番外編
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凛月「そういえば『ジャッジメント』って結局女王様が勝ったわけでしょ?何か王さまにしてもらったりしないの?」
『急になんなの〜?』
昼休み、作曲の続きをするために音楽室にくればお昼寝していたであろう凛月が待っていて、急に話出した。私はピアノを引いていた手を止め凛月がいる方へ顔を向ければなぜかニヤニヤと笑っていた。
凛月「女王様、いつだったか勝った方が負けた方にいうこと聞いてもらう約束が〜って言ってたからその辺どうなったのかな〜って」
『あぁ…誰にも話してないと思ったら、凛月には話てたか…。そういえば何も話してないかも』
『ジャッジメント』を行った際に負けた方は勝った人のいうことを聞くなんてルールを設けたものの、その勝敗は曖昧だし特別聞いて欲しいお願いもないので有耶無耶に終わっていた。
『別に聞いて欲しいお願いもないし…そのままでいいんじゃないかなぁと』
凛月「ええ〜、面白くないなぁ」
『面白い面白くないでやってないけど…ん〜、凛月だったら何をお願いする?』
凛月「う〜ん、王さまにお願いかぁ…」
ほら、特に思い当たらない。これが泉や司くんならば練習に参加して欲しいとかライブにちゃんと出て欲しいとか…いうかもしれないけど、そこはレオの自由だし…、お願いすることでもない。
お願い事かぁと頭を悩ませていると凛月「あ!」と声を上げる。私は驚いて視線を彼に戻す。
凛月「デート、とか?好きなとこに連れてってもらえば?」
『デートって…付き合ってもないし…』
凛月「じゃあお出かけしなよ♪俺はま〜くんにお願いするなら一生俺のそばにいてとか、一緒に出かけるとかそのくらいのことしか思いつかないなぁ…」
『真緒くんと凛月の関係はカップルか何かなのかな…?』
呆れながらも、『お願い事』について思考を巡らす。もし、ここでお願い事しなければいつか時効を迎えてしまうこともありえる。だったら行使して損はない…。
凛月「何かしてほしいこととか無いの?」
『ないかなぁ…あっ!』
凛月「いいの、見つかった?」
『うん!いい『お願い事』見つけた♪』
凛月「ふ〜ん、お願い叶うといいね♪」
笑い合っているとチャイムが鳴って急いで帰る準備をする。凛月はまだ寝るつもりなのかまた丸まっている。
『凛月、授業受けなよね。真緒くんも心配するから一緒にいてほしいなら自分から行動しなよ』
凛月「い〜の、ま〜くんは離れてても俺を見つけてくれるから…♪」
『あらそう…頑張れよ、その盲目的な恋…』
私は手を振って音楽室を後にする。廊下を歩いていると見慣れたオレンジ髪が肩に乗せた尻尾をぴょんぴょんと跳ねながら歩いていた。…噂をすればと言ったところだろう。私が彼の名前を呼ぶと彼はクルッと振り向いて太陽のような笑顔で笑う。
月永「なまえだ!どうしたんだ〜?」
『音楽室からの帰り、レオはこれから教室に帰るの?』
月永「あぁ!今日はレイとかワタルとか珍しいメンバーが授業受けてるらしいから霊感(インスピレーション)が湧きそうだと思って♪」
『そっか』
お前がいるのも珍しいけどな、と思いつつレオが楽しそうに話すのに耳を貸す。黙って聞いていればレオは不思議そうに首を傾げた。
月永「なんだか面白いこと考えてる時の顔だなぁ〜?なになに!」
『レオはさ〜『ジャッジメント』の結果覚えてる?』
月永「おう!あれは大敗だったなぁ…なまえの作った曲の中でも特に好き!」
『それはどうも…それで負けた人は?』
月永「勝った人のいうことを聞く?」
『勝ったのは?』
月永「なまえ!」
『負けたのは?』
月永「……やっぱ引き分けにしない?」
『男に二言は?』
月永「ない…」
少しショボンとするレオに何を想像しているのか手に取るようにわかってしまって笑う。
『別にライブに出ろとかレッスンに出ろとか言わないよ』
月永「…?え、そうなのか?」
『もともと個人主義だし…、レオが来たい時にくればいいよ。まぁ出てほしいっていうのは願望としてはあるけどね』
月永「じゃあ…何をお願いするの?」
『ウチに遊びにおいで』
月永「…え」
『一緒に庭で絵本読んで、ご飯食べて、作曲しよう』
月永「そんなことでいいのか?」
『そんなことでいいよ』
そう言ってレオに笑えば、レオも嬉しそうに「わかった!」と私の手を握る。私の『願い事』は彼にとってはそんなことかもしれないけど、私からしたらすごいこと。
不登校になっていたレオはその期間ウチにくることもなかったし、小さい頃みたいに部屋に篭って一緒に作曲するなんてこともなかった。戻って来てからもそれができないのはきっと彼にとって『きっかけ』がなかったからだと思う。私もそれをしたいと思っているのだから、きっかけはきっとどちらが作ってもいいはずだ。
月永「久しぶりだな〜!なまえの家!なまえママのご飯も楽しみだ!」
『ご飯一緒に作ろうよ』
月永「…!え、一緒に…⁉︎いいけど…」
『じゃあ決まりね?絵本は昔よく読んでた…』
月永『「白雪姫」』
『あはは☆そうそう』
月永「じゃあ決まりだな!あはは☆楽しみだ!」
レオは楽しそうに廊下の先を歩く。私もそのあとは軽快に追う、彼といるとやっぱり霊感(インスピレーション)が湧いてくる。久しぶりに読むことになる『白雪姫』の絵本は早く実家から取り出しておかないとな。
『レオ…!約束だからね!』
月永「あぁ!女王様の仰せのまま♪」
レオは私に振り向いて恭しく礼をする。私はレオに小指だけを出した手を伸ばす。頭を上げたレオがそれを見てまた笑う。そして、私の小指に自分の小指を絡めて上下に振る。「ゆびきりげんまん〜♪」と歌うとまるで子どもの頃のようでおかしくなってしまう。レオもそうなのか幸せそうにニマニマと笑っている。
月永「〜♪き〜った♪」
『ご飯、何食べたいか考えといてね』
月永「なまえが作った料理ならなんでも美味しい♪じゃあな!授業頑張って!」
レオは手を振って、自分の教室に入っていった。私も自分の教室に入ろうとドアを開ければ目の前にはなぜか泉がまるで蓋をするように立っていた。
『泉?邪魔だけど』
瀬名「あんたらいつから同棲し始めたの」
『同棲?なんの話?』
瀬名「ご飯どうするとか、お前が作ったものならなんでも美味しいとかどう考えても夫婦の会話だったけどぉ…?」
『えっ⁉︎あぁ!あれは違うの!レオが今度ウチに来るから!何食べたいかアンケートを…!』
瀬名「はぁ〜……ん」
泉はそういうと、ゆっくりと私の目の前から退くと壁に背を預けて頭を抱えた。少し心配になって頭に?を抱えると後ろから薫くんがやってきて私の肩を抱く。
羽風「せなっちは驚いただけだよ〜♪二人の距離が急接近しすぎて俺も驚いちゃった〜♪」
『薫くん…』
羽風「みんなのアイドルであるなまえちゃんが誰かのものになるのは俺もいやだよ〜!」
『あの薫くん近いよ』
瀬名「そんなんじゃないからぁ!かおくんはなまえから離れて!」
泉が私と薫くんを引き剥がす。でも、図星をつかれたのか真っ赤な顔で自分の席へと戻っていった。薫くんと私は苦笑いして、自分の席へと戻る。
私は席に着くと、いつものように教科書とノートとは別に作詞用のメモ帳を取り出してメモをし始める。でも、頭の中ではレオが家に来る日のことが頭を巡る。
『薫くん、好きな食べ物ある?』
羽風「あるけど、他の男が食べるなら言わないよん♪」
『あら残念、試食してもらおうと思ったのだけど』
羽風「えっ、それってなまえちゃんの手作り?」
『…左様』
羽風「どうしよっかな〜♪」
ルンルンで考える薫くんから目を逸らし、黒板に目を向ける。どうやって過ごそう…小さい頃みたいに過ごしたいけど、小さい頃と全く同じとは行かない…どうしようかと頭を巡らせながら思いつくままにメモを残していく。
まだ時間はあるんだし、ゆっくり考えよう。久しぶりに幼馴染と過ごす時間を考えるのもたまには悪くないかもな…
そういえば…?
そのあとレオの機嫌がいいことが学院中で噂になってたなんて私は知らない
end.