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Bite -3years later-

* * *









「あ、ねーちゃん!」





会場の奥の控え室に入ると

タキシードに身を包んだ弟は、私の顔を見てふにゃりと表情を緩めた






「久しぶり、リョウ。
… いいね、タキシード」

「似合ってる?」

「うん、すごく。
今までで一番かっこいいよ」





そう言えば、

少し照れたように鼻を擦って、また笑った







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弟から結婚の知らせを聞いたのは、2年ほど前のことだった







『… おれ、
結婚しようと思うんだけど』






私の引越しの手伝いをしながら

彼は突然そう言って、どう思う?と私に尋ねて






私がいいと思う、と答えた少し後

リョウは楓ちゃんにプロポーズをして

めでたく、2人の結婚は決まったのだった









「あぁ~~緊張する… どうしよねーちゃん、おれまじでやばいかも、スピーチとか噛みそう」

「それはそれでリョウらしくていいと思うけど」

「ねーちゃん~… あ~~まじで… 」

「楓ちゃんにはもう会った?」

「や、まだ… あーやば、楓に会うのも緊張してきた」





うぅ、と顔を歪めて

ぎゅっと胸の辺りを握る弟に

なんだか穏やかな気持ちになって
ぽんぽんとその頭を撫でた







「大丈夫だよ。

… おめでとうリョウ」








最後に、そう声をかければ

彼はまた、少し照れたように微笑んで



「ありがとう、」と、短く答えたのだった








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弟の結婚式は、すばらしいものだった




本人はあんなに不安がっていたけれど、

式が始まってしまえば
それも余計な心配だったようで



凛とした表情でスピーチをこなし、

涙する彼女の背中を摩る弟は誇らしいほど立派で




そんな彼らの姿に、
私も自然と目頭が熱くなったりした









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