貴方のものになった
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結局彼に手を引かれるままに映画を見て、ショッピングモールでウィンドウショッピングでもするのかと思えばやけに本格的な洋服店にやってきてしまった。
『り…凛月?ここドレスとかあるお店だよ…?何かの間違えでは…』
凛月「なまえは俺の目が節穴って言いたいの?間違ってないよ」
彼は堂々と店内に入って、私も彼に引っ張られるように入った。何かの賞を受賞したときにしか着ないような服がラックにずらりと並んでいた。それも一色や二色じゃなくて虹を作れるほどにカラーが豊富であった。
彼は目の前でお辞儀する男性店員に「ワインレッドのドレスとそれにあったスーツを」と声をかけて試着室の前の椅子に座った。
私は何が起きているのか理解できずにソワソワとあたりを見渡す。
凛月「天使様はこんな店よく来るでしょ?ソワソワしないの」
『来ないよ!あまりドレスなんて着る機会ないし…』
凛月「じゃあ今日はその時だね」
『えぇっ⁉︎なんで⁉︎』
驚いた顔をしていると奥から先程の店員さんが女性の店員さんも引き連れてやってくる。手元にワインレッドのドレスを何枚かとスーツを何着か持っている。
『私が着るの…?』
凛月「なに?なまえは俺にドレスを着ろっていうの?」
『そうじゃないけど…』
店員さんに誘導されるまま渋々試着室に入って服を脱がされ、着せられる。オーロラのようにワインレッドとブラックが混ざる大人しめのドレス、お姫様が着るような感じではなくて本当にパーティーに着ていくようなドレス…嫌いじゃないかも。
試着室のカーテンをスッと開けて彼の様子を見る。
凛月「うん、いいね」
『いいかな…?』
凛月「好きじゃない?」
『ううん、着やすいし可愛い…』
凛月「じゃあ決まり。これとさっきのスーツ着ていくんでタグ切ってください。」
そういうと男性の店員さんが一礼して彼のカードを預かって去っていった。私は呆然とその様子見てハッとする。
『待って!今着ていくって言った⁉︎このドレスを⁉︎お金払うよ!』
凛月「いいの、これは俺の誕生日プレゼントだから」
『へ?』
凛月「好きな子を俺好みに着飾るのって結構男のロマンだよ」
『何言ってるの…』
凛月「俺もスーツ着てくるから靴選んで待ってて」
そういうと凛月は私が入っていた隣の試着室へと消えていった。一緒にいた店員さんが「いい旦那様ですね」と微笑むから気恥ずかしくて下を向く。
自分の誕生日プレゼントって何…それにドレスがいるなら家に帰れば一着くらいあったのに…
凛月「靴決めた?」
『ううん…決められなくて…どれがいい?』
結局彼が出てくるまでに靴を決めることができなくて靴のディスプレイを眺めていた。彼が私の隣に並んで女物の靴をじっと見つめる。
凛月「なまえはヒール高い靴あまり履かないよね」
『コケて足捻挫するの嫌だし…仕事以外では履かないようにしてるかな』
凛月「じゃあこれにしよう」
そう言って彼が取ったのは9㎝はありそうなハイヒールだった。確かにその色はドレスにあっていて見た目も可愛い。けれど、それを履いてレストランの廊下を歩き切ることができるかすら私は怪しくてなんだか気が引けてしまう。
『ううん…それは怪我しちゃうからやめとく…』
凛月「ねぇ、なんで女の人はハイヒール履くか知ってる?」
『脚長効果があって綺麗に見えるから?』
凛月「違うよ。転けないように支えてくれる男がいるっていう女としての権力の証」
『…本当に?』
凛月「さぁね、この間ナッちゃんが撮影の時に言ってただけだから嘘か本当かは知らない〜」
『そっか…』
凛月「だとすれば、なまえはこの靴を履くのにふさわしいよね」
『……どうして?』
凛月「言わなきゃわからない?」
『……』
わかってる。でもそんな自意識過剰なほど彼に甘えていいとは思っていない。でも、彼がもしその言葉を私に言ってくれるなら私はそれを受け入れよう。
女の権力を世間に見せびらかして、堂々と彼の横を歩こう。
凛月「俺がなまえが転けないように隣で支えてあげる」
『……じゃあ…これにする』
凛月「うん、決まりだね」
その言葉に従うように彼が選んだヒールを手に取り、椅子へと戻った。すると彼は上機嫌になって私の足元に跪く。
まるでシンデレラのワンシーンのように履き慣れたミュールを脱がせて真新しいハイヒールを私の足にはめ込んだ。それはまるでガラスの靴のようにピッタリで…それと同時にキラキラと足元で輝いていた。
彼が立ち上がって手を差し出すのでそれに従って手を取り、立ち上がる。いつもより数センチ高い視界がなんだか新鮮でドキドキした。
凛月「うん、綺麗だね」
『ありがと…』
凛月「じゃあ美味しいもの食べに行こっか」
『…うん』
そのまま彼の腕に手をかけて歩き始めた。最初はこんなにオープンに外を歩けないと思っていたのに、店の目の前には車が止まっていて、運転手さんが凛月を見つけたら礼をする。あぁ、きっと彼が呼んだ車なのだと考えながらエスコートされるがままに車に乗り込む。
その流れがあまりにスムーズでなんだか彼らしくなくて、心がムズムズしていた。それに気づいたのか、彼が私をジッと見るから私は目を閉じてソッと彼の腕に寄り添った。
なんだか…不思議な空間だった…
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