このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

Bite -3years later-









式を終えて、披露宴の会場に入ると

がやがやとした人混みの中で

「あっ、リョウの」と、
聞き覚えのある声が耳をかすめる





その声に、ふと振り返れば





「… ユウシくん?」

「どうもお久しぶりです」

「久しぶり、来てたんだね」

「はい」





3年以上ぶりに会う、弟の友達




笑うとちょっとだけ四角くなる口元は相変わらずだけれど

彼も、ほんの少し大人びた気がした





「いいなー、おれも結婚したい」

「すればいいのに。彼女いないの?」

「はい、いまはフリーダムです」

「フリーダムって」




その言葉に、思わず頬を緩めると




「… あの、えーと、」




遠慮がちに私たちの会話に入ってきた声に、ぱっとユウシくんの隣に視線を移せば



視界に入る、

彼の隣に立つ、少し見覚えのある男性



… え、

この子、





「…… デヨンくん?」





名前を呼んでみると、

私たちの顔色を伺っていたその表情が、ぱあっと晴れる




「あぁやっぱり!望叶さんですよね!?」

「えー何、お前、望叶さんと知り合いなの?」

「おー!大学の先輩!うわ、リョウのお姉さんだったんですね!」





知らなかった~!と微笑むデヨンくん



彼によれば、3人は趣味でやっているダンス繋がりで知り合ったらしく

今では一緒にステージに立ったりもするほどの仲だそう







そんな彼の学生時代の先輩が私だなんて

… 世の中って、本当に狭いものだ、








「うわーまじでびっくりした。えーと… 俺の結婚式以来ですか?」

「そうだね。ごめんね、ちゃんと挨拶行かなくて」

「いやいや!来てくださっただけで十分ですから」





デヨンくんと会うのは、3年ぶりだけれど

その時は私は披露宴に少し参加した程度で
ちゃんとした言葉は交わしていなかった





… それに、その時は




私は、
"彼"の付き添いだっただけだから









「望叶さんは、どうですか?」

「ん?何が?」

「最近、リク先輩とは」





不意に尋ねられたその質問に

反射的に、ぐっと息を飲み込む





… ああ、そうか、

彼は、また
誰にも、言っていないんだ






ふと、そのことに気付いて

思わず苦笑いをした








.
2/10ページ