貴方のものになった
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最初からそうだ。
おかしいと思うことはいっぱいあった。
彼が誕生日に仕事を入れるのも
それが全てなくなってオフになるのも
いつもは引きこもりみたいに家から出ないのに「デートしよう」なんていうのも
待ち合わせ場所や時間を考えるのも
急にドレスを買ってくれるのも…
車を呼んでるのも…
ディナーの場所が…
私が2人で行こうとしていたところってことも
何もかもがおかしいと思っていた。彼にしては計画的すぎて、それでもどこか彼らしい意地悪さを秘めている。
食事を終えて、口を拭いて、こちらをニンマリと笑ってみてるのも彼の計画が予定通り進んでいる証拠なのだろう。
『何その変な顔』
凛月「そう?この顔で数億稼ぐんだけど変な顔かな?」
『そういうこと言ってるんじゃないもん…』
凛月「じゃあ何怒ってるの?」
『怒ってないもん…』
凛月「じゃあいじけてる…?」
『悔しいの…』
凛月「…?」
悔しい…本当だったら、私が凛月を驚かせて楽しませてあげるはずだったのに、こんなことなら凛月のオフが決まった時点で自分の計画を貫き通せばよかった。でも今日一日楽しかったのは事実凛月のおかげで、なんで私にやらせてくれなかったのって思いと今日1日幸せだったよありがとうって思いと…自分同士が喧嘩してモヤモヤとしてしまう。
そんな感情を言葉にして出たのが『悔しい』だった。
『…本当は私も色々計画してて…凛月に喜んでほしくて…本当は…ここに2人で来ようと思ってて…なんか…うう…』
凛月「知ってたよ」
『えっ…』
凛月「一週間前から準備してくれてたんでしょ?」
『知ってたの…』
凛月「うん」
『じゃあなんで仕事…』
凛月「あれは嘘だよ。なまえの驚く顔が見たくて」
『…最低…』
凛月「でも今日楽しかったでしょ?」
『…うん…楽しかった』
凛月「なまえが立てた計画は今度一緒に実行しよう?その時はエスコートしてくれる?」
『うん』
丸め込まれるのはいつものことだ。それをどうのこうのと文句言う気はない、だって今日1日楽しかったのは事実だし…私が立てた計画を彼が楽しみにしているのは目の前の彼の顔を見れば、わかるから…
はぁっと深いため息を吐いて…彼を見る。
『凛月が意地悪したのはよくわかった。けど今回は凛月の誕生日だし、私も楽しかったから…水に流します。』
凛月「誕生日バンザ〜イ」
『でも、次は嘘とかはやめてね?絶対だから…仕事って言われてすごいショックだったんだから』
凛月「うん、ごめんね?」
『それと…渡すタイミング失いそうだから、これ…』
凛月「待ってました〜」
私が用意した袋から軽快に彼はリボンをほどき中身を取り出す。
凛月「羽…?」
『フェザーモチーフは飛躍や運気の上昇って意味があるんだって、また一年凛月が大きく飛躍できますようにって』
凛月「……ふふ、そう。いいね、薫さんと少し被っちゃうけど…普段使いしようかな」
『うん…あともう一個あるんだけど…それは家に帰ったら渡すね』
凛月「?…わかった」
私が椅子から立ち上がると凛月もそれに倣うように立ち上がって私に手を差し出した。私はそれに答えて彼と一緒に歩き出す
お会計は流石に私が支払った。ドレスにご飯まで奢られてはただプレゼントを渡した人になってしまうから…凛月はすごく難しい顔をしてこちらを見ていたけどそんなことは関係ない。私にもそれなりのプライドがあるのだから…
凛月「なまえって、ほんと頑固だよねぇ」
『凛月は、乙女心をミリもわかってない!』
凛月「やれやれ〜わがままな天使様だよ〜」
帰りの車で文句をブーブー言いながらも彼は私の手をギュッと握っていてくれた。私はもうそれ以上文句も言わず、握られた手を見つめていた。
すると、すぐに家の前について運転手がドアを開ける凛月が先に降りて私の手を引っ張る
凛月「ほら家に帰るよ」
『うん…』
彼にされるがエントランスを潜ってエレベーターで上を目指す。家のまえについて彼に支えられたまま鍵を開けて家に入る。
すると、先ほどまで静かにエスコートしてくれた彼が急に動き出す。しゃがんだと思えば、私の靴と自分の靴を脱がせてお姫様抱っこされる。咄嗟に彼の首に手を回して落ちないように抱きつく。
『なっ…何⁉︎』
凛月「さ〜なんだと思う?」
悪戯に笑った声が耳元で聞こえて、くすぐったい。彼がついたのは寝室で私はドレスのまま落とされる。ドサりとベッドが沈み込みその上に彼が乗っかれば、さらに深く沈み込む。
凛月「なまえは、男が女に服をプレゼントする意味知ってる?」
『…えっと…自分色に染めるため…?』
凛月「違うよ。その女を食べるため…っ」
『んぁ…やっ』
そう言って凛月は私の首筋に噛み付いた。よく育った犬歯があまり強くない首の皮に突き刺さって変な声が出る。
凛月「正確には脱がせるためだけどね」
『んう…いたい…』
凛月「でもきもちいいでしょ?」
『…きもちくないもん…』
凛月「ふふっ、もう呂律回ってない…ねぇ早くプレゼントちょうだいよ」
『えっ?』
彼はもうなんでも知ってるわけだ。ふざけた友人にもらった助言、それをまに受けることもわかっていたんだよね…
そう考えながら目の前にある彼の首に腕をかけて少し顔を近づける。せっかく彼の誕生日、結婚して初めての誕生日…だったらもう私の何もかもを彼にあげるって言うのが彼にとって1番いいプレゼントになるだろうなんて、自意識過剰かな…
『とっておきのプレゼント、私をあげる。凛月だけに』
凛月「…最高のプレゼントだよ。」
『お誕生日おめでとう凛月。大好きだよ…これからずっと先も』
凛月「俺は愛してるよ、なまえ」
そう言って凛月は私の唇に自身の唇を重ねてゆっくりと2人でベッドに沈み込む。
その後、どうなったかは皆さんのご想像にお任せします。
ただ、うまくいかなくてもお互いがお互いのことを考えて動いたのならばきっと計画通りにいかなくても自分の思い通りにいかなくても幸せを感じられて「この人を好きになってよかった」って自然と思えるものなんだって知ったのは私の夫が朔間凛月だったからだと思います。
プレゼントは
『プレゼントは私…なんて今時古いよね…』
貴方のものになった end.