0時の鐘が鳴るまでに
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おれは、凍えるような寒さのなか近所の教会の前でやっているクリスマスマーケットだった。
セナ曰く、なまえは最近まで近所の子供たちがクリスマスマーケットの催しでする劇の演出をしていたそうだ。子供たちにせがまれて「劇を見届けてほしい」と言われたもののその時間はなまえがいつも帰りなさいと師匠から言われている時間で頭を悩ませていた。師匠は私生活に関してはとやかく言わないが、仕事に関しては口を出すのでどうしたものかと頭を悩ませていた。と聞いて思い浮かんだのがこのクリスマスマーケットだった。
人混みの音が通話越しに聞こえたのと同じで、ここにいると確信した。マーケットの周りをキョロキョロと見渡し、目的の人物を探す。
月永「……あっ…」
ふと目を止めたのは教会の開いたままの入り口付近で中を見ている人、おれはその近くへ駆け寄って声をかける。
月永「なまえっ!やっと見つけた…」
『れお…あぁ、見つかっちゃった』
鼻を真っ赤にして口元はマフラーに隠れてて見えなかったけど笑っているのはなんとなくわかった。
おれは真っ赤になった鼻を摘んで顔を近づけた
月永「心配したんだぞっ!何時だと思ってるんだ!」
『いひゃいよ…離してぇ…』
月永「人が多いとこで良かったけど何かあったらどうするんだ!」
『…ごめんなひゃい』
寒さからか、いつもより舌ったらずななまえにマフラーをどけて口付ける。なまえはおれの肩を少し強い力で叩くけどびくともしない。
『ふ…ぁっ…やぁ…!』
月永「…っ…まだっ…」
『ん〜…っ!』
人は少ないけれど教会の目の前だ。通らない人がいないわけではない、すれ違う人が口笛を吹いたりyeah!なんて声をかけても興味ない。今目の前の悪い子が反省するまでその口から出る言葉を飲み干す。
『もぉ…っ!謝るから!離れて!』
月永「だめ…反省してないだろ」
『してるしてる!遅い時間までなにも考えずに出歩いてごめんなさい!反省してます』
月永「もうしない?」
『しない…とは言わないけど、するときはちゃんと連絡します』
月永「迎えに行くって言ったら?」
『ちゃんと安全な場所で待ってます』
月永「今は何時?」
『えっと…』
腕に付けた時計を見るために下を向いたなまえの腕を引っ張って自分の胸にぶつける「ひゃぶっ」と鳴き声がする。
月永「もう日付が変わる。せっかくの記念日が台無しだ…」
『ご…ごめんね』
月永「でも最高だ」
『…?』
月永「こうやって、大事な日に神様の前でおまえはおれのだって示せたから」
そう言って、教会の中にあるキリストの像を見るとなまえはバッとおれから離れた。先ほどより顔全体が赤くなっていてなんだか可愛かった。
『ばっ…ばかじゃないの⁉︎意味わかんない…ロマンチスト!変態…美形!美声!』
月永「…あはは☆おまえって相変わらず悪口下手くそだなっ☆」
『ありえない…』
月永「でも嫌いじゃないだろ?」
『…知らない…』
なまえはいじけたようにおれに背を向けて歩き出した。おれは時計を確認して、歩き出すなまえを止めるように腕を掴んでこちらを向かせる。
月永「なぁ…日付が変わる。ガラスの靴は落とすなよプリンセス」
『…知ってる?レオ、シンデレラは0時の鐘が鳴る前に真実の愛のキスをすると魔法が解けないの』
月永「…そうなのか?」
首を傾げるおれの首になまえは腕を絡ませる。すると、悪戯っ子のように笑って口付けた。
今度はおれが真っ赤になる番だった。キスされた口元を押さえてなまえの方を見る。
0時の鐘が鳴る中でなまえは口元をマフラーに埋めながらおれの方を見る。
『レオ、私を選んでくれてありがとう。でもね、もう私は灰だらけで燻っていた女じゃないよ。もう王子様が見つけてくれて、失くしたガラスの靴を履かせてくれた…ううん、これからも見つけて何度でも履かせてくれる王子様がいるから…これからも前を向いて堂々と歩ける。レオのおかげでね』
月永「…〜っ、カッコよすぎるおれの奥さん」
『さて、帰ろうかな。もう遅い時間だし』
月永「…そうだな、せっかくのご馳走が冷めちゃう」
先を歩き始めた、なまえの手をとっておれも歩き始めた。ご馳走の話をしたら「もうこの時間じゃ食べないよ」と笑うなまえにおれも口角が上がった。
そうだな、ご馳走は明日にしよう。だっておれたちはもう離れることのない絆と愛で繋がってるから
月永「そう言えば、シンデレラの話本当か?」
『え?なにが?』
月永「ほら0時の鐘が鳴る前にキスしたらってやつ」
『あ〜…ある意味本当だよ。』
月永「ある意味…?そういうパターンの話もあるんだな!」
0時の鐘が鳴るまでに
『あのとき君がキスしてくれてから私の魔法はとけていないから』
end.