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Bite -3years later-









「… 別れたよ、この間」

「え、あ… そうだったんですか、」





私がそう答えると、

デヨンくんは罰が悪そうに頭を掻いて、すいません、と小さく謝った








… 自分勝手だけれど

私はリクと別れたことに、後悔はしていなかった








というのも

もし、私があのまま彼と一緒にいたら




彼の人生すべてを

私が振り回してしまいそうで、怖かったから








あまりに優しすぎる彼に
甘えたままではいけないと


そう… 思ったから









「じゃあ望叶さんもいまフリーダムなんですね」

「んー うん、そうだね。フリーダム」

「仲間じゃないですか」



そう言って片手を上げるユウシくんの手のひらに、パチンと自分の手を重ねる








.







『望叶には、

俺じゃだめなんだと思うよ』








… 私が別れ話を切り出した電話口




電話を切る直前、

リクは最後にそう言って

また会おうな、と穏やかに微笑んだ





その、彼の言葉で


今まで見えなかった自分の気持ちに、
私は最近、ようやく気付いたのだった









… けれど








それはもうきっと

思い出として、
記憶の中に仕舞わなければならない感情だから

今さら、表に出すつもりはない









このまま、
自然と色褪せていくまで

遠い記憶として認識できる日まで


心の奥底で、静かに持ち続けていよう








そして、それが見えなくなったら、また

誰かを想うのも、いいかもしれない









楽しげに笑うユウシくんを見つめながら、そんなことをぼんやり考えていると






「あ、ねーちゃん!と、デヨンイヒョンにユウシ!!」

「お、リョウ~~!やっと来たか!」

「すいません、遅くなっちゃった」






それぞれのグループを回っていた弟が、私たちの輪の中に入ってくる





そして、

彼と共に、もう1人






リョウの後ろに続くように、こちらへ歩いてきた人影






わずかに見える黒髪と

きちんと着こなされた黒いスーツ







顔を覗こうと、

わずかに振り返ろうとした、その瞬間









「サクヤ〜!」









目の前のユウシくんは、

そう言って、にっと微笑んだ







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