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蛍と蛍

入国ゲートをくぐると行き交う人達から

日本語が聞こえる

帰って来たんだと実感する



結局、蛍は迎えには来るが写真は送ってはくれず

そっちが送らないなら俺も見せないと言い

どちらも顔が分からない

お互い判別がつかない



どうするのかと聞くと

着いたら電話しての一点張りだった



さっそく、蛍に電話してみる

「着いた…うん、服装?黒のコートに…

そう黒。全部黒だ

荷物はショルダーバッグだけ」



「なんか話しにくいのか?風邪でも引いたか?」

大丈夫かと心配すると喉を痛めたと返ってきた



辺りを見回すが該当するような姿はない

俺の想像でふわふわした、可愛い系女子なんだが

流石に過剰に期待しすぎたか



それにしても電話を耳にしてる人物は

複数いるが…

1人こちらを見ている男がいる

「え?なに?白いコートに薄いピンクのパーカー…」

偶然かよ、あの男同じ色着てんじゃん

「今さ、偶然同じ配色の男がいるわ」

そう言って笑った



「今日、なんか無口だな…緊張してんのか?」

俺はニヤっとしながら向きをかえた

電話からは「ぁあ、くそっ…カッコいいな雪。

すごい緊張してる!」と聞こえた

同時に背中からすごい勢いで抱きしめられ

「雪…会いたかったよ」握ったままの電話と同じ声が

背後から聞こえた



何が起きたか理解できない

この声、聞き覚えがある

なんで抱きつかれた



後ろを振り向けない…



涙声で会いたかった…とまた聞こえる

蛍の声で



俺はそのまま「蛍か…」

と聞いた



「うん、そのまま聞いて。ほたるだよ」

固まったように身体は動かないが

背中で感じる激しい鼓動と

消え入りそうな涙声



「ごめんね雪。ずっと騙してて…でもね。好きなのは本当。だから謝りにきたの」



後ろの男は俺を抱きしめたまま

そういった

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