0時の鐘が鳴るまでに
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うっちゅ〜☆
さてさて突然ですがみなさん、お気づきだろうか。
おれとなまえは、実はクリスマスに付き合い始めたカップルなのだ。
だから、今日おれはなまえに会って一緒に過ごすべくフィレンツェに舞い降りた。と言っても昨日の夜には到着してて昨日も一緒に過ごしたんだけど…えへへっ
瀬名「誰に語りかけてんのぉ?さっさといくよ」
月永「悪い悪い!説明もなしに始めたら(読者が)びっくりすると思って!」
瀬名「…何言ってんの?」
呆れた顔したセナが先に歩いていくのを追いかけた。
とにかく、なかなか会えない一年ももうそろそろ終わりを告げるけど、この日くらいは一緒に過ごさないと…夫婦になったとしても付き合った日も、結婚した日も…正直忘れたくないし大切に大切にしていきたい。
おれとしては、四六時中一緒に居たいんだけどお互いのやりたいことは尊重したいし邪魔はしたくないのはおれ達のモットーみたいなとこもある。だから、こんな日もあいつは仕事に出掛けていった。
あいつのとこの師匠は女の子が夜道を歩くのは危ないと早めに帰らせてくれるのが救いだ。だから、あいつが帰ってくる夕方までは1人寂しいセナとプレゼント選びやクリスマスのご馳走を買いに行った。
その帰り道、セナは少し疲れたように息をはく。
月永「なんだよぉ〜!ため息なんて吐いて!不幸になるぞぉ〜」
瀬名「なんか幸せそうなのの隣にいるとイライラしてしょうがないっていうか」
月永「なんでだよ〜セナだって昨日は画家ちゃんと過ごしたんだろ?」
瀬名「そうだけどさぁ〜…アイツ当日は俺よりホームステイ先のパーティーとバイトだって…普通彼氏優先するでしょ…チョ〜うざぁい」
月永「あははっ!家族に負けたのかセナ〜可哀想に〜!おれがよしよし、してやろうか?」
瀬名「は?」
セナは綺麗な顔に皺を寄せて、まるで蔑むような顔でおれを見た。あ〜またイライラしてるなぁ。
そんなイライラをぶつけられてもなおニコニコしているおれにさらに顔を顰めてセナはどんどん前へ進んでいく。手元にはちゃっかり買っている恋人へのプレゼントが揺れていてなんだかんだ幸せを満喫しているセナにおれはさらに笑みが溢れてくる。
月永「なまえが日本に帰ってくる前に画家ちゃんと一緒にWデートしたいなぁ♪」
瀬名「はぁ?無理でしょ…なまえはこっちでは有名人だよ結構。それに俺らだって芸能人なわけだし外でデートするわけないよねぇ?」
月永「えぇ〜!ダメなのか…?」
瀬名「れおくんは、なまえが帰ってくるまでに危機感と自分の立場を頭に入れときなよねぇ…ほらついたよ、アイツも帰ってるでしょ。早く会いに行ってやりなよぉ〜バカ夫婦」
部屋の前に着いたらセナは手をヒラヒラさせて自分の部屋へと入っていった。白状なやつめ…と思いながらもおれも部屋に入るべく合鍵を鞄の中から取り出した。学生の頃のおれからは考えたこともなかったけど携帯や財布に、鍵…どれもすぐ無くしてしまうものだったけどなまえがくれたものはどれも絶対に無くさなくなった。鞄っていうのもあまり持ち歩かなかったけど、この歳になってちゃんと持ち歩くようになった…っていってもボディバッグだから邪魔にならないし、これもなまえからもらったものだから無くすわけにもいかない。
ガチャと音をたてて扉を開けると、エプロンをつけたなまえが…
月永「ただいま〜…あ…?」
部屋の中は明かりがついておらず、人の気配を感じなかった。寝ているのか?と思って部屋にあがってベッドルームを見ても朝なまえが綺麗にしたままの状態で、少し違和感を感じる。携帯で時間を確認するけどいつもなら帰ってきている時間だ。リビングに戻っても、作業部屋を見ても…彼女の存在が感じられなかった。
背中に冷たい汗が流れる…部屋の隅々まで探すけど、なまえが帰ってきた形跡も彼女自身がいる感じもしない。
おれは慌てて先ほどまで一緒にいたセナの家に駆け込む。こういう時、セナがなまえの隣に住んでいてよかったと思う。
月永「セナ〜!どどど…どうしよう…!なまえがっ!」
瀬名「ちょっとぉ!勝手に部屋に上がるんじゃない!って…何?なまえがどうしたの」
月永「家にいないんだよ!どこ探しても!いつもなら帰っている時間なのにっ…誘拐にあったのかな…どうしよう!どうしよう!」
瀬名「落ち着きなよっ…とにかく座って」
セナはおれをソファーに座らせておれの前にしゃがむ。
瀬名「とりあえずなまえに電話かけてみた?」
月永「…まだ」
瀬名「とりあえず、電話してみな?アイツたまに友達とカフェで話とかしてるし、打ち合わせ伸びたらそこそこの時間になったりするし…確認してから荒れなよぉ」
月永「うん…電話…かける……」
セナに言われた通り電話を取り出して、なまえに電話をかける。数回のコール音の「もしもし…」と声が聞こえる
月永「なまえっ!い、今どこで何をっ!」
『レオ?あれ、もう帰ってきたの?大好きな泉と愛しい時間を過ごしてるものだと思って…』
電話にでたなまえの後ろは街の喧騒に包まれていて、ザワザワとしてる中でなまえはクスクスと笑いながら話した。
月永「いつも帰ってくる時間に合わせて切り上げたんだよっ!なのにお前は居ないし…心配してるんだぞ…」
『ごめんごめん…そうだね、いつもなら帰ってる時間だし連絡してなかった。ごめんね…でもまだ帰りたくないなぁって思ったの』
月永「何か嫌なことでもあったのか?帰りたくないって…」
『違うのっ!レオが嫌とか仕事が嫌になったとかじゃなくて…!師匠には帰っていいって言われたんだけど…ちょっと舞台が終わるのを見届けたくて…』
月永「舞台…?」
『うん…ちゃんと見てあげたいんだ…。言えばよかったよね、ごめん』
月永「…いや、おまえが無事ならいいんだよ」
電話越しのなまえが落ち込んでるのがわかってなぜか心配してたおれがあわあわしてしまう、そんな様子のおれを見てセナが少し安心した様子で離れていった。おれはソファーに座り直して電話に集中する。
月永「とりあえず、もう遅いし迎えにいく。どこへいけばいい?」
『ん〜…、何時ごろ終わるのかわからないし自分で帰るよ』
月永「師匠にも言われてるだろ?遅い時間に1人で歩くのは危ないって」
『じゃあ、見つけてよ。レオが見つけてくれたら大人しく帰ろうかな』
月永「えっ…」
『ヒントは、今日に相応しい場所。じゃあ、見つけてね。王子様』
その言葉を最後に電話はプープーと音をたてて切れた。おれの腕は脱力したように携帯を握ったままポトリと膝の上に落ちる。
温かい物でも入れたのか、セナは湯気のたったマグカップを二つ持っておれの元に戻ってくる。
瀬名「なまえ電話に出たんでしょ?どうしたの?」
月永「なんか見届けたい舞台があるらしくて…帰りたくないらしい…」
瀬名「なにそれ、れおくんフられてんじゃん」
月永「見つけてくれって」
瀬名「は?」
月永「今日に相応しい場所にいるから見つけてくれたら帰るって」
瀬名「なにそれぇ⁉︎早くみつけてきな⁉︎その危機管理能力の無さ説教してやるんだから!」
月永「でもどこにいるのかわからないし無闇に探しても…」
落ち込むおれにセナが思い出したように顔を上げる。
瀬名「そういえば、今日って…」
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