Bite -3years later-
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不意に耳に入った、その懐かしい響きに
ドクン、と
鈍い鼓動が、心臓を揺らす
「サクヤどこ行ってたんだよ」
「すいません、急に会社行かないとだめになって、さっき着いたんです」
久々に聴く、その声は
以前よりもずっと低く、安定していて
「リョウかっこいいじゃん。珍しく」
「は、おい!珍しくって何だよ!お前~!」
「ははっ、あ、ちょっ!やめ」
わずかに見える笑顔に
ぎゅっと、胸が苦しくなる
瞳に映る、その姿は
私が知っている彼とは、似ても似つかないのに
"彼"だと認識してしまった脳も、心臓も
その動きを止めてくれなくて
ギリギリと締め付けられる胸に、
喉が熱くなって、息が詰まる
苦しい呼吸に、なんとか息を吐き出すと
ふとこちらを見たその瞳と、視線が絡む
私と目が合った、その瞬間に
"彼"は、その真っ黒な瞳を、ぱっと見開いた
「あ、そうだ」
私たちが視線を交わしたことに気付いたのか、
弟は何かをひらめいたように呟いて、彼の腕を引き、私の前に立たせる
「ねーちゃん、初めましてだよね。こいつもおれらと一緒にダンスしてるんだ。サクヤ、前話したよな?ねーちゃんのこと」
「あー… うん、」
リョウのその言葉に頷いて
ゆっくり視線を私に戻す彼と、また目が合えば
これまで影を潜めていた感情が
まるで色を取り戻したように、鮮明に蘇って
以前より、ほんの少し背の伸びた彼は
わずかに戸惑いながらも、微笑んで
私にそっと、手のひらを差し出した
「藤永咲哉です。
… 初めまして、 "望叶"さん」
… 以前と同じように、
その赤い唇から溢れる、私の名前に
熱くなった喉を隠すように、その手を取った
「… 初めまして、
さくや、くん」
そう返せば、
彼は一度俯いてから、穏やかに微笑んで見せた
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不意に耳に入った、その懐かしい響きに
ドクン、と
鈍い鼓動が、心臓を揺らす
「サクヤどこ行ってたんだよ」
「すいません、急に会社行かないとだめになって、さっき着いたんです」
久々に聴く、その声は
以前よりもずっと低く、安定していて
「リョウかっこいいじゃん。珍しく」
「は、おい!珍しくって何だよ!お前~!」
「ははっ、あ、ちょっ!やめ」
わずかに見える笑顔に
ぎゅっと、胸が苦しくなる
瞳に映る、その姿は
私が知っている彼とは、似ても似つかないのに
"彼"だと認識してしまった脳も、心臓も
その動きを止めてくれなくて
ギリギリと締め付けられる胸に、
喉が熱くなって、息が詰まる
苦しい呼吸に、なんとか息を吐き出すと
ふとこちらを見たその瞳と、視線が絡む
私と目が合った、その瞬間に
"彼"は、その真っ黒な瞳を、ぱっと見開いた
「あ、そうだ」
私たちが視線を交わしたことに気付いたのか、
弟は何かをひらめいたように呟いて、彼の腕を引き、私の前に立たせる
「ねーちゃん、初めましてだよね。こいつもおれらと一緒にダンスしてるんだ。サクヤ、前話したよな?ねーちゃんのこと」
「あー… うん、」
リョウのその言葉に頷いて
ゆっくり視線を私に戻す彼と、また目が合えば
これまで影を潜めていた感情が
まるで色を取り戻したように、鮮明に蘇って
以前より、ほんの少し背の伸びた彼は
わずかに戸惑いながらも、微笑んで
私にそっと、手のひらを差し出した
「藤永咲哉です。
… 初めまして、 "望叶"さん」
… 以前と同じように、
その赤い唇から溢れる、私の名前に
熱くなった喉を隠すように、その手を取った
「… 初めまして、
さくや、くん」
そう返せば、
彼は一度俯いてから、穏やかに微笑んで見せた
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