俺は、お父さんのなにになれたのかな。
　
　なんせ時間だけはたっぷりあるし、視力もほとんどなければ温度も感じないから外部刺激がない。寝るか考える以外のことができない。
　
　罪になんてなりたくなかった。
　誇りになりたかった。
　
　失敗になりたくなかった。
　成功になりたかった。
　
　不適合になりたくなかった。
　期待以上になりたかった。
　
　それがだめならせめて、俺の価値がお父さんが認めた価値のある子より上であることを、価値のある子を殺すことで証明したかった。
　
　それも、叶わなかった。
　ほんとうは虚しさや無力感で落ち込んでくれ、という罰なんだろうけど、なぜか、そこまで悲しくない。
　お父さんは勝手なやつで、自分のやりたいタイミングでやりたいようにアプローチして”何かした”ような気になってそうだけど、俺はお父さん関連の幸せを感じるメーターが壊れてるみたいでほんの少しの妥協が、ほんの少しの視線がこんなにもうれしいんだ。
　今日もまたお父さんが来るのを待っている。雨の日も風の日も関係ない。本当に毎日来る。その度うれしくて色々話しちゃう。ずっと、この時がずっと続けばいいのにな。

20240824