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Bite -change-








すっかり陽の落ちた、薄暗い通り






影も落ちない足元を見つめながら、

あのアパートまでの帰路を歩く







極限まで雑音を排除した、

闇に侵食され始めた空気は

アスファルトと私の履く低いヒールが擦れる鈍い音だけを、その中に滲ませていた









.








お互いに話を全て聞き終わった後、

一緒に店を出たシオンさんは、私にその大きな手を差し出して



『お会いできて良かったです』



そう言って、穏やかに微笑み、

差し出されたその手をそっと握り返した私に、深く一度お辞儀をして



『また、何かあればご連絡ください』



その一言を置いて、

彼は私に背を向けたのだった









頭の中で反復する、

シオンさんの語った、彼の過去








それに重なるように思い出す、

彼と過ごした数ヶ月間の記憶







それらが交われば交わるほど


心臓が握り潰されていくように、痛む









… 一体、どうしてだろう、








どうして、
私はこんなにも




彼のことで、胸を痛めて





彼を思って、苦しんで





彼のことばかり、考えてしまうんだろう









その明確な答えを未だ見つけ出せないまま

私はその夜の空気の中に漂っていた









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