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Bite -3years later-








披露宴が終わった、広い会場

柔らかな日差しを受け入れる、大きな窓





すっきりと晴れた昼下がりの空気は

いつもよりも穏やかで、暖かくて





それまでの落ち着いた雰囲気から一転し
またがやがやと騒がしくなった空間





散り散りにテーブルを離れていく人たちと会釈を交わしながら

さりげなく辺りを見回し、"彼"の姿を探す






… けれど






視界に入る人影は、どれも

彼のそれとは、異なるもので







『僕たち、席、向こうなんで。

……… また、後で』







そう言って、

一度別れた彼の後ろ姿は、見当たらなかった







… どこにいるんだろう、




もしかしたら

もう、いないんだろうか、







そう考えるだけで、
妙な焦燥感に駆られて



カタン、

周りを見回すために、私も席を立つと



「ねーちゃん、」

「… あ、リョウ、」



さっきまで輪の中心にいた弟の姿



「中庭で写真撮るからさ、ねーちゃんも入ってよ」



私の腕を掴みながら微笑む彼が指差す方向に視線を向ければ、開いた大きな窓の外でこちらに手招きする、ユウシくんとデヨンくん




すぐに2人の周りをぱっと目を凝らして見るけれど


やはりそこにも、
私の視線が追い求める影は存在しなくて


無意識にまた、会場の中に視線を巡らす






「リョウーー!!お嫁さんが待ってるぞーーー!」

「あーもううるさいな、今行くよー」



デヨンくんの呼びかけに楽しげに笑いながら、ねーちゃん、とまた、私の手を軽く引く弟に



彼の方を振り返ろうとした、その瞬間









私の視界の端を掠めた、見覚えのある黒髪








会場の扉を開き、
廊下の方へ出て行く後ろ姿に

振り向きかけた視線を急いで戻すけれど






焦点が合う頃にはもう

その姿はその場からは消えていた





… それでも、







.







「… ねーちゃん?」

「あ… ごめん、リョウ。

ちょっと… メイク、直してくるね。先にみんなと撮ってて」




固まった私を心配そうに見つめていた弟に、咄嗟にそう言い訳して

私の腕を掴んでいた手をそっと外す




「リョウーーー!!!」

「あーもーまじ… ならねーちゃん、また後でね」

「うん。早く行ってあげて」




そう声をかけて、微笑めば

リョウは私にぱっと手を振って、「デヨンイヒョン、うるさ!」と、笑いながらまた輪の中に戻っていく




その背中を見送ってから、

私も会場の外に出た





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