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__雨の日の夜______________________



クラブに先生と行った

つい嬉しくて飲み過ぎた

挙句、僕の不注意で先生に怪我まで追わせてしまった

この数時間この言葉ばかりを反芻していた



偶然にもシェアハウスの住人が通りかかり

僕をタクシーに乗せ,ケガをした先生に付き添ってくれた



マンションにたどり着きはしたが心配で生きた心地がしない

僕のせいだ…僕のせいだ…

繰り返しそう考える



また悪い病気が出始めた…先生に怒られる

そう考えると悪循環…

酔いと、この考えを覚ますためにシャワーを浴びて

服を着替える



そうだ…先生の所に行ってみよう

シャンプーの泡を慌てて流しシャワールームから飛び出した



まだ酒も残っているし車ではいけない

タクシーを呼んで先生のシェアハウスまで行くことに決めた



車窓を流れる灯りをぼんやり見ながら

色んな事を考えた



連絡すると絶対に来るなと言われる

だから連絡は出来ない…でも迷惑かけたら…

ダメだ…もう、なるようになれ…



雨粒がパタパタと

窓を打ち付け始めた

先生の住むシェアハウスは繁華街を抜けて少し行くと閑静な住宅地がある

緩やかな坂を登ると角地にひときわ大きな一軒家があった

白い外観に漆喰で出来た門には洒落た文字で

ルーチェと書かれていた

…ここだ



タクシーを下りるころには本降りになっていた

ここまで来て迷う自分の甘さが嫌になる

行くって決めただろう…そう思いながらも建物とは逆に来た道を戻っている

今行っても他の住人にも迷惑になる…

そう言い聞かせながらも口元を抑えた先生の姿が思い出される

そうだ、僕のせいなんだ



踵を返しまた、緩やかな坂を登る

門の前で立ち尽くしていると

冷たい雨が頬を伝い落ちる



覚悟を決めてインターホンを押した



「はい」

帰ってきた声は聞き覚えのある声だ



「あの…せん…いえ、雪村さんはいらっしゃいますか?」

思いもよらず声が震えた

10月終わりの夜の雨が体温を奪うのは早かった
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