可愛い妹の育て方
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子供を連れて通勤電車に乗るサラリーマンの気持ちをまさかこんな年齢で味わうことになるとは思わなかった。
…と言ってもそこまで通勤ラッシュと丸かぶりというわけでもないのだが、5歳児には少し怖いものかもしれない
湖姫は左手で俺のズボンを抱きしめ、右手は俺の右手をぎゅっと握って人混みを凝視していた。
それをゆっくりと離し湖姫の前に目線を合わせるようにしゃがみこむ
泉「湖姫ちゃん…大丈夫?乗るのやめる?」
『だいじょうぶ…、のれなかったらいずみくんがっこういけないでしょ…?』
泉「ん〜…遅刻はするけど、それよりも湖姫ちゃんが心配だから」
『湖姫だいじょうぶっ!いずみくんといっしょなら!』
天使はそう言って俺の首にひしっとしがみつく。あぁ〜幸せぇ〜…こんな天使を傷つけるものは何人も許しはしない…そう考えているとホームに電車が入ってくる。
音にびっくりしたのか天使はさらに強い力で俺の首を絞める。安心させるようにポンポンと背中を叩いてから湖姫を抱き上げると、先程まで見えなかった可愛いお顔が俺を見る
『いずみくんっ!だっこのままのるのっ!?』
泉「湖姫ちゃんがこけたら大変だからねぇ?乗り込んだら下ろすよぉ?」
『うんっうんっ!それまでギュッてしてるね!』
泉「うんっ♪落っこちないでね、お姫様?」
湖姫は「うん」と頷くと俺の首をぎゅっと抱きしめる。電車のドアが開いたのを確認して車両に乗り込みドアの横のスペースに湖姫を下ろす。
「手すりをしっかり握ってて?」と言うと「いずみくんにつかまってる」と俺の腰にしがみついてきたのでニヤける顔を片手で覆ってもう片方でしっかり手すりを握った。
『いずみくん、いいにおい…』
瀬名「湖姫ちゃんと同じ匂い…でしょ?」
『うん、パパとママもいっしょ…』
瀬名「湖姫ちゃんはこの匂い好き?」
『うん、だ〜いすき』
この子はいくつになっても変わりない…。確かに16の湖姫は抱きついてはこないけど、俺が抱きついても「お兄ちゃん、なぁに?」と優しく微笑んでくれる。話しかけても嫌がることなく話を聞いてくれる。5歳の湖姫は自分から抱きついて自分から話しかけて、変わらない笑顔で俺に笑いかけてくれる。大天使ミカエルも仰天するほどの天使っぷり…我が妹ながらもう可愛いを超えて怖いの領域だ…。
家の最寄りを数駅進めば、夢ノ咲の最寄りに到着する。腰に抱きついた天使に「降りるよ?」と言えば「うん♪」と頷いた。
駅を出て通学路を天使の手を取り歩く。いつもは通学路も違うし行き着く先も学科の関係で違うところだから、こうやって手を繋いで登校するのは初めてだ。とは言っても、まさか湖姫ちゃんがこんな小さくなってしまうとは昔の俺も予想してなかった。
湖姫ちゃんと歩いていると後ろから、聞き慣れた声が俺の名前を呼ぶ。
羽風「お〜い、せなっち〜!」
瀬名「あれ?かおくん…?今日は早めの登校なんだね」
羽風「まぁね♪今日はあんずちゃんが朝レッスンのあと時間あるっぽいから声かけようかなって♪……あれ?その子は…」
瀬名「…天使」
羽風「え?」
『おはようございます!』
羽風「おはよ〜小さなお姫様♪お名前教えてくれる?」
『せな 湖姫です!』
羽風「瀬名…?ってことはせなっちの……まさか!」
瀬名「違うよぉ…妹だから」
羽風「あれ?せなっちの妹ちゃんって普通科に通ってるんじゃ…?」
瀬名「そうそれ」
『いずみくんがっこう!みえたよ!』
瀬名「そうだね…!よし、行こっか♪」
羽風「ウワァ…」
俺は天使を抱き上げて、校門に向かった。何を思ったのかかおくんも付いてくる。「来なくていい」と言っても「まぁまぁ」とか言ってくるし、なんかウチの天使に馴れ馴れしく話しかけてくるし…あぁ〜!チョ〜うざぁい!
俺は校門を潜って天祥院がいるであろう生徒会室へと足を進める。
『いずみくんのがっこうおっきいね!』
瀬名「湖姫ちゃんも、このくらい広い学校にそのうち通うんだよぉ〜」
『ほんと⁉︎そのときはいずみくんとおなじおようふくきれる⁉︎』
瀬名「う〜ん、似てるのは着れると思うけど全くおなじとはいかないかなぁ…」
『えぇ⁉︎おなじがいいの!』
瀬名「ふふっ♪じゃあ同じのが着れるようにお勉強頑張るんだよぉ♪」
羽風「…せなっちって普段からそうだっけ?」
瀬名「なんだ、かおくんまだいたんだ。ごめんね、俺湖姫ちゃんしか見えないから」
羽風「えぇっ!冷たいな〜湖姫ちゃん〜お兄ちゃんが意地悪するよぉ〜」
『いずみくん、めっ!だよ?かおくんとはなかよくしなさい!』
羽風「うわぁ〜!俺のこと『かおくん』って呼んでくれるの可愛い〜!」
瀬名「湖姫ちゃん、こいつのことは『羽風』でいいんだよぉ?」
『え?かおくんはかおくんだよぉ?』
羽風「うんうん!俺のことはかおくんでいいよ♪」
なんだかムカムカしてきて、俺は歩く足を早める。なのに、かおくんもスピードアップして謎の徒競走が始まる。かおくんは、蓮巳にでも見つかって怒られればいいのに…
『いずみくん、ここは…?』
瀬名「ここの偉い人がいるところ」
『…おうさま?』
瀬名「ううん、皇帝」
『こうてい…?ペンギンさん?』
瀬名「……そう思って黙っててね」
『うん!』
天使は何も知らなくていい、これから入る場所にいる男がどれだけ怖い男かなんて…。知らないでもいいんだよ。だってこの扉の先にいるのは天使の皮を被った悪魔だから…。
俺は扉をコンコンとノックして返事と同時に扉を開ける。そこには、天祥院と打ち合わせしていたであろう蓮巳が待っていた。
天祥院「やぁ、おはよう瀬名くん。君がここにくるなんて珍しいこともあるのものだね……おや?」
蓮見「瀬名、……その子はどうしたんだ」
瀬名「おはよう…えっと、今日はお願いがあってきたんだけど、湖姫ちゃん挨拶して」
『おはようございます!せな湖姫です!』
天祥院「…湖姫ちゃん…?おはようございます。今日はどうしたのかな?」
瀬名「実は、原因は不明なんだけど実の妹がこんな姿になって…家に誰もいないから連れてきたの。戻るまで、学校に連れてきたらだめ…だよね…?」
蓮巳「それを信じろ、というのは難しいお願いだな」
瀬名「難しいお願いなのはわかってる!けどタイミング悪く両親も家にいなくて俺しか面倒が見れないの!頼むよ天祥院…。問題は起こさないから…」
天祥院「……ふむ。嘘はついてなさそうだね。湖姫ちゃんは確か普通科の生徒のはずだ。出席のこともあるし…」
『ねぇ!ペンギンさん、いないの?』
蓮巳「ペンギン…?なんの話だ?」
天祥院「湖姫ちゃんはどうしてペンギンさんがいると思ったの?」
『いずみく…おにいちゃんがここにはこうていがいるって!』
天祥院「おや…じゃあペンギンさんっていうのは僕のことかな?瀬名くん」
瀬名「お願いだから湖姫ちゃん、こっちに戻っておいで」
そこには清々しい顔でこちらをみる天祥院と肩を震わせる蓮巳とかおくんがいて…天使は不思議そうな顔で俺の元に戻ってきた。
天使の通学事情
天祥院「彼女の通学許可するよ」
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