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Bite -change-

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「… だから、連絡があった時は、とても安心しました。山本さんが見つけた紙は、僕が最後に彼に会った時に彼に渡したものです。『何かあった時は連絡してくれ』と。… そして、同時にすごく驚きました」

「… え?」






…… 驚いた?





彼の言葉に首を傾げると、

シオンさんはそんな私を見て、また柔らかく微笑んだ







「彼と一緒に住んでいた、とおっしゃっていましたよね?それにすごく驚いたんです。あの状態で、他人と一緒に暮らすことが出来るのかと




… きっと、



あなたは彼の中で、

他の人とは、何かが違ったんでしょうね」









そう言って、

白いカップに手をかけるシオンさん






… 何かが、違った?







彼のその言葉を頭の中で反芻していると






「… 一緒にいる時、

彼はどんな様子でしたか?」






きっと冷め切ってしまったであろうカフェラテを飲み込んで、シオンさんはそう尋ねた






「彼、は…… 、」







"いかないで"


"嫌だ"




"……… 望叶、"









「いつも… 、

孤独を、恐れていました」

「…… 孤独?」

「ひとりになることを、すごく、嫌がっていて… 、」







そこまで言った瞬間、

まるで締め付けられているかのように、喉が熱くなる






紡ごうとした言葉は、熱を帯びた吐息に変わり、空気に溶けていった





そんな私に気付いてか、

シオンさんはそうですか、と静かに呟いた







「… たぶん、幼い頃に両親から切り離されてしまったから、何も信じられなくなってしまったんじゃないかと思うんです


誰も信用できなくて、
自分の殻に閉じこもったままで… 、


…… 僕には、彼が叫んでいるように見えました」

「… 叫んでる… ?」

「はい、」





シオンさんは一度頷いて、

また、唇に歯を立てた






「彼の腕の傷を見た時に、思ったんです

きっと… 、
自分の存在を、認めてもらいたかったんだと

彼が孤独を恐れていたのも、きっと、その時のトラウマのせいじゃないかと」

「………… 、」









その彼の言葉に、

また、息苦しいほどに胸が締め付けられた






彼の行為に滲む、

辛辣な痛みと苦しみ







それを感じた瞬間に


どうしようもなく、苦しくて

例えようのないほど、哀しくなった








「… そう、ですか…… 、」







最後に私が呟いた言葉は

弱々しく、その空間に霞んで行った







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