Bite -3years later-
*
「… 別れたよ、この間」
「え、あ… そうだったんですか、」
私がそう答えると、
デヨンくんは罰が悪そうに頭を掻いて、すいません、と小さく謝った
… 自分勝手だけれど
私はリクと別れたことに、後悔はしていなかった
というのも
もし、私があのまま彼と一緒にいたら
彼の人生すべてを
私が振り回してしまいそうで、怖かったから
あまりに優しすぎる彼に
甘えたままではいけないと
そう… 思ったから
「じゃあ望叶さんもいまフリーダムなんですね」
「んー うん、そうだね。フリーダム」
「仲間じゃないですか」
そう言って片手を上げるユウシくんの手のひらに、パチンと自分の手を重ねる
.
『望叶には、
俺じゃだめなんだと思うよ』
… 私が別れ話を切り出した電話口
電話を切る直前、
リクは最後にそう言って
また会おうな、と穏やかに微笑んだ
その、彼の言葉で
今まで見えなかった自分の気持ちに、
私は最近、ようやく気付いたのだった
… けれど
それはもうきっと
思い出として、
記憶の中に仕舞わなければならない感情だから
今さら、表に出すつもりはない
このまま、
自然と色褪せていくまで
遠い記憶として認識できる日まで
心の奥底で、静かに持ち続けていよう
そして、それが見えなくなったら、また
誰かを想うのも、いいかもしれない
楽しげに笑うユウシくんを見つめながら、そんなことをぼんやり考えていると
「あ、ねーちゃん!と、デヨンイヒョンにユウシ!!」
「お、リョウ~~!やっと来たか!」
「すいません、遅くなっちゃった」
それぞれのグループを回っていた弟が、私たちの輪の中に入ってくる
そして、
彼と共に、もう1人
リョウの後ろに続くように、こちらへ歩いてきた人影
わずかに見える黒髪と
きちんと着こなされた黒いスーツ
顔を覗こうと、
わずかに振り返ろうとした、その瞬間
「サクヤ〜!」
目の前のユウシくんは、
そう言って、にっと微笑んだ
.
「… 別れたよ、この間」
「え、あ… そうだったんですか、」
私がそう答えると、
デヨンくんは罰が悪そうに頭を掻いて、すいません、と小さく謝った
… 自分勝手だけれど
私はリクと別れたことに、後悔はしていなかった
というのも
もし、私があのまま彼と一緒にいたら
彼の人生すべてを
私が振り回してしまいそうで、怖かったから
あまりに優しすぎる彼に
甘えたままではいけないと
そう… 思ったから
「じゃあ望叶さんもいまフリーダムなんですね」
「んー うん、そうだね。フリーダム」
「仲間じゃないですか」
そう言って片手を上げるユウシくんの手のひらに、パチンと自分の手を重ねる
.
『望叶には、
俺じゃだめなんだと思うよ』
… 私が別れ話を切り出した電話口
電話を切る直前、
リクは最後にそう言って
また会おうな、と穏やかに微笑んだ
その、彼の言葉で
今まで見えなかった自分の気持ちに、
私は最近、ようやく気付いたのだった
… けれど
それはもうきっと
思い出として、
記憶の中に仕舞わなければならない感情だから
今さら、表に出すつもりはない
このまま、
自然と色褪せていくまで
遠い記憶として認識できる日まで
心の奥底で、静かに持ち続けていよう
そして、それが見えなくなったら、また
誰かを想うのも、いいかもしれない
楽しげに笑うユウシくんを見つめながら、そんなことをぼんやり考えていると
「あ、ねーちゃん!と、デヨンイヒョンにユウシ!!」
「お、リョウ~~!やっと来たか!」
「すいません、遅くなっちゃった」
それぞれのグループを回っていた弟が、私たちの輪の中に入ってくる
そして、
彼と共に、もう1人
リョウの後ろに続くように、こちらへ歩いてきた人影
わずかに見える黒髪と
きちんと着こなされた黒いスーツ
顔を覗こうと、
わずかに振り返ろうとした、その瞬間
「サクヤ〜!」
目の前のユウシくんは、
そう言って、にっと微笑んだ
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