はんらん
川が氾濫した。民が反乱した。誰も気にも留めないような女になりたくなった。しかしそれは無理なことだった。わたしは考えをまとめていた。けれど、男たちの文殊の知恵は役立った。中之島ができた。大きな川を埋め立てて、土地を作った。新たな街ができた。
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うすぎぬ
壊れそうな卵を抱えて泣いていた女に声をかけると、それを少しばかり後悔した。
「新しい家にあったんです。きっと生まれなかったんだと思います。親鳥が…」
「それはもう死んでいるよ」
女が悲哀の色を見せて、頷いた。俺にとっては、この女を前々から気にかけていたから、大きな勇気を振り絞って声をかけたと言うに、この女はなにも理解していない。
「割れてきたのは、生まれるあかしでもないですか」
「そうだね」
「ごめんなさい」
女が謝ると少しどきりとした。自分が断られているような気がした。
きれいなからだを抱きしめていると、この女の悲しみがよくわからない。腹が壊れていようが、病に伏せてしまおうが、俺には、大切で一等貴いものにはかわりない。それを理解しているのに、男心をよく知らないこいつからしたら、俺のその気持ちはよくわからないのだろう。続きを読む
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やらい
「どうしたら人は立てますか」
「人は立っているものだろう」
「人が猿だったなら、その人はいつ立てますか」
「そんな話するでない!」
「ごめんなさい。でも、人が人であるなら、なぜ立てない人もいてます」
「君がその男に心を砕くなら、俺は君のことを罵るだろう!」
女はいつもおかしな話しをする。俺にとっては一目散に逃げ出したくなるようなひどくむごたらしい話だ。
「はるかむかしに生きてたら、わたしはわたしであったでしょうか」
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