貝の大空と大樹の精霊のお話
ふと、ある世界の意志に呼ばれた。
魔物の王と呼ばれる、大樹カーラーンの精霊ラタトスクはそう思った。
「どうした、ラタトスク」
人柱としてこの場、ギンヌンガ・ガップの最奥であるラタトスクの間にいるハーフエルフのリヒターがいつもと違う精霊の様子に気付き、声をかける。
「呼ばれた……そんな気がしただけだ」
そう言葉を返すと、間の最奥、部下であるセンチュリオン達のコアの前に座り込む。
「そうだな……俺は暫く眠る」
「…その姿のままか」
現在、ラタトスクがとっているヒトの姿、それはラタトスク自身が殺した、リヒターの親友のものだ。
「俺が奪い取った姿、拾った名、どちらもそう簡単に捨てる気は無い」
「…そうか」
ラタトスクの言葉を聞いたリヒターの口角が少し上がる。
リヒターはわかっていた。
親友であるアステル・レイカーの姿と港町の少年のエミル・キャスタニエという名、勝手に貰ったものだとしても、ちゃんと受け継ぎ、大切にしているということを。
「うわ、何笑ってんだ」
「……笑って何が悪い」
「気持ちが悪い」
「…………」
茶番も程々に、ラタトスクは眠りにつく。
「嫌な予感がするからな……少しの間、任せるぞ」
「わかった」
─────
“可能性は無限に広がってる──”
眠りにつくと、意識に声が届く。
“交わることのない存在同士が交わる──キミ達って本当に不思議だね”
その声色は幼い様で……とても、
“面白い未来を期待してるよ、ボクの可愛い───たち”
とても、聞き慣れたモノのように感じた。
魔物の王と呼ばれる、大樹カーラーンの精霊ラタトスクはそう思った。
「どうした、ラタトスク」
人柱としてこの場、ギンヌンガ・ガップの最奥であるラタトスクの間にいるハーフエルフのリヒターがいつもと違う精霊の様子に気付き、声をかける。
「呼ばれた……そんな気がしただけだ」
そう言葉を返すと、間の最奥、部下であるセンチュリオン達のコアの前に座り込む。
「そうだな……俺は暫く眠る」
「…その姿のままか」
現在、ラタトスクがとっているヒトの姿、それはラタトスク自身が殺した、リヒターの親友のものだ。
「俺が奪い取った姿、拾った名、どちらもそう簡単に捨てる気は無い」
「…そうか」
ラタトスクの言葉を聞いたリヒターの口角が少し上がる。
リヒターはわかっていた。
親友であるアステル・レイカーの姿と港町の少年のエミル・キャスタニエという名、勝手に貰ったものだとしても、ちゃんと受け継ぎ、大切にしているということを。
「うわ、何笑ってんだ」
「……笑って何が悪い」
「気持ちが悪い」
「…………」
茶番も程々に、ラタトスクは眠りにつく。
「嫌な予感がするからな……少しの間、任せるぞ」
「わかった」
─────
“可能性は無限に広がってる──”
眠りにつくと、意識に声が届く。
“交わることのない存在同士が交わる──キミ達って本当に不思議だね”
その声色は幼い様で……とても、
“面白い未来を期待してるよ、ボクの可愛い───たち”
とても、聞き慣れたモノのように感じた。
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