Bite -3years later-
*
式を終えて、披露宴の会場に入ると
がやがやとした人混みの中で
「あっ、リョウの」と、
聞き覚えのある声が耳をかすめる
その声に、ふと振り返れば
「… ユウシくん?」
「どうもお久しぶりです」
「久しぶり、来てたんだね」
「はい」
3年以上ぶりに会う、弟の友達
笑うとちょっとだけ四角くなる口元は相変わらずだけれど
彼も、ほんの少し大人びた気がした
「いいなー、おれも結婚したい」
「すればいいのに。彼女いないの?」
「はい、いまはフリーダムです」
「フリーダムって」
その言葉に、思わず頬を緩めると
「… あの、えーと、」
遠慮がちに私たちの会話に入ってきた声に、ぱっとユウシくんの隣に視線を移せば
視界に入る、
彼の隣に立つ、少し見覚えのある男性
… え、
この子、
「…… デヨンくん?」
名前を呼んでみると、
私たちの顔色を伺っていたその表情が、ぱあっと晴れる
「あぁやっぱり!望叶さんですよね!?」
「えー何、お前、望叶さんと知り合いなの?」
「おー!大学の先輩!うわ、リョウのお姉さんだったんですね!」
知らなかった~!と微笑むデヨンくん
彼によれば、3人は趣味でやっているダンス繋がりで知り合ったらしく
今では一緒にステージに立ったりもするほどの仲だそう
そんな彼の学生時代の先輩が私だなんて
… 世の中って、本当に狭いものだ、
「うわーまじでびっくりした。えーと… 俺の結婚式以来ですか?」
「そうだね。ごめんね、ちゃんと挨拶行かなくて」
「いやいや!来てくださっただけで十分ですから」
デヨンくんと会うのは、3年ぶりだけれど
その時は私は披露宴に少し参加した程度で
ちゃんとした言葉は交わしていなかった
… それに、その時は
私は、
"彼"の付き添いだっただけだから
「望叶さんは、どうですか?」
「ん?何が?」
「最近、リク先輩とは」
不意に尋ねられたその質問に
反射的に、ぐっと息を飲み込む
… ああ、そうか、
彼は、また
誰にも、言っていないんだ
ふと、そのことに気付いて
思わず苦笑いをした
.
式を終えて、披露宴の会場に入ると
がやがやとした人混みの中で
「あっ、リョウの」と、
聞き覚えのある声が耳をかすめる
その声に、ふと振り返れば
「… ユウシくん?」
「どうもお久しぶりです」
「久しぶり、来てたんだね」
「はい」
3年以上ぶりに会う、弟の友達
笑うとちょっとだけ四角くなる口元は相変わらずだけれど
彼も、ほんの少し大人びた気がした
「いいなー、おれも結婚したい」
「すればいいのに。彼女いないの?」
「はい、いまはフリーダムです」
「フリーダムって」
その言葉に、思わず頬を緩めると
「… あの、えーと、」
遠慮がちに私たちの会話に入ってきた声に、ぱっとユウシくんの隣に視線を移せば
視界に入る、
彼の隣に立つ、少し見覚えのある男性
… え、
この子、
「…… デヨンくん?」
名前を呼んでみると、
私たちの顔色を伺っていたその表情が、ぱあっと晴れる
「あぁやっぱり!望叶さんですよね!?」
「えー何、お前、望叶さんと知り合いなの?」
「おー!大学の先輩!うわ、リョウのお姉さんだったんですね!」
知らなかった~!と微笑むデヨンくん
彼によれば、3人は趣味でやっているダンス繋がりで知り合ったらしく
今では一緒にステージに立ったりもするほどの仲だそう
そんな彼の学生時代の先輩が私だなんて
… 世の中って、本当に狭いものだ、
「うわーまじでびっくりした。えーと… 俺の結婚式以来ですか?」
「そうだね。ごめんね、ちゃんと挨拶行かなくて」
「いやいや!来てくださっただけで十分ですから」
デヨンくんと会うのは、3年ぶりだけれど
その時は私は披露宴に少し参加した程度で
ちゃんとした言葉は交わしていなかった
… それに、その時は
私は、
"彼"の付き添いだっただけだから
「望叶さんは、どうですか?」
「ん?何が?」
「最近、リク先輩とは」
不意に尋ねられたその質問に
反射的に、ぐっと息を飲み込む
… ああ、そうか、
彼は、また
誰にも、言っていないんだ
ふと、そのことに気付いて
思わず苦笑いをした
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