貴方のものになった
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いつも朔間家では仕事が早い方が朝ごはんを作って、洗濯物を回して家を出る。遅い方が洗濯物を干して洗い物をして家を出る。そういう流れができている…。なのに…なのに…!
『おはよぉ…っ!』
朝起きたら隣に凛月がいなくって飛び起きてリビングに出ると朝ごはんが並んでて凛月が洗濯物を干していた。ただでさえ朝が苦手な凛月が二度寝もせずにこんなこと…
『どうして…このくらい起こしてくれれば私やったのに…』
凛月「おはよぉ〜、開口一番それ?もっと言うことないの?」
『…お誕生日おめでとう凛月…』
凛月「うんうん♪苦しゅうないぞ〜」
『朝ごはんありがとう』
凛月「もっと褒めてもいいよ?」
『洗濯物を干してくれてありがとう』
凛月「うん、洗い物もするからさっさとお食べ〜」
『洗い物は私する!』
流石に全てを彼にやらせるのは申し訳なくて私が焦ったように止めると彼はそれを無視して洗面所に歩いていった。絶対に聞いてないし聞く気もないようだと思って、大人しく椅子に座って凛月の準備してくれ朝ごはんに手をつける。そういえば、今日はどこに行くのかとか何も聞いていないけれどどうすればいいのだろう。
口を動かしながら思考を働かせていると洗面所から帰ってきた凛月が前の椅子に座る。
凛月「今日なんだけど、駅の前に新しいカフェできたの知ってる?」
『うん、知ってるけど…そこに行くの?』
凛月「うん♪でも一緒にじゃなくて11時にそこで待ち合わせ」
『待ち合わせ?一緒に行けばいいのに…』
凛月「わかってないなぁ…なまえは、待ち合わせっていうのが新鮮でいいんじゃない」
『ふむふむ…』
凛月「俺は先に出るから目一杯オシャレしてきてね?」
『えぇ…いつも通りでいいんじゃ…』
凛月「……なまえに任せるよ。片付けはしておくから準備しておいで」
凛月はそういうと私が食べ終わった食器を持って、今度はキッチンへと消えていった。ふと、時計を見るとまだ朝の8時で全然時間があった。まだ時間があるから、私も凛月の隣に立ってスポンジを取った。
『私もする…』
凛月「俺の洗うついでだからいいんだよ?」
『やだ、私もする…』
凛月「じゃあ一緒に洗い物しよ」
夫婦並んで洗い物をして、凛月はテレビを見始めて私は自分の部屋へと向かう。11時に駅のカフェならば徒歩で向かえば15分くらいかかる。メイクをすぐしてよれてしまうのは嫌だし、先に服を……
『何着よう……』
もともと今日着るつもりだったものはディナーのことを考えて、少し街中を歩くには華やかすぎるので却下だ。それにカフェに行った後、街中をうろつくのであれば多少なりとも顔を隠せる格好をしないといけない。
凛月はどんな格好で行くのだろうか。それに合わせてあげれば1番いいのだけど、テレビを見ていた彼はネイビーのパジャマを着ていたので彼も着替えはもう少し後なのだと思う。
なんだか、恋人ってこういうことなんだって思う。待ち合わせに彼が何を着てくるのか考えて、彼がどこへ連れていってくれるのかを考える。それが楽しくてウキウキするし、じゃあ自分はどうしようって考えるのが楽しい。恋する乙女って感じ…凛月が言っていた新鮮ってこういうところも含まれているのかもしれない。忙しさに甘えて忘れかけてた乙女心が蘇ってくるように思える。
付き合っていた時は、むしろ決まった時間に決まった場所でしか会えなくて外で堂々と……まぁ今でも堂々とはできないのだけど、外を歩き回ったり一緒に出かけたりはできなかった気がする。
数少ないお気に入りの服を取り出して、凛月と一緒にいても見劣りしない服を選ぶ。少しでも彼に可愛いって思ってもらえるような…そんなことを考えながら…
ーー数時間後
着替えてメイクを終えてリビングを出ると既に凛月はいなくて、先に出たんだと気づいた。私もそれに続くように玄関を出て、彼が通ったであろう道を追う。
何分前に出たのか、もしかしたら何時間か前かもしれない。それでも、彼が通った後だと思うとなんだか新鮮でスキップするようなリズムでそこを歩いた。
店に到着してカランとドアベルの音を鳴らす。店内をキョロキョロと見ると見慣れた顔がふらりふらりとこちらに手を振っていた。私もそれに気づいて振り返す。
『凛月、待った?』
凛月「い〜や、俺も今来たところ♪」
なんてお決まりの会話をして2人してクスクスと笑う。紅茶を頼んで2人でのんびりティータイムをしてお昼を過ぎた頃にカフェを後にした。
『この後どこに行くの?』
凛月「ん〜映画を見に行って…その後服を見て、アクセサリー見て…その後晩御飯かなぁ〜」
なんともアバウトな計画に彼らしさを感じる。まぁ映画を見るのは嫌いじゃないし…問題はない。ディナーの時にこのカバンの中にあるプレゼントを渡せばそれで完璧だ。
…なんて考えていたこの時の私は彼の方が私なんかよりも何枚も何枚も上手だったことを忘れてしまっていたに違いない。
デート
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