はんらん

「ちょっと、ららちゃん」
祖母に呼ばれると、少しどきりとする。でも、たいていはなにかを知りたいだけなのだろう。でも、わたしにはなにも話すことはできない。
 ずっと、気になっていた、手紙の人。手紙というより、電通みたいな。電話通信。男の人は、なぜかわたしを人気があるでしょうと話しかけてくるけれど、わたしには男の人に人気があっても、付き合いたいと思う人がいてなくて、実際は、もしくは、彼らがわたしのことを恋人と思ってくれてたら良いのに。なんて、ばかげた夢みたいな。私が一番綺麗だのなんだのと妄想を語ってしまう女が恐ろしいから、わたしはただ、本当に、唯一無二の愛しい人だのなんだの夢見るけれど、それを手に入れたことなど、一度もないのである。
「ララです。お元気ですか」
「いや。からだは動かんが、元気か…」
「心のお加減どうですか」
「どういういみや?」
「わたしはさみしくて死にそうです。お元気ですか」
「元気やが、それ言われるとヤりたくなるな。やりたい」
「私でいいなら、口にも含むし会いたいです。やさしいから」
「俺はなにもできんぞ」
「会いたいです」
「それでもか…」
ずっと醜い姿を想像している。それでも、愛しいことにはかわりなくて、なぜかいとしいと思えるこのクソみたいな女の感情が何にせよ美味しい。
 俺の場合、俺が出会ったきっかけは、小説。このクソ女の小説がエロくてヤりたくて、悲しくて、羨ましくて、かっこいい男を想像している。ヤりたくなるような女にお似合いのクソ男。かっこいいクズ男。
「ララ。わたしはララ。何してますか」
「俺は今、家にいてる。からだは動かん…が、元気だ」
「私は仕事帰りに、神隠しにあって怖かったです」
「何の話や! ホラーは苦手やぞ!」
「じゃあ、言いません」
「なにがあったんや」
「まっすぐ進んでただけなのに、家を通り越してました」
「いつの話や! それ!」
「仕事しているのが2025年8月からなので、今のは」
「何やねん。伝送してくんな。こわいな!」
「しかも、視界から怖ったです。怖った。だって、朝に行ったら、神社なかった!」
「もうやめてくれ…」
「じゃあ、やりましょ♡」
このクソみたいな生活の中で、このクソ女だけがまともなのか、俺がまともなのか、であれば、このクソ女は狂ったサイコパス、人を殺すのを厭わない、法さえなければ殺した女と男の数はゆうに八百万は超えただろう。
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