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卓の子SS

【リイエミタス】

「やっと、やっと俺のモノになってくれたね」
#この台詞から妄想するなら
https://shindanmaker.com/681121

♦♢♦♢

目が覚めると、自分はとあるベッドに縛り付けられていた。身動きが取れず、唯一自由のきく頭を動かし辺りを見渡す。その部屋は見覚えのある寝室だった。
部屋を見ていると、扉が開く。

「目が覚めたんですね」
「エミル……その姿は?」

入ってきたのはこの寝室の主であるエミルだった。
だがエミルの様子はいつもと違い、何故か黒いワンピースに黒いマフラーを身に着け、手には包丁が握られている。

「全然起きねぇから心配したんだぞ」
「……タスク?」

口調は明らかにタスクだ。だが、先程の第一声はエミルだった。今の一瞬で頭部に衝撃が与えられた様子もなく、驚いた様子もない。

「驚くのも無理はないですよね」
「俺らは変わったんだ」
「リインさんのために」
「お前を手に入れるために」

エミルとタスクが交互に語りかけてくる。その顔はずっと笑っていて瞳の色を窺うことができない。

「あなたが僕らを求めてくれた」
「だから俺らはひとつになった」
「そして俺はあなたを求めた」

徐々に言葉が混ざっていくエミルとタスクはゆっくりとベッドに登り、俺の上にのしかかる。
ぱちりと開かれたその瞳はエミルの優しい若苗色でもあり、タスクの強い紅緋でもあった。
右がエミルで左がタスク。そう表しているかのようなオッドアイの瞳が俺を貫く。

「エミル……タスク……」
「へへ、大好きなんです、大好きなんだよ」

手に持っていた包丁を俺の心臓の上に構える、その表情には愛しか込められていなかった。
発する言葉と全く同じ言葉を含んだ可愛らしい笑み。
お前達がそう願うのなら、受け入れてもいいのかもしれない。
フッ、と微笑みを返すと、相手の表情はパァっと明るいものになる。が、次の瞬間、包丁が自分の心臓に突き刺さる。
不思議と痛みは感じなかった。

「俺はお前達を愛している」

愛を伝えてやれば、目の前の可愛らしい笑みに涙が増える。

「やっと、やっと俺のモノになってくれたね」

涙をポロポロと零しながら俺に口付けをする。

「ありがとう」

薄れてく意識の中で聞こえたその言葉はエミルだったのか、タスクだったのか。
いや、2人の言葉だったのだろう。そう感じた。




という所で目が覚めた。

────

…………夢を見たんですか?
えぇっ!?僕とタスクがリインさんを殺す夢!?
そ、そんなことしませんよ!?あ、そっか、夢か……
で、でも、僕らが、だ、だ、だ、大好きなリインさんを殺すなんて絶っっっっっっったいにしません!!
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