそんな顔をしていたのかなって思うと少しムズムズして思わず横になっていた身体を持ち上げ彼女の頭に手を置く。
『くまくん…いずみくんは湖姫のことじゃまなのかなぁ』
凛月「どうしてそう思うの?」
『だって、いずみくんもお兄ちゃんも…湖姫をおいていくの…』
きっと、お兄ちゃんっていうのは湖姫の時代のセッちゃんのことだと思うけど…。やっぱり寂しいんだね、それでもわがまま言わずに見送るのは親の育て方だ良いのかなぁ…
凛月「ねぇ、湖姫はセッちゃんに笑っててほしい?」
『…うん、湖姫ね。いずみくんのわらったかおがだいすきなの』
凛月「じゃあ湖姫が笑わなきゃ」
『湖姫が…?』
凛月「そうだよ、湖姫の笑顔はセッちゃんの笑顔に繋がるから」
『…いずみくんのえがお…』
凛月「だから俺が笑わせてあげるっ!」
『きゃっ…!…あははっ…くすぐったいよぉ!』
悲しそうにしていた湖姫の脇腹をくすぐると泣きそうな顔を笑顔になっていた。きっと、アイドルが人を笑顔にするようにセッちゃんにとってのアイドルは湖姫だから俺の仕事は彼女の笑顔を守ることだよね。
任せてよセッちゃん。あんたのお姫様は俺が守ってあげるから…
気づいた時には、くすぐって笑い転げていた湖姫が静かになっっていて見るとすやすやと寝息を吐いていた。
俺はそれをそっと抱き上げて寝床に寝かせて添い寝した。
スタジオのくまさん
おやすみ、小さなお姫様
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