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貝の大空と大樹の精霊のお話



花火も終わり、もうそろそろ帰ろうかと話していた時だった。


「京子、ハル、悪いな。下にビアンキがいる、イーピンとアホ牛を連れて先に帰っててくれ。少しコイツらに用がある」
「え、リボーン?」

リボーンが突然話を変えるのはいつもの事だけど、これはなんか違う気がする……

「用事?うん、わかった!じゃあみんな、またね!」
「リボーンちゃんが言うならしょうがないです……ハル達は先に帰ります!おやすみなさいです!」
「あ、またね!気をつけてね!」

疲れて寝ているランボとイーピンを連れて2人が帰るのと入れ違いで現れたのは、ゲームにありそうな服を着た金髪の高校生くらいの男の子。
リボーンはこの人?からみんなを遠ざけたのかな。

「お前、何者だ」
リボーンが銃を構えたのを合図にしたようなタイミングで獄寺くんと山本がダイナマイトとバットを構える。
俺は……うん、察して。
「膨大なヤツ、1人足りないな……まあいいか、用があるのは…………お前だ」
そう言う男の子の赤い瞳が俺を捕らえる。
「えぇ!?また俺ぇ!?」
「10代目に用があるなら、まずは右腕である俺に話を通してからにしてもらおうか」
「獄寺くん!?」
「そーだな、俺にも話通して欲しいのな」
「山本まで!?」

男の子は2人を見ると首を横に振る。
「お前らでもいいが……それよりもそいつの方が最善だ。そこのチビは呪われてるようなマナしてやがるし……チッ嫌なもん思い出した」
リボーンを見て、そう呟くと眉間に皺を寄せる。
「俺の質問に答えろ。お前は何者だ」
リボーンにしてはドスの効いた声で男の子に訊ねる。
こんなリボーン見たことない…かも…
「……気配が人間じゃねぇ」
「人間…じゃない…?…でも、言われてみれば……」
「俺が何者かなんて後で説明する!おい、そこの茶髪!」
「ひぃ!は、はい!」

「俺と契約しろ!」

「はいぃ!………え?」
「は?」
「ん?」
「………」

この空間の張り詰めた空気が抜けた気がした。

「よし、了承は取れた。んじゃ契約するぞ、まずは──」
「ちょちょちょ!!ちょっと待ってください!!契約って!?」
「おいコラてめぇ!!10代目と何しようとしてやがんだ!!果たすぞ!!」
「うるっせぇ!今は説明するほどマナが……ぅ……」
男の子が片手で頭を抑えて膝を付く。すごく苦しそう……
「だ、大丈夫ですか!?」
咄嗟に横に駆けつけて支える。
「……大丈夫じゃねぇ…!さっさと契約して……マナ寄越せ……!」
「……まな?」

リボーンが男の子の前に立ち、問いかける。
「お前がコイツと契約しないとどうなる」
「……身体を保てなって……最終的には消滅だな」
「そうか……なら、契約した人に影響はあるのか?」
「……体調不良になりにくくなる、少し身体能力が上がる、術が使えるようになる……はこのマナの量じゃ無理か、まぁそんなもんだな。デメリットは……額にコア、赤い宝石が付くだけだな」

え、なんでリボーンは淡々と質問してるの!?しかも術ってなに!?宝石って!?
「リボーン……ま、まさか……!」
「そのまさかだ、家庭教師としてツナとの契約を許可するぞ☆」
「えええええええ!?!?」
「リボーンさん!本気っすか!?」
「ああ、本気だ」
「小僧が判断したんなら大丈夫じゃね?んで、これまたなんかの遊びか?」
「山本!これ遊びじゃないよ!絶対!」

「だー!お前らうるせぇ!早くしろ!もう身体保てねぇ!」
男の子はフラフラしながらも立ち上がり、叫ぶ。
「あ、は、はい!契約…します!」
「10代目!?」
「こんなにフラフラしてる人をほっとけないんだ……」
「10代目がそう仰るなら……」
ほっとけないのもそうなんだけど、消滅だけは絶対にさせちゃいけないって思ったんだ。
「…………」

「んじゃ、名前教えろ」
「あ、はい。沢田綱吉です」
「さわだつなよし……なるほど、やっぱりミズホっぽい感じか」
「みずほ?」
「気にすんな、お前はそのまま立ってろ」
「は、はい!」

男の子は俺の前に立って1歩下がり、俺に向けて右手を構える。

「我精霊ラタトスクは、汝沢田綱吉にラタトスクの騎士となることを命ずる」
「……らたとすく?」

俺と男の子を囲むような魔法陣みたいなものが現れて強い光を放つ。光の壁に遮られ、リボーン達の姿が見えなくなる。
そのまま俺は光に包まれて、意識を手放した。

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